めんどくせぇことばかり 『辞世 108選』 長生馬齢
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『辞世 108選』 長生馬齢

大津皇子 「ももつたふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ」

日本書紀は隠しているものの、やはり、大津こそが次期天皇だったんだろうな。ところが、自分の子供の草壁皇子を天皇位につけたい鵜野讃良皇女が大津皇子を陥れる。おそらく、天武が死んで思いついたことではなく、前々から準備していたことなんだろうな。鵜野讃良の母心に付け入って筋書きを書いたのは、藤原不比等で間違いないだろう。

才能に恵まれて、父から愛され、重く用いられていた大津皇子は24歳。見慣れた風景を懐かしみ、死に臨んで威厳を失わない様子に、王者の風格を感じさせる。

有間皇子 「磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた還り見む」
       「家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」


中大兄皇子の謀略により囚われた、先帝孝徳天皇の遺児有間皇子。南紀に移送される際、岩代の海岸で読んだ歌。一人、難波宮に置き捨てられた孝徳天皇を憤死に追いやったのは中大兄皇子。中大兄にすれば、自分を恨むに違いない有間皇子を放置できなかったのだろう。それにしても、有間皇子この時19歳。

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辞世とはいえ、本当に死の間際に読まれることは少ない そろそろ私も・・・


鑑真 「我若し亡ぜんときは願わくは座して死なん」

鑑真すごいな。753年、戒律を日本に伝えるために来日。周囲の静止を振り切った来日のその時、すでに65歳。今の私より7歳上。鑑真すごいな。死が迫ったことを予感してなおこの気迫。享年は76歳。

阿倍仲麻呂 「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも」

遣唐使として唐に渡り、玄宗皇帝に使えるが、あんまり有能すぎて手放してもらえず、帰国を許されたは56歳。その送別の席で読んだ歌だそうだ。船の遭難で帰国は叶わず73歳の生涯を長安でとじることになるが、この歌はしっかり日本に帰り、日本人の心に染み付いた。

在原業平 「ついに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思わざりしを」

六歌仙の一人。こんなに冷静に言われてしまうと困ってしまうが、自分もきっとそう思ってその日を迎えるんだろう。享年56歳。

西行 「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」

北面の武士として鳥羽院に仕える。23歳で出家して後に西行と称す。桜の名所吉野に住み、人一倍桜を愛した。歌のとおりに二月16日に73歳で入寂。まったく、そんなに都合良く死ねるのか。

渡辺綱「世を経ても わけこし草の ゆかりあらば あとをたずねよ むさしののはら

摂津源氏の源頼光に仕え、頼光四天王の筆頭に数えられた。大江山の酒呑童子退治、羅城門の鬼を切り落とした逸話で有名。なんでも鴻巣の箕田氷川八幡に歌碑があるという。綱は鴻巣由なのか。知らなかった。享年73。

後鳥羽上皇「いま一度 身ざりつるこそ 妄念なれ」

第82代天皇。承久の乱に敗れ、鎌倉の裁定によって隠岐の島に流され、沖で60年の生涯を閉じる。屈指の歌人としても知られるが、「妄念」という言葉に思いの強さを感じる。きっと怨霊になったんだろうな。

日野俊基「古来の一句 死も無く 生も無し 万里雲尽き 長江水清し」

後醍醐天皇に仕え、鎌倉幕府討伐のための謀議に加わる。諸国を巡って反幕府勢力を募るが元弘の変で捕らえられ、鎌倉に送られて処刑される。どうやらその時読まれた歌らしいが、死を目前にして、ずいぶんと清々しいね。

一休 「仮り置きし 五つのものを 四つ返し 本来空に 今ぞもとづく」

生まれたときにあずかった五つのもののうち地・水・火・風は返して残ったのは空。その空に、ようやくたどり着いたってことかな。ようやくたどり着いたその境地、・・・返さないのかな。死んで空に戻ったら、それこそ空そのものになって返せないよね。享年88歳。


太田道灌 「かかる時さこそ命の惜しからめかねてなき身と思い知らずは」

扇ヶ谷上杉氏の家宰で、武蔵・相模を代表する武将。ちょうど戦国の入口に生きてるんだけど、いい人だから下克上に突っ走れない。逆に、あんまり有能すぎて主家から恐れられ、誘い出されて殺害される。辞世の句は槍で突かれて討ち死にするときに詠んだって。さすがだな。享年55歳。
かつては、・・・と言うのは若い時分の話。高杉晋作や坂本龍馬に自分を重ねた。高杉晋作や坂本龍馬が大仕事を成し遂げながらも、若くして、しかも志半ばで死んでいったことに、「それに比べて自分は・・・」と才なき我が身を呪った。ああ、晋作の死んだ年を過ぎた、龍馬の年に近づいたと鏡にしたものの、それを過ぎてあまりに時間がたちすぎると、想いに登らせるのも馬鹿らしい。

時間的に余裕を持つなら太田道灌と思ってたんだけど、久しぶりに思い出したら、道灌の享年をとっくに通り過ぎていた。ハハハ

いまさら享年88の一休さんに切り替えたところで、いつそれが目前に現れるか分からない。それこそ、「昨日今日とは思わざりしを」ということ。




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こんばんは。いつも樂しく拜見させて戴いてをります。

辞世の句は、切なくなるものやその人の生き様が浮かんでくるやうなものなどありますね。

業平の歌は、伊勢物語の最期の段でもあり、色々あつた伊勢物語の物語の最最後を締めくゝる秀歌だと思ひました。

なかなかに世にも人をも恨むまじ 時にあはぬをを身の咎にして

これは、今川氏真の辞世の句ですが、達観してゐると言ひますか、この人、苦勞したんだなと感じられる歌です。

この本、讀んでみたくなりました。

橘右近大夫 さま

コメントありがとうございます。

ご紹介いただいた氏真の辞世の句。感銘しました。氏真のイメージが変わりました。

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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