めんどくせぇことばかり 死者の書『死者と先祖の話』 山折哲雄
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死者の書『死者と先祖の話』 山折哲雄

折口信夫の『死者の書』は、奈良に都がおかれた時代のお話。

ヒロインは藤原南家の娘で、信心深いその娘が彼岸の中日の夕暮れ方に、二上山の山の端に「荘厳な人の俤」を見るんですね。《阿弥陀経》千部書写の願をかけていた娘は、その俤を阿弥陀仏と確信するのです。そして彼女は、次の彼岸の中日が来るのを待ちわびて、ためらうことなく二上山に登っていくのです。

二上山でお分かりの方も多いと思いますが、この『死者の書』、若くして処刑された大津皇子の死と蘇りの物語なんだそうです。南家の娘が見た阿弥陀仏“俤”は、まさに大津皇子の姿であって、大津皇子の死体が岩窟の中で蘇っていく物語なんだそうです。

物語は、蘇らんとする大津皇子の肉体が、やがて生きた肉体を持つ南家の娘の思いを受け止めることを予感させるのですが、物語はそういった創作の世界の厚い扉の前にたじろぎ、死者にどくどくと流れる熱い血の高まりを与えず、その魂はあらためて成仏を目指して浄土におもむこことになってしまうんだそうです。

なんだか、身も心もささげて二上山におもむいた南家の娘がかわいそうな気がするな。

なにしろ、『死者の書』というのは、暗闇に閉じ込められた死者が、浄福の死者へと転生する物語ということなんですから。厚く燃える血をその女の肉体にたぎらせる女にすれば、死者が、さらに深い死の国へ向かったに過ぎない。つまり、死者はしょせん死者であったと・・・。


『死者と先祖の話』    山折哲雄

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無葬無墓・散骨葬・寺院消滅・脱宗教…死を棚上げにしたまま肥大化する社会現象
第一章  戦後と東北
第二章  英霊と鎮魂
第三章  供養と骨
第四章  折口と柳田
第五章  往生と看取り
第六章  死と生
686年に天武天皇が崩御する。改革事業の完成を目前にした崩御であった。翌年、大津皇子が謀反を起こし、捕縛され、翌日には処刑されてしまった。

うつそ身のひとなる我や 明日よりは 二上山を弟と我が見む

お姉さんの大伯皇女の歌ですね。とても悲しいです。

持統天皇は、姉である大田皇女と天武の間に生まれた大津皇子に謀反の濡れ衣を着せて殺した。大津皇子は、おそらく天武天皇の皇太子だったでしょう。皇太子が大津ならば、大津が謀反を起こすってのは話が違う。

日本で最初の漢詩集である『懐風藻』は、大津皇子を《太子》と読んでいるそうです。『日本書紀』は草壁皇子を皇太子だって言ってるんですよね。『日本書紀』を編纂したのは藤原不比等ですからね。

蘇我氏は乙巳の変の入鹿暗殺で衰退したと思われがちだけど、壬申の乱の大きな絵を描いたのは蘇我氏なんですよね。白村江の戦いで負けて帰った天智は、敵対する蘇我勢力を抱え込む形でしか政権を維持できなかったということですね。そして、その蘇我勢力が天武天皇を支持し、さらに大津皇子を支持していた。

持統は草壁皇子の即位を願い、謀反事件をでっち上げて大津皇子を抹殺してしまった。だからこそ、草壁皇子は父の崩御の後2年以上も虚しく時を過ごし即位できずに病死した。大津事件が冤罪であったために、天武朝を支えた蘇我勢力が草壁皇子の即位を許さなかったのだろう。

・・・大津皇子が南家の娘の期待に応えるなんて、最初からありえないよね。




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人生に必要なもの、一人の女性、一人の親友、一つの思い出、一冊の本。
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


















































































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