めんどくせぇことばかり 19世紀後半『大日本史』 山内昌之 佐藤優

19世紀後半『大日本史』 山内昌之 佐藤優

たしかに、19世紀後半っていうのは、すごい時代だったんですね。

明治維新が1868年でしょ。西洋諸国が東アジアに進出し、その流れの中で“黒船来航”をきっかけに幕末の動乱に突入し、明治維新を迎え、大勢を一新させる。これを、《国家存亡をかけて世界に対して国を開いた》日本の特殊な現象と捉えていたんだけど、《国家存亡》が掛かっていたのは、なにも日本だけじゃないんですね。

サルディーニャ王国を軸としてイタリアが統一されたのが1861年。同じ1861年には、アメリカで独立戦争が始まる。プロイセンがオーストリアに続いてフランスをやぶってドイツ帝国が経ちあげられるのが1871年。19世紀後半と言うより、1861~1871年の11年間なんですね。

誤解されがちなのがアメリカの南北戦争で、これ以前のアメリカは、いわば、今のヨーロッパ連合みたいなもんだったわけです。それが今のアメリカ合衆国のような国になったのが、南北戦争なわけですよね。

著しく違っていたのは“経済”ですね。奴隷を労働力として使う大規模な綿花栽培を中心とする農業国の南部は、イギリス経済圏の内側で綿花貿易の利益を享受するためにも自由貿易を主張した。他方、急激な工業化でイギリスと競合し流動的労働力確保のためにも奴隷制に反対する北部は、欧州製工業製品に対抗するためにも保護貿易を必要とした。

「いやだ、俺たちはお前たちとは違うんだから独立する」と言う南部諸州の首根っこを押さえこみ、軍対軍の戦いだけじゃなく、生産拠点ばかりではなく居住地域まで焼き払うようなやり方で南部の富を奪い取り、支配下においた北部。リンカーン大統領は、その北部の利益を代表する人物だったわけだよね。

そのやり方、「第二次大戦時の日本への都市大空襲に通じる」って山内さんも言ってます。

イタリアにしても、アメリカにしても、ドイツにしても、先行するイギリス、フランス、ロシアに対抗していくためには、“規模の有意さ”っていうのを手に入れる必要があったってことなのかな。


『大日本史』    山内昌之 佐藤優

文芸春秋  ¥ 929

幕末から太平洋戦争まで「日本の最も熱い時代」を縦横無尽に徹底討論
第一回 黒船来航とリンカーン
第二回 西郷と大久保はなぜ決裂したのか
第三回 アジアを変えた日清戦争 世界史を変えた日露戦争
第四回 日米対立を生んだシベリア出兵
第五回 満州事変と天皇機関説
第六回 二・ニ六事件から日中戦争へ
第七回 太平洋戦争 開戦と終戦のドラマ
第八回 憲法、天皇、国体 

いずれにせよ、アメリカにおける内戦、・・・と言うよりも、北部が嫌がる南部を押さえつけて、無理やり“国家統一”を成し遂げる戦いが終わって、“次は日本の順番”ってことですよね。

ここで二人は、“シリア”の話を持ち出しています。・・・今の、シリアね。

今のシリアは、《アラブの春》の流れの中で始まった民主化要求運動が弾圧されたのを皮切りに、イラクでたたきつぶされた連中が絡んできて、イスラム国が「ああだ、こうだ」ということになって、ロシアが大々的な援助に乗り込んで、アサドがいい気になって、イランまでが関係してきた。佐藤さんは「事実上、シリアと言う国はなくなった」と言っている。

内戦に外国勢力が関わってくると、収拾がつかなくなる。山内さんは、「幕末の日本も、一つ対応を誤れば、英仏代理戦争やアメリカの元南軍兵士が暴れまわる混乱状態」もあり得たと言う。

日本は、・・・。最後のところで、外国勢にの関与を許さなかったわけですね。「幕府も長州も、外国人が深入りすることを嫌った」と山内さんは言う。全面的に支持するわけではないが、結果としてはそうなった。だからこそ、南北戦争の死者が約50万人なのに、戊辰戦争の死者は8千400~500人で済んだ。シリアは、2015年末段階で26万人以上が死んでいる。

生きるか死ぬかの場面でも、外国勢の介入には一線を引きた。・・・その結果が敗北に終わったとしても。

そうですよね。朝鮮王朝は、時には清朝に頼り、日本に媚を売り、果てはロシア公使館に国王が駆け込んだですよね。朝鮮伝統の事大主義と言えばそれまでだけど、他国を引き込むのに迷いがないよね。古くは唐を引き込んだ新羅が、百済を滅ぼして、高句麗を滅ぼして、朝鮮を統一した国だもんね。

いずれにせよ。私は明治維新を全面的に受け入れるつもりはないものの、外国勢力を介入させないという最低限度のところを守ったまま新体制に移行できたことは大きかったですね。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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