めんどくせぇことばかり 『山怪実話大全』 東雅夫
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『山怪実話大全』 東雅夫

もしもあなたが、この本の“実話”という言葉に、無意識に吸い寄せられるような人間であったなら、これはいけません。私とともに、大いに悔い改めようではありませんか。網棚に置き捨てられた『週刊実話』を気にしながらも、ちらちらと横目で見つつも、人目を気にしてついに手を出せなかったあの日を。・・・そうじゃないだろ。

「床屋の頭の禿げた亭主がいなくなって奥さんが仕事をしてるのは、亭主がPTAで一緒のなった隣町の人妻と駆け落ちしたんだと」。なんて“実話”が中学生の私の耳にまで入ってきたのは、なぜか情報通の同級生、さと君の口からでした。さらにしばらくすると、「亭主が戻って来て、奥さんと和解して仕事をしているらしい」という後日談まで公開して、しっかりけりをつけてくれてました。さらには、「どうやら頭の禿げている人はすごいらしい」などという、当時の私たち中学生には理解不能な情報のおまけまでついていました。

山の怖い話にも、“実話”という言葉がつくとつかないでは、なんとなく受け取る側の感じ方が違ってきますね。それはもはや、ただの“話”ではないのだ。“実話”なんですからね。

私のくだらない“実話”観はこれくらいにしておきます。

それにしても、よく歩きなれた山の名前が“怖い話”の中に取り上げられたりすると、・・・別にそれは怖い話ではなくてもそうですが、興味深いもんですね。私が歩いたあの山道を、こういうことを考えながら、あるいは感じながら歩いている人がいるんだなって思うだけでも面白いです。

『山怪実話大全』    東雅夫

山と渓谷社  ¥ 1,296

山では、見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずのものが聞こえたり・・・
「不思議な山」夢枕獏
「山の怪談」深田久彌
「焚火をかきたててからの話」上田哲農
「木曾御岳の人魂たち」西丸震哉
「谷底の絃歌」大泉黒石
「山で見る幻影」下平廣惠
「夢」串田孫一
「山のおばけ座談会」山高クラブ
「黒沢小僧の話」務台理作
「奥会津檜枝岐怪異譚」石川純一郎
「雪女」関野準一郎
「山の神の怒」田中貢太郎
「木曾の怪物」岡本綺堂
「炭焼の話」岡本綺堂
「山村民俗随談」柳田國男
ほか、全26話

山の怖い話が好きで好きでたまらないんですが、なおかつ私も山に登るわけですが、怖い話を思い出して怖くなったってことはないですね。怖いことって、あとから考えたら「あれはおかしい」とかってことが多いですね。あとは音とか、気配とかですね。

口が耳まで裂けあがった女の人が、髪を振り乱して追いかけてくるなんてどうにもならないことは経験したことがありません。そんな人に合うような予感を抱いたこともありません。たぶん誰の身の上にもそんなことは起こらないでしょう。

熊を見たことは一度あります。谷を挟んで向こうの山の斜面に、その熊はいました。ずいぶん遠かったので、怖くなかったです。思い出すのも恐ろしいのは、山道で、三匹の野犬に遭遇した時です。「ウウッ・・・」って低くうなられて、ゾッとしました。何気なく杖をつついた草むらに、マムシがとぐろを巻いて怒ってるのを見たときも怖かった。

思いもよらない音は怖いですね。何かが唸っているような声とか、人の呼ぶ声とか。一人で歩いている人は誰でも経験してるでしょうけど、そういう時はとりあえず、手をはたいて、高い声を発するようにしてますが。あとは、足音ですね。どうしても聞こえますね。自然界にありますかね。足音と間違えそうな、そんな音。

それから気配ですね。なにかがいるって気配。考えすぎかもしれませんが。かりに、本当に何かがいるとしても、口が耳まで裂けた女ではないと思います。

昨今の街では、“意味のあるもの”しか存在を許されなくなってしまって、“意味”とは無関係にそこに存在するっていうのはダメなんですね。だから、意味のない“音”も、ましてや“気配”なんて出る幕がありませんからね。でも、山だったら、“意味”とは無関係に存在するものであふれてるじゃないですか。・・・だから、私の居場所も、山なんですね。

すみません。終始、本の紹介をすることなく終わってしまいました。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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