めんどくせぇことばかり 早飯早糞『マサカの時代』 五木寛之
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早飯早糞『マサカの時代』 五木寛之

《早飯、早糞、芸のうち》

誰が行ったんだか分かりませんが、少なくとも、寅さんは言ってました。「早飯、早糞、芸のうち。私なんか、座ったと思ったら、もうケツ拭いてます」って。

父の友人で、よく家に飲みに来ていた方がいるんです。志願で特攻の順番待ちしていて終戦を迎えた方で、奥田さんと言いました。その奥田さんが、酔っぱらうたびに、子どものころの私に軍隊の話をして聞かせてくれたんですが、その中にも、「早飯、早糞、芸のうち」って言ってなあ。そりゃ大変なんだ」っていうような話がありました。兵隊にとっても、大事なことだったんですね。

のちに、高校で山岳部に入って、実感しました。タラタラ飯食ってたら、話になりません。縦走の時の早朝、いつも人より先にパッキングを終えて、ルートの確認やら、人の手伝いやらをしてました。

私がそんな芸を身につけたのは、ひとえに母や祖母のおかげです。三ちゃん農家だったうちは、祖母も母も早く畑に行くために、子どもたちに早くご飯を終えることを求めました。ご飯の途中で兄弟げんかなんか始めたに日は大変です。ご飯を取り上げられてしまいます。

怖いばあちゃんに、怖いかあちゃんだったです。おかげで、ご飯を食べるのは早かったです。小学校でも、中学校でも、高校でも、お昼を食べ終わって校庭に飛び出していくのは、いつもトップグループの一人でした。

それは大人になってからも変わりませんでした。あるとき、実家に帰って、すっかり優しくなった祖母や母が、「お前、もうちっと、よく噛んでゆっくり喰えよう」って、私に言うんです。「ガツガツして、みっともねえで!」って。

結婚して、今の連れ合いを実家に連れて行ったころだったでしょうか。その連れ合いを前にして、自分たちはお前をそんなガツガツ喰う子に育てた覚えはないと言わんばかり。

「ちょっとよう、それはねえだんべ。誰だよう。子どもん時に“早く食え、早く食え”って言ったんは」

私の、祖母や母に対する初勝利の瞬間でした。


『マサカの時代』    五木寛之

新潮社  ¥ 821

あらゆる予測は外れる 世の中も人生も「ありえない」への心の構え
「マサカの時代」の到来
【オーバー・ニュースの時代】
【流れゆく時代のなかで】
【自分のことは棚にあげて】
【健康は乱調にあり】
【人生百年時代を生き抜く】
【戦争という病】
「マサカの時代」への覚悟


五木寛之さんが言う通り、最近の若い人はしゃべるのが早いです。「おそらく昭和のころの倍くらいには・・・」と言いますが、私にもそう思えます。だから、うっかり聞いていると、なに言ってるんだかさっぱり意味が入ってこない。「日本語なんだろうな」っていう程度ですかね。分かるのは。

「ベらべーら、べらべーら」は青山球児か?・・・あれは、「げろげーろ、げろげーろ」でした。

とにかく、ベラベラしゃべっているように聞こえるんです。とすると、私にとって若い人はバルバロイ、またはベルベル人か。

コミュニケーションが大切なんだそうだけど、そんなことを言われても、《巧言令色、鮮なし仁》で人間形成してきた私には土台無理な話。何はともあれ、なんとか、もう少しゆっくりしゃべってもらわないと・・・。コミュニケーション以前の問題で、意思疎通くらいはできるようにしておかないと困りますから。

五木さんは「時勢に適応するために、おのずとこちらも早口言葉になれなければ」とおっしゃいます。見上げた年寄りだな。

そうそう、五木さんの言う通り、当時のモットーは、《不言実行》。なんだかんだと口に出すのは恥ずかしいこと。口に出すよりまず行動。

アジア大会で最優秀選手に輝いた池江璃花子選手は、「有言実行できたことはうれしく思う」とおっしゃいました。微妙に不言実行とは前提が違っていると思うんですが、いまや「不言実行」が死語になりそうな勢いですね。

どうも、年寄りにしてみれば、いつの時代でも、今の世の中は生きづらい。「勝手にやらせてもらおう」とは思うものの《早飯、早糞》はさすがに、ねぇ。早く食ったからって、校庭の遊ぶ場所を確保する必要もないしね。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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