めんどくせぇことばかり 『逆襲される文明 日本人へⅣ』 塩野七生
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『逆襲される文明 日本人へⅣ』 塩野七生

塩野七生さんの観察眼は、なにしろ日本のあり方をヨーロッパ各国のあり方と相対化して説明してくれるのでありがたい。日本では、頭の良さそうな人ほど、・・・良さそうに振る舞っている人ほど・・・かな。・・・とにかくそれっぽい人ほど日本の政治家をこき下ろす。政治家をこき下ろせば、頭が良さそうに見えるとでも思っているに違いない。

最近は少しは良いように思うけど、それに反するような意見は、それこそ“軍国主義”だの、“右翼”だのとレッテルを貼られる。私もかつては、なんか発言するときは、「ちなみに私は軍国主義者だと思ってもらってもいいんだけど・・・」、「・・・民族主義者だけど・・・」、「・・・少なくとも左巻きじゃないけど・・・」などと前置きをして話をすることもあった。

そんな私のことなんかどうでもいいんだけど、情報源を国内にしか持たない私のような人間にとっては、与党の政治家をこき下ろせば“知識人”っていうような浅薄な世間では、時に自信を失いそうになることも少なくない。

そんな時、塩野七生さんの《日本人へ》のシリーズはありがたい。

政治の世界である。◯と☓できれいに割り切れるものじゃない。正義と悪ではさらさらない。つまり絶対的なものじゃなく、相対的にとらえた上でバランスが重要になる。「悪くない」は上々の部類だろうし、「ちょっとはまし」なら十分とするべきだろう。そういう目は、国内の情報源だけでは育たない。ヨーロッパで生活している塩野七生さんにしてみれば、政治を見る目は相対的になるのが当然。そんな人の観察眼を通して日本の政治を見ると、“知識人”の取ってつけたご意見に惑わされずに済む。

少なくとも私は、《日本人へ》シリーズのおかげを受けている。塩野七生さんや、川口マーン惠美さんの書いたものを読むことは、書かれている事実以上に身になるものがあるように思う。

・・・ちなみに、どちらも女の人をあげているのは、やはり私が男だからなのだろう。

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「危機」という言葉を発明した古代ギリシャ人はこの言葉にもう一つの意味を込めた。それは「蘇生」である
Ⅰ 国産で来た半世紀 イタリアの悲劇 帰国してみて ほか
Ⅱ 一神教と多神教 ローマに向けて進軍中 テロという戦争への対策 ほか
Ⅲ 「保育園落ちた日本死ね」を知って EU政治指導者たちの能力を問う ほか

この、《日本人へⅣ》では、しきりに“難民”のことが話題にされている。『逆襲される文明』という題名の由来もそこにある。たしかにイタリアは難民問題の表舞台だ。

イラク・シリア・パレスチナ、それに中央アフリカが加わって、これらの国からの難民が地中海を渡ろうと集まるのがリビア。ジャスミン革命に揺れた中東も、内戦に突入していまだに無政府に近い状態を続けているのがリビア。行き場を失ったISISまで集まって、混迷は極まるばかり。それ故に不法出国もしやすい。それに目をつけた無法者が、高い渡し賃を取って、ボロ船に難民をすし詰めにして地中海に送り出す。舟がひっくり返ろうが、沈もうがお構いなし。リビア領内からSOSでも発せられれば、助けに向かわなければ、イタリア政府はなにを言われるかわからない。

ひどい時には、一日千人がイタリア沿岸に流れ着いた。しかもイタリアを目指す百万人以上の難民候補者がリビアに集結していたという。

諸悪の根源は各地で発生している内戦だとしても、それを止める手立てがない。軍事力がない。それだけの力をつけたとしても、腰を上げればNGOなり、NPOなりから内政干渉だのといちゃもんつけられるのが関の山。

なにしろ難民たちは、ヨーロッパに入り込むなり、元からそこに住んでいる人たちと同じ権利を求めるもんだから、当然元からそこにいる人たちの反発を受ける。

彼らの不満は、“何人たりとも人権は尊重されるべき”で、享受する権利も同等というところから来ている。“人類社会の進歩”と彼らが信じてきた理念が、逆に自分たちを危機に貶めている。

そういうわけで、《逆襲される文明》という題名につながるわけだ。

それにしても、塩野七生さんの、“難民の流入”に対する危機感はかなりのもの。読んでいても、いよいよヨーロッパ社会が切迫している様子を感じる。

「我が祖国日本がこの難問に直面する時期が、なるべく遅く来てほしい」という言葉にも、その切迫感が思い知らされる。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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