めんどくせぇことばかり 『ねみみにみみず』 東江一紀
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『ねみみにみみず』 東江一紀

「なんだろうな、この『ねみみにみみず』という絶対に現実化してほしくない言葉を題名にした本は?」という、怒りとともに読んでみました。

んんん、本当に残念です。こんなに面白い本なのに、これを書いた東江一紀さんは、2014年に亡くなっているんですね。東江と書いて、“あがりえ”と読むんですね。たしか、NHKの《日本人のお名前 沖縄スペシャル》で紹介されていたように記憶しています。東江さんは、翻訳を稼業となさっていた方だそうです。「“か・き・く・け・こ”・・・それはか行」というのはこの本で東江さんが使ってたダジャレです。

なかでも東江さんの、稼業である翻訳への向き合い方には恐れ入った向かい合い方が感じられました。というのも、「もしも、新しい作品、新しい作家を引き受けるときに、なるべく苦労する人を選ぶ」というんです。なぜ、わざわざそんな事をするかというと、それによって「新しい言葉が自分の中から生まれてくる」っていうんです。

本来の日本語にない言い回しもあるでしょうからね。でも、そのニュアンスを日本語で伝えるために、言葉の職人は“新しい言葉”を自分の中から生み出すんですね。

海外の方の書かれた本は、よっぽど売れた本しか読んだことがないので、当然、翻訳家の方への関心もあまりありませんでした。でも、この東江さんの本を読んで、翻訳の世界の奥の深さの一端の端っこの切れ端が風に吹かれて西の空に飛んでいく様子を、目にさせていただきました。

それはただの勘違いで、東江さんの念のいったダジャレに翻弄されているだけなのかもしれませんが、それはそれでいいとして、機会があれば、当の東江さんの翻訳されたものを読んでみようかなと思いました。

それじゃ先程の“稼業”の話ですが、“か・き・く・け・こ”のあとに、「“が・ぎ・ぐ・げ・ご”、“ざ・じ・ず・ぜ・ぞ”、“わ・を・ん”」と続いたら、
さて、一体これは何を言わんとしているでしょう。

答えは、目次の下へ



作品者  ¥ 1,944

200冊を超える訳書を生んだ翻訳の巨人の知られざる生態と翻訳哲学が明かされる
執筆は父としてはかどらず
お便りだけが頼りです
訳介な仕事だ、まったく
冬来たりなば春唐辛子
小売りの微少
寝耳に蚯蚓
待て馬鹿色の日和あり


翻訳は、“稼業”であり、“我業”であり、“座業”であり、“和業”なんだそうです。

目次を見ていただいたとおり、「執筆は父としてはかどらず」ですからね。その後に、「母としてかたづかない」続くそうです。「冬来たりなば春唐辛子」、「小売の微少」、「待て馬鹿色の日和あり」とは言うものの、これはどうやら、決して人を馬鹿にしたオヤジギャグなどではなく、地獄の二丁目十九番地で締切に追われる著者の、言葉いじりなんでしょう。

だけど、読んでいる時点では、どうやら書いているのは翻訳家で、その稼業のあれこれを紹介しているものらしいということどまり。何だ今これが一冊の本として書店に並ぶことになったのかは、理解できないまま読みました。

ただ、表紙にあるように、《越前敏弥 編》とあることに“不自然さ”は感じてました。

そしてそれが分かったのは、越前敏弥さんが書いた《変な表記、じゃない、編集後記》を読んでからです。幅広いジャンルに渡って二百冊以上の訳書を世に送り出した名翻訳者・東江一紀さんは、二〇一四年に亡くなっていました。東江さんは、翻訳業のかたわら、数え切れないほどのエッセイを書いていて、それを、東江さんを“生涯の恩人”とする越前敏弥さんが編集したものでした。

なんだ、そうならそうと、最初に言ってくれれば、それなりに読み方も違ってきたのになぁ。もしこれから読もうって人がいたら、最初に越前敏弥さんの《変な表記、じゃない、編集後記》を読むことをおすすめします。

「ねみみにみみず」とか、「鉄は暑いうちに冷やせ」とか、「出る杭を打ちまくる」とかは、東江さんの口癖のような言葉だったそうです。越前敏弥さんの《変な表記、じゃない、編集後記》に、東江さんの人柄が浮かび上がってきます。本当に魅力的な人だったみたいです。

「馬の耳に豚汁」とか、「糠に腕押し」「暖簾に釘」とか、「今日まで袖の下から」とか、私たちがそんな馬鹿なことを言うときは、だいたい徹夜明けか、休み無しで働いて朦朧としている状況の中ですね。なんだか、疲れ切ってるのに、頭の中だけハイな状態になってるんですよね。東出さんも、そんな中で、いつも仕事をしてたんでしょうね。

越前敏弥さんが、「“東江一紀・訳”と書いてある本を書店で見かけたら、ソッコーで手にとってレジへ向かってください」って言ってます。その言葉に従って見ましょうか。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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