『世界の歴史はウソばかり』 倉山満
昨今の潮流は、民族が強調されて国家が解体され、同時にEUに代表されるような国家統合が進行しつつあります。イギリスのEU離脱に関連して、スコットランドがイギリスから独立してEUに加盟するとかって話は、そのまんまですね。
著者の倉山さんは、著書の中で繰り返し繰り返し、第一次大戦後のパリ講和会議を主導した第28代アメリア大統領ウッドロー・ウィルソンを取り上げます。そう、昨今の潮流の根源は、まさにウィルソン大統領にあるとして、・・・ですね。
有名なウィルソンの14か条ですね。その中で民族自決を打ち出して、ウィルソンはバルカン半島ではオーストリア・ハンガリー帝国を解体し、オスマン・トルコ帝国を崩壊させて、その跡地に食い込もうとした。ついこの間まで続き、現在にも多大なる禍根を残している旧ユーゴスラビアの悲劇のもとは、ウッドロー・ウィルソンにあるわけですね。
それだけじゃない。あちこちに民族運動の火の粉を飛び散らせ、上がらなくてもいいところに火柱を上がらせましたよね。
十字軍とか、ペスト大流行とか、百年戦争とか、いろいろな経験の果てにヨーロッパが近代を迎えるころ、主権国家って考え方が生まれてきますよね。近代ってのは、世俗の世界がキリスト教会から自由になる過程で、決着がつくのは1648年のウェストファリア条約ですね。これで各国の国王は皇帝や教皇の支配から独立し、各国の国王が対等の関係で領土と領民を治めることになります。主権国家になったわけですね。
そこからさらに100年以上の年月をかけて、国王ではなく国民が国家の主体となっていきます。一番わかりやすい例は、やはりフランスですね。そう、フランス革命。
最初、「国王陛下万歳」と叫んで革命を始めたフランス国民は、やがて、「フランス万歳」と叫び、ラ・マルセイエーズに促されて戦地へ向かうわけですね。
さらに教会財産を没収し、聖職者を公務員として国の支配下におき、教会が担った出生・婚姻・死亡などの戸籍管理は国が行うようになる。名実ともに、教皇と縁を切るわけです。
国王を殺した革命を、周辺国は必死になって圧殺しようと、対仏大同盟を結んで干渉戦争を始めます。迎え撃つのは戦争の天才ナポレオンに指揮されるフランス国民軍で、これが強かった。
フランスは、フランス人が武器をもって周辺諸国と戦う経験をすることで、国民国家としてのフランスが形成していったわけですね。フランス語が普及したのものこの時。大革命からナポレオン戦争の30年間を通じて、フランス語がフランス国民に普及し、「民族として共通の歴史を記憶し、フランス語を話すフランス国民によるフランス国家」が形成されたわけです。
だけど、この間にギロチンに首を落とされた人はおよそ1万6000人。カトリックの伝統を守ろうとしたヴァンデ地方はえらい目に合って、その犠牲者はんん十万人でしょ。犠牲が大きすぎる。その犠牲は、国民国家の“国民”の外に置かれてるのかな。
アメリカの国民を作ったのも戦争でしょ。南北戦争っていう内戦、・・・じゃないんだよね。これは、南部諸州がアメリカ合衆国の一元化に反発して独立し、アメリカ連合国を立ち上げたものを、アメリカ合衆国が叩きのめした戦いですよね。
アメリカ合衆国は、のちに日本に対する焦土作戦を、実は南部に対して実行してるんですよね。独立以来、今のEUのような緩やかな連合のもとにつどった元“仲間”を叩きのめして、「メイフラワー号で新大陸に渡って以来の一つに統合された国家」の裏切り者として従わせたわけですよね。
「アメリカは、そんなプロパガンダを流して、流した本人がそのプロパガンダを心の底から信じ込む」、そんな国です。そして、そんなことを何度も繰り返す国です。
中華人民共和国は国民国家になるために、かつてはネイションの地位にあった満州族をほぼ壊滅させ、チベット族やウイグル族、モンゴル族への民族浄化を進めている。
朝鮮半島の二つの国に関しては、わけがわからない。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
