『日本人のおなまえっ❢①』 森岡浩監修
ネタバレだけど、一度、テレビでやった内容だからいいよね。テレビで見たときから面白くて、話の種に“覚書”として残したおきたいんだ。テレビの番組になるってことは、それだけ“磨かれる”っていうところがあるんだな。今までにもあった、メジャーな名字は徹底調査して、そうでもない名字に関しては“それなりに”って感じのものとは違う。
「他説もあり」という但し書きがついたとしても、必ずみんなを納得させる結論を出している。やっぱりそうしなきゃ、視聴率上がらないよね。
司会がこれまた、古舘伊知郎だからね。彼が言うと、何気ない言葉も、なぜか熱を帯びるようだ。《名字はお先祖様からのタイムカプセルだった❢》
鈴木さん。たくさんいるよね。その始まりは和歌山県熊野地方。1150年に鈴木家第25代が熊野古道入口の藤白に移り住むが、初代は900年台の鈴木真人という人だという。「スズキ」と言うのは熊の地方の言葉で、収穫後に組み上げた稲藁のことなんだそうだ。それを組むことは、種籾に魂を宿らせて五穀豊穣を祈るという意味があって、鈴木さんは神に収穫を祈る神事を行う神官だった。
たった一人から始まった鈴木さんは、今や約175万人。どうやら熊野信仰が全国に広がるのと一緒に鈴木さんも広まった。・・・と言うより、鈴木さんたちが熊野信仰を広めようと全国に飛び出していったらしい。
熊野信仰と結びついて栄えた鈴木一族の中でも一番勢いがあったのが三河の鈴木家だった。それが松平家の草創期からの家臣で、家康の関東入りに伴って鈴木一族が関東に広がった。


“藤”のつく名字は、みんな藤原さんに由来するのは分かる。伊藤さんは、伊勢に行った藤原さん。近藤さんは、近江に行った藤原さん。遠藤さんは、遠江に行った藤原さん。加藤さんは、加賀に行った藤原さん。佐藤さんは、下野国の佐野に行った藤原さんだって。後藤さんは、肥後や豊後の“後”を取ってるらしい。江藤さん、やはり近江の“江”だろうね。
工藤さんは、またちょっと変わってて、宮殿の造営を担当する木工寮という職掌があって、そこに務めた藤原さん。つまり仕事が名前になる。武藤さんも、武蔵に行った藤原さんというケースのほかに、武者所に関与した藤原さんっていうケースもあるって。そういや、犬飼さんや錦織さんも名前が名字になったんだよね。
地名や職業だけってわけじゃなくて、例えば、安藤さんは、安芸に行った藤原さんってケースもあるけど、安倍氏と藤原氏が合流して安藤になったケースもあるって。そうそう、日本人の名字は自由だからね。
そしたら、斎藤さんの“斎”はなんだろう。そんな地名があるんかな。・・・と思ってたら、地名じゃなくて、仕事。伊勢神宮に仕えた斎王の御所を斎宮と言ったらしいんだけど、そこに務めた藤原さんらしい。
欧米は、仕事に由来する名字が多いんだってね。スミスが鍛冶屋。ミラーが粉屋。ベーカーがパン屋。ライトが大工。メーソンが石工。
でも、日本の名字もそういうのが少なくないけど、それ以上に地形に由来する名字が多いんだそうだ。名字が名乗られるようになる室町時代。日本人の9割が農民で、山、海、川といった自然に囲まれて生活していた。そこには多種多様な自然環境があった。日本人の名字が多種多様なのは、それだけ豊かな自然環境に、時には恐ろしい、時には恵み深い自然環境に囲まれて生きてきたという証でもあるんだな。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
「他説もあり」という但し書きがついたとしても、必ずみんなを納得させる結論を出している。やっぱりそうしなきゃ、視聴率上がらないよね。
司会がこれまた、古舘伊知郎だからね。彼が言うと、何気ない言葉も、なぜか熱を帯びるようだ。《名字はお先祖様からのタイムカプセルだった❢》
鈴木さん。たくさんいるよね。その始まりは和歌山県熊野地方。1150年に鈴木家第25代が熊野古道入口の藤白に移り住むが、初代は900年台の鈴木真人という人だという。「スズキ」と言うのは熊の地方の言葉で、収穫後に組み上げた稲藁のことなんだそうだ。それを組むことは、種籾に魂を宿らせて五穀豊穣を祈るという意味があって、鈴木さんは神に収穫を祈る神事を行う神官だった。
たった一人から始まった鈴木さんは、今や約175万人。どうやら熊野信仰が全国に広がるのと一緒に鈴木さんも広まった。・・・と言うより、鈴木さんたちが熊野信仰を広めようと全国に飛び出していったらしい。
熊野信仰と結びついて栄えた鈴木一族の中でも一番勢いがあったのが三河の鈴木家だった。それが松平家の草創期からの家臣で、家康の関東入りに伴って鈴木一族が関東に広がった。
『日本人のおなまえっ❢』 森岡浩監修 集英社インターナショナル ¥ 1,512 お名前、名字の秘密がわかると、より豊かな生き方ができる |
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“藤”のつく名字は、みんな藤原さんに由来するのは分かる。伊藤さんは、伊勢に行った藤原さん。近藤さんは、近江に行った藤原さん。遠藤さんは、遠江に行った藤原さん。加藤さんは、加賀に行った藤原さん。佐藤さんは、下野国の佐野に行った藤原さんだって。後藤さんは、肥後や豊後の“後”を取ってるらしい。江藤さん、やはり近江の“江”だろうね。
工藤さんは、またちょっと変わってて、宮殿の造営を担当する木工寮という職掌があって、そこに務めた藤原さん。つまり仕事が名前になる。武藤さんも、武蔵に行った藤原さんというケースのほかに、武者所に関与した藤原さんっていうケースもあるって。そういや、犬飼さんや錦織さんも名前が名字になったんだよね。
地名や職業だけってわけじゃなくて、例えば、安藤さんは、安芸に行った藤原さんってケースもあるけど、安倍氏と藤原氏が合流して安藤になったケースもあるって。そうそう、日本人の名字は自由だからね。
そしたら、斎藤さんの“斎”はなんだろう。そんな地名があるんかな。・・・と思ってたら、地名じゃなくて、仕事。伊勢神宮に仕えた斎王の御所を斎宮と言ったらしいんだけど、そこに務めた藤原さんらしい。
欧米は、仕事に由来する名字が多いんだってね。スミスが鍛冶屋。ミラーが粉屋。ベーカーがパン屋。ライトが大工。メーソンが石工。
でも、日本の名字もそういうのが少なくないけど、それ以上に地形に由来する名字が多いんだそうだ。名字が名乗られるようになる室町時代。日本人の9割が農民で、山、海、川といった自然に囲まれて生活していた。そこには多種多様な自然環境があった。日本人の名字が多種多様なのは、それだけ豊かな自然環境に、時には恐ろしい、時には恵み深い自然環境に囲まれて生きてきたという証でもあるんだな。


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