『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美
本を読んでいても胸がときめかない時がある。そんなときに無理やり本を読んでいると、それなりの時間が過ぎたあと、ただ単に無駄な時間を過ごしたことに無性にイライラしてくる。
幾つかの要因が考えられる。本がつまらない。私の知識が足りない。体調が悪い。心配事がある。その他いろいろ。理由を考えても仕方がない。理由が何であれ、そんなときは仕方がない。本のせいにして、眠ってもらう。
リフレッシュ❢ ・・・で、違う本を読む。
と思ったら、読む本がない。・・・でも大丈夫。ほらほら、眠らしている本がある。ということで、押し入れに頭を突っ込んで、ガサゴゾガサゴソやって、今回はこの本。
レレレ、川口マーンさんの本じゃん。こりゃ間違いなく本のせいではなくて、自分がなんらかの理由でおかしくなってたんだな。この本が面白くないはずない。いや~、良かった、良かった。
2013年の本。やはり、東日本大震災にこだわっている。・・・あれ、最初の方だけじゃなく真ん中辺まで読んでる。ずいぶん読んでる。途中でなんかあって、放り出して眠らすことになったらしい。


ドイツに住んで30年の川口マーンさんの日本人論。8勝2敗の2敗がなんであったのか気にはなるが、まあ、大きく勝ち越せたことを喜んでおこう。しかも、勝ち越した相手がドイツ人ということなら、なおのこと上々だ。言ってる端から、私もドイツになんらかの固定観念があるらしい。あるには違いないのだが、なにが“ドイツ人ということなら”なのか、手のひらに乗せて見せることができるわけじゃない。
この本が、ドイツ人を鏡とした日本人なら、その日本人を通してドイツ人も見えることになる。そのへんから、なにが“ドイツ人ということなら”なのか、はっきりさせたいもんだと思う。
さて、さっきの2敗だけど、“まえがき”にすでに日本人の欠点が指摘されている。その一つが論理性の欠如。著者は、「ドイツ人は哲学的指向が好きで、思考の過程を愛しているが、日本人は・・・議論などさしおいて一足飛びに結論を出すほうが好きだ」といっているが、まったくその通り。“なぜそうなるのか”という過程を蔑ろにするから、同じ失敗を繰り返したりする。
もう一つ著者があげているのが、広報活動の稚拙さ。だから、「世界の多くの国がイメージのほうが実態よりも良い中で、日本は実態のほうがイメージよりも良い唯一の国」と著者は言う。そのへん、日本に60年近く住み続けている私にはよくわからない。どうして宣伝なんかしなきゃいけないのかもわからない。
普仏戦争に負けたフランスは、ドイツとの国境にあったアルザス地方を失った。アルザスの学校ではフランス語を教えてはならないことになり、最後の授業が行われる。フランス語の先生は、やがて悲しみで言葉が途切れ、黒板に「Viva la France!」と書いて授業を終える。母国語を奪われたフランス人の怒りと悲哀が伝わってくる『最後の授業』という話。この本でも紹介されているのだが、これ、私も覚えている。
以下、本書に教えてもらったことだけど、アルザス地方は紀元前1世紀にゲルマン人が住み着き、忠誠からは神聖ローマ帝国に属した。住民のアルザス人はドイツ系で、フランス語を話したことはない。17世紀、三十年戦争でぼろぼろになったドイツに代わりフランス王の領有となるが、住民の話したアルザス語はドイツ語の方言。それは、あのルイ14世の時代でも変わらなかった。フランス革命が発生し、ナポレオン・ボナパルトにかき乱されたヨーロッパの秩序を取り戻すためウィーン会議が開かれる。アルザスはフランス領にとどまるが、住民がアルザス語を使っていたのは変わりない。ただ学校では、単なる一科目としてフランス語の授業が行われた。そしてそれから50年ほど経って普仏戦争となる。
『最後の授業』に、私も心を掻き立てられた口。だけど、このお話、上のような状況を考えれば、なんかおかしい。最初から、政治的意図のプンプンする話ということになる。
その後のアルザスは、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約によりフランス領有になるが、ヒトラーが取り戻す。第二次世界大戦においては、フランスそのものがドイツに占領され、戦争中の大半を敗戦国として過ごしたフランス。ところが、最後の瞬間だけ戦勝国となったフランスがアルザスを取り戻す。
マーンさんの言う、“イメージのほうが実態よりも良い”国っていうのは、まずはフランスってことかな。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
幾つかの要因が考えられる。本がつまらない。私の知識が足りない。体調が悪い。心配事がある。その他いろいろ。理由を考えても仕方がない。理由が何であれ、そんなときは仕方がない。本のせいにして、眠ってもらう。
