めんどくせぇことばかり 『光明皇后』 瀧波貞子
FC2ブログ

『光明皇后』 瀧波貞子

著者の瀧波貞子さんという方は、光明子、光明皇后や聖武天皇が大好きなんだな。光明あっての聖武天皇、光明あっての孝謙女帝っていう見方だから、光明あっての奈良時代。奈良から京都への移行も、光明を理解してこそって立場で書いてらっしゃる。

この時代への味方は複雑だよね。

持統ー元明ー元正ー光明ー孝謙って続く女のラインを重視するか。天武ー草壁ー文武ー聖武って続く男のラインを重視するか。そんな考え方もあるんだな。

律令制導入に伴う社会変化だけでも大変なところに、天然痘の流行だの、反乱だのと、上を下への大騒ぎ。だけど、政権を主導したものを見ていくと、《藤原不比等》⇒《長屋王》⇒《藤原四氏》⇒《橘諸兄》⇒《藤原仲麻呂》⇒《道鏡》⇒《藤原百川》ってなぐわいで、藤原氏と誰か、藤原氏と誰かって感じで移行していっているのが分かる。

もちろん藤原氏が一枚岩だったってわけではないんだけど、結果としてはしっかり政敵を排除していってるんだよね。その政敵を排除していくって過程においては、光明子は不比等にとっても四兄弟にとっても、とっても大事な手駒だったわけだよね。もちろん、聖武天皇自体が彼らの手駒だったはず。つまり、彼らは藤原氏の手駒夫婦だったわけだ。

『光明皇后』    瀧波貞子

中公新書  ¥ 950

平城京にかけた夢と祈り 遷都、政争、正倉院… 天平時代の光と闇
第一章 父不比等と母三千代
第二章 父、逝く
第三省 皇太子の早世
第四章 母の死
第五章 四兄弟の急死
第六章 夫との別れ
第七章 娘への遺言


手駒夫婦は、最後まで手駒夫婦で終わったのか。手駒夫婦であることを彼らは受け入れて生きたのか。それともあらがって生きたのか。その視点はこの本にはない。

そこを無視していいのかなって思う。だってこの二人は、宿命的に政治的存在だ。仏教への帰依に心の平安を求めても、政治的存在である自分から逃げることはできるはずがない。天武の跡をたどり、宮を次々の移そうとする聖武からは、藤原の手の内から離れようとする心情が透けて見えるが、この本はそれを無視する。

政治男の藤原不比等の行動に、おそらく無駄なことなんか何一つない。三千代を自分のものにしたのも政治的な行動。そのために三千代の夫の美努王を大宰府送りにしている。・・・ほかに人がやったことじゃないでしょう。不比等でしょう。

その不比等と三千代が、“夫婦相和し”って感じで書かれてる。きっと三千代はもっと複雑。複雑な三千代は、宮子にも無神経であったとは思えない。

なぜか長屋王の事件の取り扱いが小さい。藤原氏の関与を小さく扱いすぎている。聖武が長屋王に対して怒り狂ったって書いている。そのための族滅か。そんなのありえないだろう。自分の子供を慈しむことを覚えたならば、聖武も光明子も長屋王の一族を族滅させるなんてできるはずがない。

やったとすれば、愚かとしか言いようがない。


光明皇后はあまりにも多くの身内の死に接し、人生は苦悩に満ちていたというが、そんなの誰だって当たり前と言えば言えないこともない。その苦悩は、自分と夫が手駒夫婦であったからこそ深いものであったはず。

母の苦悩の意味を知っていたから、聖徳女帝は、皇統に存在意義を感じていなかったんじゃないかな。だからこそ、仏に仕える道鏡にその地位を譲ろうと考えたんじゃないかな。

江戸時代の川柳に、「道鏡に崩御崩御と称徳言い」なんてのがあるけど、称徳を貶めるのを承知の上で、面白おかしい話をでっち上げて皇統を蔑んだのは、やはり藤原氏なんじゃないかな。

・・・そんなことを考えながら読みました。





にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


現代とはなぜこんなにも棲みにくいのか。
前近代から近現代へと変貌し続ける世相の本質をつかみ生き方の支柱を示す。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事