『トレッキング実践学』 髙橋庄太郎
この改訂版のもとになる『トレッキング実践学』は8年前に出されたんだそうです。
8年前だと、私はまだ、足の痛みを抱えていた頃です。手術をしたのが2年前、本格的な痛みが出たのはその2年前ですから、8年前というと痛みはあるものの、医者からは「そんなに痛いはずはない」とかって言われて、悔しい思いを抱えながら、とにかく大事に、だましだまし生活をしている頃です。
山を歩くなんて、思いもよらない頃ですね。
だけど、山に登れるようになって2年の間に、もう、嬉しくって、もちろん8年前の本も読みました。そのときにもやはり、この間、20数年間の装備や食品の進歩について書きました。著者の高橋庄太郎さんが書いてますが、この8年の中でも変化があるんだそうです。装備は更に進化しているし、本来は山の道具ではなかったスマートフォンが、非常に重要な道具になってるって、たしかにそのとおりですね。
新しいものの苦手な私でさえ、山でスマートフォンを使ってますからね。えーと、山と高原地図をいくつか入れているし、ヤマップもやってます。
そういうこともありますが、高橋さんが改訂版を出したのは、何よりも高橋さん自身の変化でしょう。ご本人も書いていらっしゃいますが、40歳から48歳の8年間は人間が充実する時間です。残念ながら私のその時期は空虚そのものだったけど、高橋さんは先人たちの書物に触れ、人に交わり、山を歩いて様々な刺激を受け、知識を増やし、そして深め、人としても充実の時期を迎えたのでしょう。
その辺に関する、ご本人の弁です。
ということなんですが、本当の大きな変化は、高橋さん自身の人としての成長にあると思います。


この間は、装備について、ダラダラと書かせてもらいました。やっぱり装備は大きいですよね。高橋さんも、かなりのページを装備のために割いています。それも含めて、コラムだとか、便利グッズの紹介だとか、テント生活の知恵であるとか、本文でも、あまり注目を浴びない小さな事柄の中に、この本の真骨頂があるように思います。
それは生活の知恵、主婦の知恵、おばあちゃんの知恵袋みたいなところまであります。まさに、“神は細部に宿る”という言葉通りです。結局、そんな知恵が生まれるほど、高橋さんが山の中にいたということなんだろうと思います。
中でも感じ入ったものの一つが、《6 「小物」のそろえ方》の中の、『「なくてもいい」ものも大切だ』ってところの話。
高校生を山に連れて行ってるんだけど、本当に彼らは、口を酸っぱくして行っているにもかかわらず、“これ”が分からないんです。分かってくれないんですよ。彼らと一緒に行くのはほとんどが日帰りで、宿泊は今年はまだ二回だけです。「それでも、ヘッドライトはいつでも持って行かなくちゃいけない」ってのが分かってもらえないんです。
ツエルト、傷薬とかの入ったファーストエイドバッグなんかもそうですね。全体装備ではザイルを持たせていますが、「今日も使いませんでしたね」って皮肉顔で言われてしまいます。A君にいたっては、天気予報が晴れって言ったからって、雨具も持ってこない始末です。一度怖い目に合わせてやろうかと思っても、昔みたいに突き落とすわけにも生きませんしね。
すみません。つまらない愚痴を・・・。粘り強く教えましょう。
道具の応急処置の仕方とか、テントの張り方の工夫とか、本当にいろいろな所に神が宿っていますね。
ショートパンツが、この人の定番ですね。まるで少年のよう。擦り傷程度なら覚悟すればいいし、大きな怪我ならロングパンツでも同じ。たしかにそうですね。虫や蛭なら薬で防いで、マムシのいそうな場所には入らないことにすれば、これでもいいですかね。
《今やいい歳の僕に似合っているかどうかはともかく、この素足が風に吹かれる気持ちよさは、少年時代の夏の楽しさを思い出させてくれる》
来年の夏は、還暦間近の私も半ズボンで・・・。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
8年前だと、私はまだ、足の痛みを抱えていた頃です。手術をしたのが2年前、本格的な痛みが出たのはその2年前ですから、8年前というと痛みはあるものの、医者からは「そんなに痛いはずはない」とかって言われて、悔しい思いを抱えながら、とにかく大事に、だましだまし生活をしている頃です。
山を歩くなんて、思いもよらない頃ですね。
