めんどくせぇことばかり 『人に話したくなる世界史』 玉木俊明
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『人に話したくなる世界史』 玉木俊明

え~、本当なの?すごいな、フェニキア人。

いえね。ヘロドトスによれば、エジプトのファラオ、ネコ2世(在前609~前593)の命により、フェニキア人が紅海から喜望峰を回り、3年かけてアフリカを周回しているんだって。ジブラルタルを越えて北海にまで海上ネットワークを伸ばしていたって言うんです。《大航海時代》なんて、ずいぶん遅ればせながらの話だったんですね。
おまけに、黒人の骨が新大陸から発見されてるということなんです。免疫がまじりあうまでの交流はなかったわけだけど、インディオは黒人を見知ってたわけですね。そう、異邦人として。もしかしたら、それがオルメカの石像になったのかな。あれ、潰れた鼻と分厚い唇、あれはやっぱりネグロイドですよね。

世界史は、ヨーロッパ史を中心に構成されてきましたよね。ローマ帝国以来、ヨーロッパの中心は地中海にあって、西ローマ帝国滅亡後も古代地中海世界という枠組みは継続されたが、7世紀、イスラム勢の力が地中海に及んでそれは終わったっていうものだったんだそうです。・・・たしかにそうですね。

以後、ヨーロッパ世界の中心は内陸に移り、フランク王国がそれを担い、シャルルマーニュによってそれが体現されていく。「ムハンマド無くしてシャルルマーニュなし」とは、歴史家アンリ・ピレンヌの言葉ですね。

その歴史観の中では、地中海からは交易は姿を消し、対レヴァント貿易の第一の根拠地であったマルセイユの港もさびれてしまったということになってるんだそうです。そして、十字軍の遠征という刺激が加えられるまで、地中海交易の火は消えると・・・。

しかし、著者の玉木俊明さんの言葉で、この本の各所に登場する《異文化交易》というのがあるんですね。これは面白いです。歴史の中で、商人たちは、宗教的区別よりも、商業上の利益を優先しているんですね。中世のヨーロッパにおいてもそうです。

中世、西ユーラシアにはイスラム経済ネットワークが張り巡らされていて、そのごく一部としてのヨーロッパネットワークが存在していたっていうんです。



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『母をたずねて三千里』のマルコはなぜイタリアからアルゼンチンへ渡ったのか?
1 アレクサンドロス大王はなぜインダス川を越えられなかったのか
2 ヴァイキングはイスラーム商人と商売していた
3 大航海時代の始まりはアフリカの黄金目当て
4 織田信長の「天下取り」を支えたアジア交易圏
5 グーテンベルクのもう一つの「革命」
6 本当はしぶとかったスペインとポルトガル
7 大数学者フェルマーが保険の基礎を作った
8 大英帝国は借金上手
9 綿が語る「アジアvs.ヨーロッパ」の大逆転
10 「中立」がアメリカを大国にした
11 蒸気船の世界史ーマルコはなぜブエノスアイレスへ
12 手数料を制する者、世界を制す
13 中国がヘゲモニー国家になれない理由


面白いですね~。古代から現代まで、ヨーロッパ史を軸とする世界史に慣らされた私ですけど、そうですね~。そこから解き放たれると、こんなにもはっきりと歴史の動きが見えてくるんですね。

中世、西ユーラシアに広がるイスラム経済ネットワークがあって、タラス河畔の戦いで唐に勝ったアッバース朝は、中央アジアからアフリカ、ヨーロッパに至る大交易路を築いたわけですね。アッバース朝の都バグダードは、その長距離貿易ルートのかなめだったというわけです。

ヨーロッパはヴァイキングによって、この巨大なイスラム経済ネットワークにつながれていたんですね。ヴァイキングは、このネットワークから香辛料・絹・甲冑・銀を仕入れ、その代わりにヨーロッパからは毛皮と奴隷をネットワークに流したんですね。

ヴァイキングの根拠地は北海やバルト海だったでしょうが、この地域でのヴァイキングのネットワークは、その後、ハンザ同盟に引き継がれるんですね。そうそう、“ハンザ”って言葉自体が「商人組合」という意味を持ってるんだそうです。そういうことになると、ヴァイキングの果たした役割は、けっこう大きいですね。

近代におけるヨーロッパ経済の成長に関しても、そう。プロテスタントの勤勉と禁欲が資本の蓄積を可能にしたってのは、マックス・ウェーバー先生ですよね。でも、ヨーロッパの経済発展は、基本的にはアジア、アフリカ、ラテンアメリカからの搾取ですね。

大航海時代、ポルトガルがアジアに進出して以降、ヨーロッパの商人たちが盛んにアジア貿易に関与していきますね。豊かさを比較しても、まだまだアジアが圧倒的に優勢な頃ですよね。それでも、さかんにアジア貿易に関与してくるヨーロッパの商人は、アジアにおける取引に、自分たちの商慣習を受け入れさせていったんだそうです。

それは、アジアの商慣習に比べて、ヨーロッパの商慣習の方が洗練されていたからのようなんです。使い勝手が良かったということですね。じつはこれに大きな貢献を残したのがグーテンベルクの活版印刷らしいんですね。商慣習を理解していれば商業ネットワークに参加できたわけですが、それが活版印刷で広く広められていたらしいんですね。

歴史の変遷、流れの行き先をみきわめるためには、どうも、人の動き、モノの動き、情報の動きを見極めることにあるみたいですね。その実例を知るためには、いい教科書だと思います。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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