めんどくせぇことばかり 『日本問答』田中優子 松岡正剛
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『日本問答』田中優子 松岡正剛

「日本という国がどんな価値観で組み立てられてきたのか」をめぐる対談もの。これまで私が読んできたものとは、ちょっと毛色が違うかな。なにしろ田中優子さんと松岡正剛さんの対談ですからね。

田中優子さんは江戸文化の研究者。…と言うよりも、私にとっては出身大学の総長ですね。松岡正剛さんは、…何者であると言えばいいのかわからない。日本という国をつきとめようとしている人ってことなんでしょうか。

この対談の本質を理解するのが、まず難しい。「この国がどんな価値観で組み立てられてきたのか」という松岡正剛さんの言い方ではとりとめがなさすぎます。田中優子さんは、危機に目前に向かえた世界において最初にそれに直面する日本は、その向こうに新たな時代を迎えることができるのか。そのための「日本にあったはずの方法、しくみ、それを支えていた理念をこれから使うために言語化しようとする試み」だと言ってます。頭のいい人は今を置き去りにしてどっかから俯瞰しているわけですね。

「ナショナリズムに由来するものではない。いっしょに頑張ろうというオリンピック精神でもないし、運命を共にしようという共同体論でもない」と言い切ってますからね。私はと言えば、ナショナリズム以外によって立つ場を持たず、一緒のがんばろうと励ましあい、運命を共にすることになる。俯瞰される立場の私は、そうせざるを得ないのです。

なぜ、こうも難しいんだろう。きっと、難しい人同士の対談だからだろう。

 『日本問答』  田中優子 松岡正剛
岩波新書  ¥ 1,015

日本はどんな価値観で組み立てられてきたのか。なぜそれが忘れられてきたのか

1 折りたたむ日本
2 「国の家」とは何か
3 面影の手法
4 日本の治め方
5 日本儒学と日本の身体
6 直す日本、継ぐ日本
7 物語とメディアの方法
8 日本の来し方・行く末


「むずかしい、むずかしい」って、イチャモンつけちゃいけませんね。第一私は、けっこうおもしろく読ませてもらったわけですからね。こういう対談ものって、結局、突き詰めないから、読んでて楽ですよね。

それが一人になると、そうはいかない。「不正確なことは書いちゃいけない。中途半端なことは書いちゃいけない。そんなことをしたら、どっから突っ込まれるかわかったもんじゃない」って頭が働くから、細かいところまできっちり、くどくなっても詳細に、誰からも突っ込みようのないことを第一に書いちゃいますから、結局はつまらなくなる。

だから、ぎりぎりのところの知見を無責任にぶつけ合う対談は、どこか危うげで、その分だけ限りなく面白くなりますね。

論語・孟子・大学・中庸に詩経・易経・書経・礼記・春秋か。私が無理やり読んだ四書・五経を軽々使いこなし、古代史・中世史・近代史と駆け巡り、日本儒教の輪郭をなぞり、はては神仏、キリスト教、国学に国体、おまけと言っちゃあなんだけど、きものや文芸にまで話題は及びます。

私あたりの知識じゃあとてもついていける処じゃないけど、それを持ち出す意義、そこから何を解き明かそうとしているのかは、何とか理解できた。全編を通して知的好奇心を刺激され、田中優子さんの思想的なところは除外して、面白く読ませてもらった。

だけどそれが、田中優子さんの言う“危機感”、「・・・事態への準備がなにもできていない」リーダーをいただいていることの危機感の解消に方向性を与えることくらいはできたかどうか。どうも怪しい。・・・と言うよりも、田中優子さんの言うところの危機感に、私はねじれのようなものを感じる。 




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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