リフレッシュ❢ ・・・で、違う本を読む。
と思ったら、読む本がない。・・・でも大丈夫。ほらほら、眠らしている本がある。ということで、押し入れに頭を突っ込んで、ガサゴゾガサゴソやって、今回はこの本。
レレレ、川口マーンさんの本じゃん。こりゃ間違いなく本のせいではなくて、自分がなんらかの理由でおかしくなってたんだな。この本が面白くないはずない。いや~、良かった、良かった。
2013年の本。やはり、東日本大震災にこだわっている。・・・あれ、最初の方だけじゃなく真ん中辺まで読んでる。ずいぶん読んでる。途中でなんかあって、放り出して眠らすことになったらしい。
『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美 講談社プラスα新書 ¥ 905 宣伝が下手。そのせいで、日本は、実態のほうがイメージよろも良い、唯一の国 |
|
ドイツに住んで30年の川口マーンさんの日本人論。8勝2敗の2敗がなんであったのか気にはなるが、まあ、大きく勝ち越せたことを喜んでおこう。しかも、勝ち越した相手がドイツ人ということなら、なおのこと上々だ。言ってる端から、私もドイツになんらかの固定観念があるらしい。あるには違いないのだが、なにが“ドイツ人ということなら”なのか、手のひらに乗せて見せることができるわけじゃない。
この本が、ドイツ人を鏡とした日本人なら、その日本人を通してドイツ人も見えることになる。そのへんから、なにが“ドイツ人ということなら”なのか、はっきりさせたいもんだと思う。
さて、さっきの2敗だけど、“まえがき”にすでに日本人の欠点が指摘されている。その一つが論理性の欠如。著者は、「ドイツ人は哲学的指向が好きで、思考の過程を愛しているが、日本人は・・・議論などさしおいて一足飛びに結論を出すほうが好きだ」といっているが、まったくその通り。“なぜそうなるのか”という過程を蔑ろにするから、同じ失敗を繰り返したりする。
もう一つ著者があげているのが、広報活動の稚拙さ。だから、「世界の多くの国がイメージのほうが実態よりも良い中で、日本は実態のほうがイメージよりも良い唯一の国」と著者は言う。そのへん、日本に60年近く住み続けている私にはよくわからない。どうして宣伝なんかしなきゃいけないのかもわからない。
普仏戦争に負けたフランスは、ドイツとの国境にあったアルザス地方を失った。アルザスの学校ではフランス語を教えてはならないことになり、最後の授業が行われる。フランス語の先生は、やがて悲しみで言葉が途切れ、黒板に「Viva la France!」と書いて授業を終える。母国語を奪われたフランス人の怒りと悲哀が伝わってくる『最後の授業』という話。この本でも紹介されているのだが、これ、私も覚えている。
以下、本書に教えてもらったことだけど、アルザス地方は紀元前1世紀にゲルマン人が住み着き、忠誠からは神聖ローマ帝国に属した。住民のアルザス人はドイツ系で、フランス語を話したことはない。17世紀、三十年戦争でぼろぼろになったドイツに代わりフランス王の領有となるが、住民の話したアルザス語はドイツ語の方言。それは、あのルイ14世の時代でも変わらなかった。フランス革命が発生し、ナポレオン・ボナパルトにかき乱されたヨーロッパの秩序を取り戻すためウィーン会議が開かれる。アルザスはフランス領にとどまるが、住民がアルザス語を使っていたのは変わりない。ただ学校では、単なる一科目としてフランス語の授業が行われた。そしてそれから50年ほど経って普仏戦争となる。
『最後の授業』に、私も心を掻き立てられた口。だけど、このお話、上のような状況を考えれば、なんかおかしい。最初から、政治的意図のプンプンする話ということになる。
その後のアルザスは、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約によりフランス領有になるが、ヒトラーが取り戻す。第二次世界大戦においては、フランスそのものがドイツに占領され、戦争中の大半を敗戦国として過ごしたフランス。ところが、最後の瞬間だけ戦勝国となったフランスがアルザスを取り戻す。
マーンさんの言う、“イメージのほうが実態よりも良い”国っていうのは、まずはフランスってことかな。


- 関連記事
-
- 開戦『誰が第二次世界大戦を起こしたのか』 渡辺惣樹 (2017/11/18)
- 労働観『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美 (2017/11/17)
- 『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美 (2017/11/13)
- 『誰が第二次世界大戦を起こしたのか』 渡辺惣樹 (2017/11/11)
- 湯川さん・後藤さん『ブラック・フラッグス』 ジョビー・ウォリック (2017/11/10)