めんどくせぇことばかり 『影の日本史にせまる』磯田道史 嵐山光三郎
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『影の日本史にせまる』磯田道史 嵐山光三郎

西行という歴史上の人物に、そこまで関心を持ったことがありませんでした。ものすごい人だったんですね。

やっぱり、和歌や連歌、俳句について学校でならうというと、国語ですね。国語で習う西行というのは、文字に書かれた五七五七七のそのものなんですね。私も残念ながら、最初に習った五七五七七の作者としての西行としか受け取らず、自分からは踏み出そうとしなかったので、残念ながら、・・・“ハイ、おしまい”、です。

《西行は、北面の武士の出身であり、いまでいえば特殊部隊員のような卓抜した戦闘能力と知性を持っていた》ってことだけでも知ってれば、もうちょっとこの時代を掘り下げることが出来たでしょうけど、凡才の残念なところ、そういう感性を持ち合わせませんでした。

この本は、磯田道史さんと嵐山光三郎さんの対談物。ものすごい組み合わせですね。嵐山光三郎さんの本をあまり読んだことがなかったのが残念です。『西行と清盛』『芭蕉という修羅』なんていう題名にピンと来なかったのが、本当に情けない。

磯田さんが言ってるんですが、《明治のはじめや戦国時代、飛鳥や白鳳時代、寛永や元禄もそうだと思いますが、日本人はときどき“才能の窓”があく、なにか変曲点で時代の空気が集中してすごい才能が出る特定の時間がある》っていうんです。

たしかにそうですよね。よく大河ドラマに選ばれる時代を考えれば、戦国から江戸初期、そらから幕末ばかり。平家物語の時代もありましたね。あとは太平記。平将門は特別でしょうか。まあ、ずいぶん時代としては偏っていますが、“集中してすごい才能が出る特定の時間”ということですね。もっと歴史研究が進んで、飛鳥時代や白鳳時代はドラマ化すればどれだけ面白いでしょうね。

西行は、時代的には大河ドラマで取り上げられる平家物語にかぶってますが、ドラマの中ではあくまでも源平の争乱にスポットを当ててますから、《白河院に始まって後鳥羽院まで続く院政期の百三十年》と言うくくりとは、ちょっと視点がずれます。

西行の一生を、《春は桜、秋は紅葉、「花月百首」の歌会、無常の自覚、出家遁世、生と死の修羅、そして待賢門院璋子という美しき悲劇の皇后》というお膳立てと言われて、やっぱり心が動かないと嘘でしょう。


『影の日本史にせまる』    磯田道史 嵐山光三郎

平凡社  ¥ 1,512

老熟の作家と気鋭の歴史家による刺激に満ちた「異端の日本史」談義
その一  西行とその時代
その二  連歌の流行と俳諧の誕生
その三  芭蕉とその時代


西行は十八歳の頃、鳥羽上皇の北面の武士になっているんですね。わずか数十人の狭き門、武士としてはエリート中のエリートなんだそうです。身体も大きく、体力も抜群、弓馬の術に優れ、詩文、和歌、歌舞、管弦の心得があるっていうんですから、一体どうすればいいでしょう。・・・一つ忘れてました。北面の武士は軒並み容姿端麗、天皇行幸のときズラッと並んで見物人をうっとりさせるっていうんですからものすごいですね。なんと平清盛も同僚だったんだそうです。

西行は佐藤義清、ムカデ退治で有名な俵藤太秀郷の子孫で、武勇の高い家柄。「家は豊かで、年若く、心に愁い無きに、遂に以て遁世す」と藤原頼長の日記にあるそうです。

キャリア官僚のイケメンの人気者が、なんの問題もないのにやめちゃった。ジャニーズみたいにかっこよくて、サッカー日本代表みたいにスポーツ万能で、芸能・学問の才能に秀で、将来の出世も約束されているのに、なんでやめちゃうのー!

そう言って、キャーキャー言ってるのが女の子たちだけじゃないんですね。周辺の男たちも、ほぼ同じ思いで、佐藤義清の“遁世”に我を忘れちゃうわけです。「あの夜、あんなに思いを確かめあったのに」って。

そんな西行、保元の乱や平治の乱で、かつて日常的に交流した人の大半が死んでいくのを見送るのが、彼の後半生なんですね。それはそれですごい人生の送り方です。

願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃

そのとおり、釈迦の入滅の二月十五日に合わせて死ぬことを願い、それに従う形で二月十六日に死んでみせたと言います。どうも西行はパフォーマンスの達人で、無理やり寿命を伸ばして、その日に死んで伝説を残したという話もあるんだそうです。そんな死神さんを騙すような真似ができるでしょうか。嵐山さんは毒薬で死期を調節したと言い、西行ならばやりかねないとおっしゃってますが。

やりすぎだ。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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