だけど、山に登れるようになって2年の間に、もう、嬉しくって、もちろん8年前の本も読みました。そのときにもやはり、この間、20数年間の装備や食品の進歩について書きました。著者の高橋庄太郎さんが書いてますが、この8年の中でも変化があるんだそうです。装備は更に進化しているし、本来は山の道具ではなかったスマートフォンが、非常に重要な道具になってるって、たしかにそのとおりですね。
新しいものの苦手な私でさえ、山でスマートフォンを使ってますからね。えーと、山と高原地図をいくつか入れているし、ヤマップもやってます。
そういうこともありますが、高橋さんが改訂版を出したのは、何よりも高橋さん自身の変化でしょう。ご本人も書いていらっしゃいますが、40歳から48歳の8年間は人間が充実する時間です。残念ながら私のその時期は空虚そのものだったけど、高橋さんは先人たちの書物に触れ、人に交わり、山を歩いて様々な刺激を受け、知識を増やし、そして深め、人としても充実の時期を迎えたのでしょう。
その辺に関する、ご本人の弁です。
2010年に初版が発行された『トレッキング実践学』はテント泊を軸にした内容でしたが、この“改訂版"では日帰り登山や山小屋泊にもフォーカスし、より多くの人の参考になる内容にリフレッシュしました。また、山中でのスマートフォンを活用するのが当たり前になり、携帯トイレやヘルメットがますます普及したことなど、ここ数年で顕著になった山の「常識」にも焦点を当てているのも改訂した点のひとつです。それらの新規内容に加え、各章に挿入されたコラムも一新。継続して掲載した文章も読みやすく整理して、改訂前の『トレッキング実践学』をお読みになってくださった方にも改めて手に取っていただけるのではないかと自負しています。 |
ということなんですが、本当の大きな変化は、高橋さん自身の人としての成長にあると思います。
『トレッキング実践学』 髙橋庄太郎 枻出版社 ¥ 1,620 テント泊主眼の旧『実践学』に対し、[改訂版]は日帰り登山や山小屋泊にもフォーカス |
|
この間は、装備について、ダラダラと書かせてもらいました。やっぱり装備は大きいですよね。高橋さんも、かなりのページを装備のために割いています。それも含めて、コラムだとか、便利グッズの紹介だとか、テント生活の知恵であるとか、本文でも、あまり注目を浴びない小さな事柄の中に、この本の真骨頂があるように思います。
それは生活の知恵、主婦の知恵、おばあちゃんの知恵袋みたいなところまであります。まさに、“神は細部に宿る”という言葉通りです。結局、そんな知恵が生まれるほど、高橋さんが山の中にいたということなんだろうと思います。
中でも感じ入ったものの一つが、《6 「小物」のそろえ方》の中の、『「なくてもいい」ものも大切だ』ってところの話。
高校生を山に連れて行ってるんだけど、本当に彼らは、口を酸っぱくして行っているにもかかわらず、“これ”が分からないんです。分かってくれないんですよ。彼らと一緒に行くのはほとんどが日帰りで、宿泊は今年はまだ二回だけです。「それでも、ヘッドライトはいつでも持って行かなくちゃいけない」ってのが分かってもらえないんです。
ツエルト、傷薬とかの入ったファーストエイドバッグなんかもそうですね。全体装備ではザイルを持たせていますが、「今日も使いませんでしたね」って皮肉顔で言われてしまいます。A君にいたっては、天気予報が晴れって言ったからって、雨具も持ってこない始末です。一度怖い目に合わせてやろうかと思っても、昔みたいに突き落とすわけにも生きませんしね。
すみません。つまらない愚痴を・・・。粘り強く教えましょう。
道具の応急処置の仕方とか、テントの張り方の工夫とか、本当にいろいろな所に神が宿っていますね。
ショートパンツが、この人の定番ですね。まるで少年のよう。擦り傷程度なら覚悟すればいいし、大きな怪我ならロングパンツでも同じ。たしかにそうですね。虫や蛭なら薬で防いで、マムシのいそうな場所には入らないことにすれば、これでもいいですかね。
《今やいい歳の僕に似合っているかどうかはともかく、この素足が風に吹かれる気持ちよさは、少年時代の夏の楽しさを思い出させてくれる》
来年の夏は、還暦間近の私も半ズボンで・・・。


- 関連記事
-
- 『神奈備』 馳星周 (2018/10/08)
- 『未踏峰』 笹本稜平 (2018/10/06)
- 『トレッキング実践学』 髙橋庄太郎 (2018/10/04)
- 装備『トレッキング実践学』 髙橋庄太郎 (2018/09/30)
- 『駐在刑事 尾根を渡る風』 笹本稜平 (2018/09/24)