めんどくせぇことばかり 労働観『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美
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労働観『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』 川口マーン惠美

方向性は違うけど、たしかにドイツ人というのは真面目な人たちなんだな。理屈にあった社会をきちんと作ろうとする姿勢には、頭の下がる思いまで湧いてくる。日本人は、そのへんの理屈っていうのが苦手・・・というか、嫌いだからね。

休暇のとり方なんて、その違いを如実に表している。有給休暇っていうのは自分のために使うべき休暇だよね。ドイツ人は、風邪引いたら、しっかり病休をとるって。風邪引いて有給使う人はいないってさ。逆に、日本人なら、風邪程度で病休取る人は、私のまわりにはいないな。よっぽどじゃなければ休みさえしないからね。まあ、休んだ場合、自分であとから埋め合わせるか、誰かに背負い込んでもらうことになるからね。

ドイツは有給が30日あって、まず残す人はいないって。それも、10日とか20日とかまとめて取って、リフレッシュしてるって。ただ、ドイツ人は真面目すぎて、その休暇を無駄なくギリギリまで使うため、ヘトヘト状態で休暇明けを迎える場合も少なくないらしい。そして休暇が開ければ、次の休暇に向かって準備を始め、休暇におわれるはめになる人もいるらしい。

だけどドイツでは、みんながそれだけ休んでも、仕事が回るようなシステムづくりをしてあるらしいね。働く人の権利が、しっかり回るようなシステムも整備するあたりは、偉いもんだな。理屈が通ってるよね。日本なんか、形だけ“労働者の権利”を取り入れたって、もしみんながみんな、それを行使しようとしたら、たちまち仕事が回らなくなるもんね。「まあまあ、そのへんは・・・」で終わっちゃってるんだよね。

医者もそうなんだって。うちの近所では、小児科の先生は休みが少ないな。逆に、耳鼻科の先生は盆暮れ正月に春秋の長期休暇は欠かさない。一週間は平気で休みにするから、かかっている人はけっこう困ったりする。それがドイツでは、医者も夏にはたいていニ~三週間いなくなるって。ただ、知らずに電話すると、留守電が代行の医者を教えてくれるって。

なんにしろ、ドイツはいつでも誰かが休暇中で、それを前提とした代行システムができているということだ。



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宣伝が下手。そのせいで、日本は、実態のほうがイメージよろも良い、唯一の国
  • 第1章 日本の尖閣諸島、ドイツのアルザス地方
  • 第2章 日本のフクシマ、ドイツの脱原発
  • 第3章 休暇がストレスのドイツ人、有休をとらない日本人
  • 第4章 ホームレスが岩波新書を読む日本、チャンスは二度だけのドイツ
  • 第5章 不便を愛するドイツ、サービス大国の日本
  • 終 章 EUのドイツはアジアの日本の反面教師

お互い敗戦国。そして、戦後のなにもないところから世界トップの経済大国にのし上がった点も同じ。でも、大きく違う点があるとマーンさんは指摘している。

日本人が自分たちで必死で働いて軌跡の復興を成し遂げたのに比べて、ドイツは人手不足が始まった早い段階で外国人労働者を導入したんだそうだ。1955年にイタリア、1060年にはギリシャとスペイン、61年にトルコ、63年にモロッコ、64年にポルトガル、65年にチュニジア、68年に旧ユーゴと言うように、次々に各国政府と労働者受け入れの協定を結んだ。

国際市場に競争力のある製品を送り込むためには、低価格は大きな武器であり、企業は安い労働力を求め、政府はそれに応じた。1970年代には出稼ぎの単純労働者の数は300万人に迫ったそうだ。これがドイツ経済発展の原動力だったんだな。

ところがドイツの経済発展は、そこをピークにして止まる。失業した外国人労働者は、意に反して自国に帰ろうとしなかった。彼らの国は、依然として貧しかった。仕事のないドイツの方が、まだましな生活が遅れるなら、自国に帰る意味はなかった。社会保障費を支えてくれるはずだった外国人労働者が、今度は社会保障費を食いつぶす存在に変わったんだそうだ。

実際に食いつぶされるかどうかはともかくとして、入ってきたのは大量の単純労働力だったから、そこに自然とドイツ人労働者の仕事と外国人労働者の仕事の区分ができちゃったんだな。

どこを見ても、単純な作業労働に従事するのは外国人労働者で、高度な技術を有する仕事や知能労働はドイツ人ということなるわけだ。一つの国の中でそういう区分が出来上がることは、決して好ましいことじゃない。そこから突発的に発生する事件もあるだろうし、長い時間をかけて堆積するさまざまな感情も、いつか必ず目に見える形で問題となってくるだろう。

マーンさんの言う通り、日本は外国人労働力に頼らずに高度経済成長を成し遂げた。ありとあらゆる仕事において、それを遂行することで社会に貢献してきたのは、基本的に日本人だ。

日本人にとって、自分の仕事に一所懸命になるってことは、いわば仏道と同じ。たしか、鈴木正三がそう言ってたような。ならば、職業に貴賎なんて、あるはずもない。そう思えることはありがたいことだな。

いま、少子高齢化の進行とともに社会が変わろうとしているが、そのへん、もう一度よく考えていった方がいいな。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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