著者の倉山さんは、著書の中で繰り返し繰り返し、第一次大戦後のパリ講和会議を主導した第28代アメリア大統領ウッドロー・ウィルソンを取り上げます。そう、昨今の潮流の根源は、まさにウィルソン大統領にあるとして、・・・ですね。
有名なウィルソンの14か条ですね。その中で民族自決を打ち出して、ウィルソンはバルカン半島ではオーストリア・ハンガリー帝国を解体し、オスマン・トルコ帝国を崩壊させて、その跡地に食い込もうとした。ついこの間まで続き、現在にも多大なる禍根を残している旧ユーゴスラビアの悲劇のもとは、ウッドロー・ウィルソンにあるわけですね。
それだけじゃない。あちこちに民族運動の火の粉を飛び散らせ、上がらなくてもいいところに火柱を上がらせましたよね。
十字軍とか、ペスト大流行とか、百年戦争とか、いろいろな経験の果てにヨーロッパが近代を迎えるころ、主権国家って考え方が生まれてきますよね。近代ってのは、世俗の世界がキリスト教会から自由になる過程で、決着がつくのは1648年のウェストファリア条約ですね。これで各国の国王は皇帝や教皇の支配から独立し、各国の国王が対等の関係で領土と領民を治めることになります。主権国家になったわけですね。
そこからさらに100年以上の年月をかけて、国王ではなく国民が国家の主体となっていきます。一番わかりやすい例は、やはりフランスですね。そう、フランス革命。
最初、「国王陛下万歳」と叫んで革命を始めたフランス国民は、やがて、「フランス万歳」と叫び、ラ・マルセイエーズに促されて戦地へ向かうわけですね。
さらに教会財産を没収し、聖職者を公務員として国の支配下におき、教会が担った出生・婚姻・死亡などの戸籍管理は国が行うようになる。名実ともに、教皇と縁を切るわけです。
国王を殺した革命を、周辺国は必死になって圧殺しようと、対仏大同盟を結んで干渉戦争を始めます。迎え撃つのは戦争の天才ナポレオンに指揮されるフランス国民軍で、これが強かった。
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フランスは、フランス人が武器をもって周辺諸国と戦う経験をすることで、国民国家としてのフランスが形成していったわけですね。フランス語が普及したのものこの時。大革命からナポレオン戦争の30年間を通じて、フランス語がフランス国民に普及し、「民族として共通の歴史を記憶し、フランス語を話すフランス国民によるフランス国家」が形成されたわけです。
だけど、この間にギロチンに首を落とされた人はおよそ1万6000人。カトリックの伝統を守ろうとしたヴァンデ地方はえらい目に合って、その犠牲者はんん十万人でしょ。犠牲が大きすぎる。その犠牲は、国民国家の“国民”の外に置かれてるのかな。
アメリカの国民を作ったのも戦争でしょ。南北戦争っていう内戦、・・・じゃないんだよね。これは、南部諸州がアメリカ合衆国の一元化に反発して独立し、アメリカ連合国を立ち上げたものを、アメリカ合衆国が叩きのめした戦いですよね。
アメリカ合衆国は、のちに日本に対する焦土作戦を、実は南部に対して実行してるんですよね。独立以来、今のEUのような緩やかな連合のもとにつどった元“仲間”を叩きのめして、「メイフラワー号で新大陸に渡って以来の一つに統合された国家」の裏切り者として従わせたわけですよね。
「アメリカは、そんなプロパガンダを流して、流した本人がそのプロパガンダを心の底から信じ込む」、そんな国です。そして、そんなことを何度も繰り返す国です。
中華人民共和国は国民国家になるために、かつてはネイションの地位にあった満州族をほぼ壊滅させ、チベット族やウイグル族、モンゴル族への民族浄化を進めている。
朝鮮半島の二つの国に関しては、わけがわからない。


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