“中国”『世界はジョークで出来ている』 早坂隆
《三つのボタン》 習近平政権の主導により、中国が新型のステルス戦闘機を完成させた。その戦闘機は「毛沢東」と名づけられた。 「毛沢東」のコックピットのパネルには、ボタンが三つしかついていなかった。 高度三千メートルまで来たとき、尾翼の一つが落下した。その時、コンピューターがこうアナウンスした。 「すみやかに一番のボタンを押してください」 パイロットが一番のボタンを押すと、新しい尾翼が現れた。パイロットは胸をなでおろした。 高度五千メートルまで来たとき、今度はエンジンが火を噴いて落下した。するとコンピューターがこうアナウンスした。 「すみやかに二番のボタンを押してください」 パイロットが二番のボタンを押すと、新しいエンジンが現れた。パイロットは胸をなでおろした。 高度一万メートルまで来たとき、今度は機体がまったく操縦不能になってしまった。どう操縦桿を動かしても、期待を制御することができない。するとコンピューターがこうアナウンスした。 「すみやかに三番のボタンを押してください」 パイロットは焦りながらも、ニンマリと笑みを浮かべた。今までもボタンを押せば何とかなった。今度もきっと救ってくれるだろう。 パイロットは勢いよく三番のボタンを押した。 すると次の瞬間、「毛沢東語録」の朗読が流れ始めたのである。 本書p44 |
面白いですね。以前、冗談ともつかない、以下のような話を聞いたことがあります。中越戦争が発生するよりもずっと前、ベトナム戦争当時の話です。
ベトナムの共産化を阻止するために、アメリカは1965年からベトナム戦争に積極的に介入し、南ベトナム軍を支援して北爆を開始しました。懐かしいですね。ドミノ理論ってやつですね。アジアにおける最初のドミノは、アメリカが倒しちゃったんですけどね。
流れの中で中ソが対立するけど、共産主義の兄貴分として、“中国”は北ベトナムを支援する立場にあったわけです。当時、“中国”を訪れたベトナム人は、多くの中国人から励まされたそうです。
なかには、こんなおかしな励まし方もあったとか・・・。
《今度、またアメリカの爆撃機がやってきたら、この毛沢東語録をそれに向かって触れ!必ず、アメリカの爆撃機は落ちるから》
これはジョークとして聞いたものではありません。本当にあったこととして聞いたものです。
『世界はジョークで出来ている』 早坂隆 文春新書 ¥ 896 ときにジョークのような事が起きる国際社会。笑えるのはジョーク? それとも現実? |
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現代“中国”は、ジョークの世界で、かつてとは違う新たな地位を確保したようです。かつて、「成金で傲慢」と言えば日本人をあらわすものでしたが、その地位は完全に“中国”に奪われました。
“中国”はご丁寧に、マナーが悪くて、横暴で、領土的野心さえ隠さないと、どうにもやっかいな存在という、ジョークネタの尽きない対象として扱われてますね。
BSNHKでやってる国際ニュースなんか見てると、“中国”っていうところは、実際に起こってることそのものがジョークのようで面白い。だいたい、彼らが1億を越えようかと言う犠牲を費やして目指した共産主義と言う体制そのものが、今にしてみればほとんどジョークの世界ですからね。
《三つの要素》 ソ連には、共産主義者と、誠実な人間と、知性的な人間とが共存する。しかし、この三つのすべたを兼ね備えることは、極めて難しい。 共産主義者で誠実な人間は、知性的ではない。 共産主義者で知性的な人間は、誠実ではない。 誠実で知性的な人間は、共産主義者ではない。 本書p104 |
共産主義で、しかも“中国”なんだから、面白くないはずがない。《一帯一路》な“中国”。《不正のはびこる》“中国”。《情報統制》する“中国”。《検閲》する“中国”。《大気汚染》のひどい“中国”。《ニセモノ天国》“中国”。《マナーの悪い》“中国”。この国は、切り口が多すぎる。
《欲望は海水を飲むことに似ています。飲めば飲むだけ、喉が渇くのです》
ダライ・ラマ14世の言葉だそうです。“中国”に向けた、ものすごいジョークですね。


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