『誰が第二次世界大戦を起こしたのか』 渡辺惣樹
《日米戦争の原因は、ポーランドの頑なで、稚拙な対ドイツ外交にあった》
ちょっと前なら、私はこの言葉の意味を理解できなかったな。日本とアメリカの戦争は、対外戦争不干渉をうたっていたフランクリン・ディラノ・ルーズベルトが、日本から手を出させるためにさまざまな圧力をかけて追いつけたことから始まったことは理解していたけどね。でも、それよりも2年も早く始まっていたヨーロッパの戦争が日米戦争の原因となっているということは、残念ながら意識の外にあった。
そう、その《ポーランドの頑なで稚拙な外交》の裏で糸を引いていたのがルーズベルトであるということは、少し前まで想像もしてなかった。
「世界恐慌に無策のフーバー大統領に代わってアメリカの経済を復活させた大統領」という世界史の教科書のような認識しかない人が圧倒的に多いと思うんだけど、これを読んでもらえば認識が変わると思う。

どうだろう。ハミルトン・フィッシュの言う「天使も涙するほどの手口」を、知ってみたいと思いませんか。

時代が生み出したものだろうが、この時代には多くの化け物が生まれている。レーニン、ヒトラー、スターリン、金日成、毛沢東・・・、だけど一番の化け物はルーズベルトじゃないかな。たしかにあの戦争で一番得をしたのは、あるいは多くの人を政治死に追い込んだのは共産主義者たちだけど、化け物は人類を第二次世界大戦に追い込んだ。
ヒトラーのオーストリア併合、それに続くチェコスロバキアへのズデーテン地方要求は、ある意味で、ベルサイユ条約のゆがみを正す既定路線だったといっていい。もとからパリ講和会議におけるチェコスロバキアの要求自体がひどかった。ここぞとばかり敗戦国をいたぶる会議にあっても、異様と言えるほどの領土を要求したらしい。
ロイド・ジョージ英国首相が疑問を呈すと、チェコスロバキアは抱え込むことになる少数民族への配慮を約束したという。民族独自の教育、信教の自由、人口に比例した議員数など、約束したことを、チェコスロバキアは何一つ守らなかったそうだ。
ヒトラーのもとで目覚ましい経済成長を遂げるドイツ。同じドイツ系のオーストリア併合を見たチェコスロバキアのドイツ系はほとんどがズデーテン地方に住んでいた。少数民族の悲哀をかみしめさせられている彼らに、ドイツ帰属を求める動きが現れるのは当たり前だった。
ミュンヘン会談で英首相のチェンバレンがヒトラーの要求をのんだのは、既定の路線だった。その後のチェコ解体は、チェコの自壊であり、兵を一人たりとも動かしたわけではない。そしてドイツはソ連に向かう。その途中にポーランド回廊とダンチヒがある。
ところがそこで、チェンバレンが豹変する。ポーランドが最悪の外交に終始する。その背景に、ルーズベルトという世紀の化け物がいたわけだ。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
ちょっと前なら、私はこの言葉の意味を理解できなかったな。日本とアメリカの戦争は、対外戦争不干渉をうたっていたフランクリン・ディラノ・ルーズベルトが、日本から手を出させるためにさまざまな圧力をかけて追いつけたことから始まったことは理解していたけどね。でも、それよりも2年も早く始まっていたヨーロッパの戦争が日米戦争の原因となっているということは、残念ながら意識の外にあった。
そう、その《ポーランドの頑なで稚拙な外交》の裏で糸を引いていたのがルーズベルトであるということは、少し前まで想像もしてなかった。
右の本は、チャールズ・A・ビアードの書いた『ルーズベルトの責任』という上下巻の本。2011年に出た本だな。だけど、もとは1948年に出されたのに禁書同然の扱いを受け、もちろん、占領下の日本では翻訳もされなかった。 |
こちらはハミルトン・フィッシュの『ルーズベルトの開戦責任』。これもすごい。今年に入って文庫版が出たんだな。私は2014年に単行本で読んだ。だけどアメリカでは1976年に出てる。 ハミルトン・フィッシュはアメリカを参戦に導いたF・D・Rの手口をこう言っている。「天使も涙するほどの手口」 |
どうだろう。ハミルトン・フィッシュの言う「天使も涙するほどの手口」を、知ってみたいと思いませんか。
『誰が第二次世界大戦を起こしたのか』 渡辺惣樹 草思社 ¥ 1,836 ヒトラー、チャーチル、ルーズベルト… 悲劇の元凶はいったい誰だったのか? |
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時代が生み出したものだろうが、この時代には多くの化け物が生まれている。レーニン、ヒトラー、スターリン、金日成、毛沢東・・・、だけど一番の化け物はルーズベルトじゃないかな。たしかにあの戦争で一番得をしたのは、あるいは多くの人を政治死に追い込んだのは共産主義者たちだけど、化け物は人類を第二次世界大戦に追い込んだ。
ヒトラーのオーストリア併合、それに続くチェコスロバキアへのズデーテン地方要求は、ある意味で、ベルサイユ条約のゆがみを正す既定路線だったといっていい。もとからパリ講和会議におけるチェコスロバキアの要求自体がひどかった。ここぞとばかり敗戦国をいたぶる会議にあっても、異様と言えるほどの領土を要求したらしい。
ロイド・ジョージ英国首相が疑問を呈すと、チェコスロバキアは抱え込むことになる少数民族への配慮を約束したという。民族独自の教育、信教の自由、人口に比例した議員数など、約束したことを、チェコスロバキアは何一つ守らなかったそうだ。
| 左はチェコスロバキアの民族分布。 すごく無理のある構成だね。チェコは無理を通して、自分の首を絞めることになる。 |
ミュンヘン会談で英首相のチェンバレンがヒトラーの要求をのんだのは、既定の路線だった。その後のチェコ解体は、チェコの自壊であり、兵を一人たりとも動かしたわけではない。そしてドイツはソ連に向かう。その途中にポーランド回廊とダンチヒがある。
ところがそこで、チェンバレンが豹変する。ポーランドが最悪の外交に終始する。その背景に、ルーズベルトという世紀の化け物がいたわけだ。


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