『死体格差』 西尾元
あれ? 時価になってる。買った時は1,512円だったのに、今は時価で799円ですって。ああ、ほぼ半額になってる。時価になる前に読んどかないと、こういう思いをさせられるんですよね。2017年2月の本なんですよ。早いですよね。まあ、いつまでも読まなかった私がいけないんですけどね。
この本は、法医学の解剖医の先生が書いた本です。『死体は語る』っていう本が話題になったことがありましたよね。読んでないんですけど。法医学の立場からの解剖によって明らかになることもあるんですね。そこを通り過ぎてしまえば、遺体は火葬されるわけですから、本当に最後の最後ってところですね。そこに回ってこないで、そのまま火葬場に言っちゃうケースもあるんだそうですよ。
それにしてもすごい仕事ですよね。一口に死体と言っても、交通事故でこんな事になっちゃってる死体とか、火事であんなことになっちゃってる死体とかもあるわけでしょう。
死体の状態も、その匂いも、法医学解剖医という立場から見れば、すべて検証の対象ということなんでしょうけどね。
題名に《格差》とあるのは、出版の側から持ち込まれた話なんだそうです。“法医学解剖の立場から見た格差”ということですね。著者の西尾元さんは、「そう提案されて過去の解剖症例を振り返ってみると、私がこれまで解剖してきた人たちが総じて弱い立場にいる事実に気付かされた」と言っています。
そういうことになると、当の本人の西尾さんが気づく前に編集の側の人は、異常死を対象とする法医学解剖の場には“格差”が存在し、その“格差”は現代日本社会の縮図として取り上げる価値があるという認識を持っていたということなんでしょうか。
そういうことですから、犯罪捜査だけを対象にした本ではありません。
それにしても、編集の人っていうのも、アンテナが高いんですね。大したもんです。


自宅で倒れて死んだ40代の女性を解剖したんだそうです。その女性、頭、肩、腰の左側に打撲痕があったんだそうです。右側の打撲痕は膝の外側だけ。解剖すると、おなかの下の方に大量の出血があり、他のところからは血の気が引いていたんだそうです。体の左側がなんかに激しくぶつかって出血し、失血死したんだけど、血はお腹に溜まって、外に流れなかったんですね。
これで解剖医は、次のような推理をします。女性は、歩行中に自分の右側から走ってきた車に衝突され、膝のあたりのぶつかって飛ばされ、体の左側にひどい打撲を負ったわけです。一番ひどかったのは骨盤を骨折したことだったようで、それに基づく出血性ショックが女性の死因だというのです。
これに基づいて警察が捜査をします。すると、運転手は警察に事故届を出しており、病院に連れて行こうと言う申し出を断わったのは女性の方で、「自宅まで乗せてほしい」と言われ、自宅に送ったんだそうです。さらに、動けなくなっていた女性をおんぶして部屋まで送り届けたんだそうです。女性はそのあと亡くなったんですね。
女性は酒好きで、一人で酒を呑むことを母から禁じられていたんだそうです。じつは、事故にあったのも酒を買いに出かけたところだったんだそうです。病院に運ばれることで、酒を買いに行っていたことが母親にバレると思って断わったのではないかと言うんですね。
これは、《はじめに ある女性の遺体を巡る謎》の話なんですが、分かっちゃうんですよ、私、女性の気持ちが。
持ち込まれる死体は、《貧困、酒、精神障害、老い、孤独》が強くにじむものが多いんだそうです。おそらく、10年後の私は、この全てに該当している可能性があります。最後の《孤独》だけは、該当者になりたくないと強く思いますが、可能性ということなら仕方がないです。
特に酒に絡む話もいくつか紹介されていますが、・・・身につまされます。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
この本は、法医学の解剖医の先生が書いた本です。『死体は語る』っていう本が話題になったことがありましたよね。読んでないんですけど。法医学の立場からの解剖によって明らかになることもあるんですね。そこを通り過ぎてしまえば、遺体は火葬されるわけですから、本当に最後の最後ってところですね。そこに回ってこないで、そのまま火葬場に言っちゃうケースもあるんだそうですよ。
それにしてもすごい仕事ですよね。一口に死体と言っても、交通事故でこんな事になっちゃってる死体とか、火事であんなことになっちゃってる死体とかもあるわけでしょう。
死体の状態も、その匂いも、法医学解剖医という立場から見れば、すべて検証の対象ということなんでしょうけどね。
題名に《格差》とあるのは、出版の側から持ち込まれた話なんだそうです。“法医学解剖の立場から見た格差”ということですね。著者の西尾元さんは、「そう提案されて過去の解剖症例を振り返ってみると、私がこれまで解剖してきた人たちが総じて弱い立場にいる事実に気付かされた」と言っています。
そういうことになると、当の本人の西尾さんが気づく前に編集の側の人は、異常死を対象とする法医学解剖の場には“格差”が存在し、その“格差”は現代日本社会の縮図として取り上げる価値があるという認識を持っていたということなんでしょうか。
そういうことですから、犯罪捜査だけを対象にした本ではありません。
それにしても、編集の人っていうのも、アンテナが高いんですね。大したもんです。
『死体格差』 西尾元 双葉社 ¥ 時価 解剖台の上の遺体には、その人が生前、どのように生きてきたか、死体にも「格差」がある |
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自宅で倒れて死んだ40代の女性を解剖したんだそうです。その女性、頭、肩、腰の左側に打撲痕があったんだそうです。右側の打撲痕は膝の外側だけ。解剖すると、おなかの下の方に大量の出血があり、他のところからは血の気が引いていたんだそうです。体の左側がなんかに激しくぶつかって出血し、失血死したんだけど、血はお腹に溜まって、外に流れなかったんですね。
これで解剖医は、次のような推理をします。女性は、歩行中に自分の右側から走ってきた車に衝突され、膝のあたりのぶつかって飛ばされ、体の左側にひどい打撲を負ったわけです。一番ひどかったのは骨盤を骨折したことだったようで、それに基づく出血性ショックが女性の死因だというのです。
これに基づいて警察が捜査をします。すると、運転手は警察に事故届を出しており、病院に連れて行こうと言う申し出を断わったのは女性の方で、「自宅まで乗せてほしい」と言われ、自宅に送ったんだそうです。さらに、動けなくなっていた女性をおんぶして部屋まで送り届けたんだそうです。女性はそのあと亡くなったんですね。
女性は酒好きで、一人で酒を呑むことを母から禁じられていたんだそうです。じつは、事故にあったのも酒を買いに出かけたところだったんだそうです。病院に運ばれることで、酒を買いに行っていたことが母親にバレると思って断わったのではないかと言うんですね。
これは、《はじめに ある女性の遺体を巡る謎》の話なんですが、分かっちゃうんですよ、私、女性の気持ちが。
持ち込まれる死体は、《貧困、酒、精神障害、老い、孤独》が強くにじむものが多いんだそうです。おそらく、10年後の私は、この全てに該当している可能性があります。最後の《孤独》だけは、該当者になりたくないと強く思いますが、可能性ということなら仕方がないです。
特に酒に絡む話もいくつか紹介されていますが、・・・身につまされます。


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