めんどくせぇことばかり 『裏が、幸せ。』 酒井順子
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『裏が、幸せ。』 酒井順子

そりゃあ、私だって「表」よりも「裏」の方がいいですよ。ムフ。

子どもの頃は、《表日本、裏日本》という言い方がありました。“あった”ってだけじゃないですね。子どもの頃に日本列島を認識するとき、まずは《表裏》から始まりましたね。《北海道・本州・四国・九州》っていうのは、そのあと。そして、その認識って、きわめて自然なものだったですね。

だって、お腹を突き出している人はいても、背中を突き出している人はいないでしょう。鼻は顔についているのであって、後頭部にはありませんもんね。《表裏》が嫌なら、《前後》でもいいですけどね。

海外との取引が盛んになって、太平洋岸に工業地帯が作られて、石油を満載したタンカーが入って来て・・・って、だからこっちが《表日本》と呼ばれるようになったけど、それ以前、“中国や朝鮮半島”から文化が入ってきたんだから、もとをたどれば日本海側の方が《表》だった。

そんなことが言われるようになって、《表裏》は使われなくなったんですよね。著者の酒井順子さんは「《裏》という言い方が不快感を与えるということで、今は使用されない言葉に」なった書いておられます。そのへんはどうだったんでしょうね。日本海側の方々が「不快感を与えられた」と表明されたのでしょうか。《裏日本》の方々が、そんな《表》じみたことをするでしょうか。


『裏が、幸せ。』    酒井順子

小学館文庫  ¥ 648

これまでの太平洋側中心の価値観に、見事に風穴を開けた、大反響を得たエッセイ
はじめに 「裏」性の魅力
陰影 闇に浮かぶ金沢の金箔、能登の漆
民藝 鳥取と新潟の名プロデューサー
演歌 なまり色の日本海ソング
仏教 浄土真宗と一向一揆
神道 「裏」の大社、「表」の神宮
美人Ⅰ 日本海側美人一県おき説
美人Ⅱ 越後と出雲、最強美人伝
流刑 佐渡と隠岐、流されるロマン
盆踊り 顔を隠すエロティシズム
文学Ⅰ 「表」の男と「裏」の女の物語『雪国』
文学Ⅱ 泉鏡花と金沢
文学Ⅲ 水上勉における不幸の利用
田中角栄 新潟のポップの日本改造
鉄道Ⅰ 北前船、ローカル鉄道、北陸新幹線
鉄道Ⅱ 陽から陰へ、陰から陽へ
幸福 軒並み「日本で一番いい県」
原発 水上勉が憂いた「過剰文明」
金沢 暗い空に照り映える色彩
観光 陰があるからこそ光がある


さて、この本は、もとは2015年に出されたもんですね。文庫化されたのが2018年1月です。この本を手にした理由は、ついこの間読んだ益田ミリさんの『永遠のおでかけ』のなかで、酒井順子さんの本の引用があったからです。なんかの縁と思って酒井順子さんの本で面白そうなものを探してみたら、『裏が、幸せ。』という変な題名の本があったので、飛びついてしまったということですね。

著者の酒井順子さんは私よりも6歳下です。だけど、この6歳の違いはけっこう大きいんです。“あとがき”に、「記憶に残る最初の首相が田中角栄」とあり、「バブル世代として就職」とあるのを読んで、率直にそう感じました。

公害にしても、酒井順子さんは「公害などの成長痛を伴いつつどんどん発展」とやり過ごしますが、6歳上だと真っ只中です。四大公害が問題化した年を上げてみても、水俣病1969年、新潟水俣病1967年、イタイイタイ病1968年、四日市ぜんそく1967年と、私の小学校時代にドンピシャなんです。さらに中学時代から大学に入る時分に第一次・第二次石油危機がありましたから、それなりに将来に重たいものを感じました。流行っていた深夜放送も高度成長の頓挫を背景にして、むしろ高度成長の“裏”側をのぞき込んでいました。

「バブル世代として就職」し、「私が若者だった時代、日本はいつも右肩上がりで、イケイケだった」と書かれていますが、石油危機と高度成長の終焉、それに続く低成長、マイナス成長時代が見落とされてます。ほんの数年の違いですが、私たちの就職活動はきびしかったです。酒井さんの世代は高度成長期に生まれたバブル世代と言うべきでしょう。

結局、1年浪人することになりますが、それでも決して悪い経験ではありませんでした。むしろ問題は、そのあとのバブル時代にあったんじゃないかと思います。そう、明るい時代でしたね。もともと“裏”の方が性に合う私には、やりきれない時代でした。

またしても、まったく本の紹介になっていませんが、歴史、文学、歌謡に渡って“裏日本”の魅力の根源に迫る面白い本でした。やっぱり、“裏”がいいですね。・・・ムフムフ・・・。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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