『古代史 不都合な真実』 関裕二
著者が《・・・不都合な真実》なんて題名をつけるから、ついついこの本の内容とは関係のない記事を書いてしまいました。ひとえに著者の責任ですね。
とはいうものの、内容は良かったと思います。かつての関裕二さんの本は、古代史のなかから一つ一つの課題を抽出して、それに関わる謎を解明していくというスタイルだったと思います。そのようにして個々の謎を解き明かし、最近は古代史の謎の核心が何なのか。その核心について、さまざまに角度を変えて、あるいは言葉を変えてあらわしているように感じられます。
そのようにして表された本の中でも、この『古代史 不都合な真実』は、きわめて古代史の謎の核心を分かりやすく解き明かしているように思えます。
《日本の歴史》、なかでも古代史は、正史とされている『日本書紀』をもとにして書かれています。『日本書紀』は、天武天皇の命に寄って編纂が始められた書物で、天武天皇につながる血筋がこの国を統率する根拠を示し、壬申の乱によって皇位についた天武天皇の正当性を明らかにするために編纂されたということになっています。そして、日本は今も、その流れのままに天皇をいただく国であるのですから、これを正史とすることに異論は挟まれません。
そのこと自体が、“核心”なんですね。その『日本書紀』に対する理解の中に、日本古代史の謎の核心があるわけです。『日本書紀』は、日本古代史の真実を封印するためにこそ書かれたと・・・、そういうことなんですね。


『日本書紀』は事実を語っていない。だから、疑問が生じる。だから、矛盾している。だから、齟齬がある。それらはすべて、ある一つのことを成し遂げるために生じたものである。それらはすべて、ある黒幕をめぐって成し遂げられたことである。
彼らはその後、日本社会において権力のにぎり続けた。さからうことはできなかった。事実を暴き立てることは自らの破滅を意味した。誰もが、捻じ曲げられた歴史を受け入れざるを得なかった。
しかし、涙をのんだものたちも、なんとか事実を後世に伝えようとした。本当の歴史を、いつか構成の人々に分かってもらいたいと、“不思議な文書”をいくつかの書物の中に紛れ込ませた。
この本は、そんないくつかの書物の中に紛れ込んだ“不思議な文書”から、葬り去られた真実の歴史を世に出すべく、『日本書紀』の封印を破ろうとするものですね。
上記の目次に並べられた、12の書物がそれに当たります。
今まで、著者はそれぞれの書物を取り上げて、その“不思議な文書”の謎を解き明かしてきました。だから、この本に書かれていることは、そのダイジェスト版のようなものなんですね。ここで、そのダイジェストを見て、過去にそのことについて書いた著者の本を読んでみるのも面白いですね。


一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
とはいうものの、内容は良かったと思います。かつての関裕二さんの本は、古代史のなかから一つ一つの課題を抽出して、それに関わる謎を解明していくというスタイルだったと思います。そのようにして個々の謎を解き明かし、最近は古代史の謎の核心が何なのか。その核心について、さまざまに角度を変えて、あるいは言葉を変えてあらわしているように感じられます。
そのようにして表された本の中でも、この『古代史 不都合な真実』は、きわめて古代史の謎の核心を分かりやすく解き明かしているように思えます。
《日本の歴史》、なかでも古代史は、正史とされている『日本書紀』をもとにして書かれています。『日本書紀』は、天武天皇の命に寄って編纂が始められた書物で、天武天皇につながる血筋がこの国を統率する根拠を示し、壬申の乱によって皇位についた天武天皇の正当性を明らかにするために編纂されたということになっています。そして、日本は今も、その流れのままに天皇をいただく国であるのですから、これを正史とすることに異論は挟まれません。
そのこと自体が、“核心”なんですね。その『日本書紀』に対する理解の中に、日本古代史の謎の核心があるわけです。『日本書紀』は、日本古代史の真実を封印するためにこそ書かれたと・・・、そういうことなんですね。
『古代史 不都合な真実』 関裕二 実業之日本社 ¥ 864 『日本書紀』が封印した歴史の「真実」が明らかに!! 古代史が謎だらけなのはなぜか。 |
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『日本書紀』は事実を語っていない。だから、疑問が生じる。だから、矛盾している。だから、齟齬がある。それらはすべて、ある一つのことを成し遂げるために生じたものである。それらはすべて、ある黒幕をめぐって成し遂げられたことである。
彼らはその後、日本社会において権力のにぎり続けた。さからうことはできなかった。事実を暴き立てることは自らの破滅を意味した。誰もが、捻じ曲げられた歴史を受け入れざるを得なかった。
しかし、涙をのんだものたちも、なんとか事実を後世に伝えようとした。本当の歴史を、いつか構成の人々に分かってもらいたいと、“不思議な文書”をいくつかの書物の中に紛れ込ませた。
この本は、そんないくつかの書物の中に紛れ込んだ“不思議な文書”から、葬り去られた真実の歴史を世に出すべく、『日本書紀』の封印を破ろうとするものですね。
上記の目次に並べられた、12の書物がそれに当たります。
今まで、著者はそれぞれの書物を取り上げて、その“不思議な文書”の謎を解き明かしてきました。だから、この本に書かれていることは、そのダイジェスト版のようなものなんですね。ここで、そのダイジェストを見て、過去にそのことについて書いた著者の本を読んでみるのも面白いですね。
とりあえず、興味を持ってもらえそうなところから言うと“かぐや姫”あたりはいかがでしょう。 だいぶ、ベタベタな持って行き方かもしれませんが、興味はもってもらえるような気がします。なんていっても、面白い点と分かりやすい点でね。 |


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