めんどくせぇことばかり 『源氏物語を反体制文学として読んでみる』 三田誠広
FC2ブログ

『源氏物語を反体制文学として読んでみる』 三田誠広

この間、この本のことを書こうと思っていたら、ついつい思い出話で終わってしまいました。あらためて、題名でもある『源氏物語を反体制文学として読んでみる』という観点から、この本について書きたいと思います。・・・なんて、大したことでもないんですけどね。

才気にあふれていたという源高明が安和の変で失脚した安和2年っていうのは、西暦で言えば969年。その時の太政大臣の藤原実頼は、道長のおじいちゃんの世代です。しかも道長は、失脚した高明の娘、明子のところに通っていて子まで成しているんですから、その周辺では、ついこの間のことって感覚でしょう。

その道長が婿入したのは左大臣源雅信の娘の倫子で、高明に関係した人々もたくさんいて、そこに紫式部も出入りしていたっていうんですから、お話はその人たちを喜ばせる話になるのが当たり前だったってことですね。もちろん道長ともそこで出会い、その才能を見出されていたわけでしょう。

道長が左大臣源雅信のところに婿入したっていうのは、兼家の四番目の男子ですからね。権力を握ることなんかより、そこそこの地位を得て生きていくことが問題だったわけのようです。

のちに定子のところに通ってばかりの一条天皇を、道長の娘の彰子のもとに呼び寄せる切り札として、紫式部が彰子のところに上がることになります。そのときだって、道長の最大の関心事は一条天皇を彰子のところに通わせることで、そのためには何より物語が面白い必要があったわけでしょう。

本当は、かつて失脚して表舞台から去った源高明のような存在があるからこそ、その完全に対照的存在である光源氏が、その名の通り光り輝くわけです。それを“光藤原”にでもしたら、それこそ鼻についてしょうがないですよね。誰も読みません。



集英社新書  ¥ 886

紫式部が時代をどう感じ、またどのようなモチベーションで物語を綴ったのか
第一章  紫式部と『源氏物語』
第二章  源氏一族の悲劇
第三章  摂関家の権威と専横
第四章  紫式部の出自と青春時代
第五章  紫式部の恋と野望
第六章  摂関政治の終焉


藤原道長は紫式部のパトロンでした。その道長が紫式部に、光源氏が活躍する『源氏物語』を書かせたのは、藤原氏のせいで失脚していった貴族源氏をはじめとする各氏族の怨霊を鎮魂するためであるって、たしか井沢元彦さんが書いていました。

この本を読んで、道長も紫式部も、この『源氏物語』に対して、そこまでの意識を持っていたわけではないってことは分かりました。ただ、紫式部が源雅信の屋敷で、源氏に関わる女房たちを喜ばせるところからこの話が始まっていたことは事実のようで、それはある意味で、源氏の恨みを和らげることであったとも言えると思います。

藤原北家の者にしてみれば、藤原氏が敵役となることにはそれなりの感情もあったでしょう。ですが、自分の家が他氏を卑劣に排斥することで今の地位があることは事実ですからね。『源氏物語』に目くじらを立てるよりも、それによってなんとなく藤原北家への恨みのガス抜きが出来れば安いものっていう感じもあったんじゃないでしょうか。もちろん、道長にしても、・・・です。

“文学”っていうものの性格が、・・・性格っていうか、その当時の人たちの“文学”ってものに関する認識が、おそらく反体制的なものだったんじゃないでしょうか。

この本の中では、『竹取物語』と『伊勢物語』が取り上げられています。更にもっと古く、『万葉集』もそうですよね。《文字で思いを伝える》って、とっても新しいものだったでしょう。新たに手に入れた手法は、彼らによって、敗れ去った者たちの慰霊のために使われたんじゃないでしょうか。

そういう思いを忍ばせることが、日本人の琴線に触れるのかもしれないですね。




にほんブログ村 政治ブログへ 一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
関連記事

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」

リンク

よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください
人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログへ


私達日本人の心と命
その本当の煌きとは。
新たな生の息吹に向けて、今、心の旅路へ
これから出る本
























































人気図書 
















































カウンター
カテゴリ
ブロとも一覧
アジシオ次郎の時事原論
はりこのはやしや 
ハシビロコウ
素足のアイドル達
うさぎ屋の四方山話
わくわく株式投資
プロモデラー林哲平のジャンクロボット創作ブログ『ケルバーダイン』
大好き!グラビアアイドル!
伊織のブログ
Re:BAD TASTE♥
QWERT 5w1h
「伝わる技術」オトデザイナーズ・坂本真一
歌と知恵でハッピーライフ^^
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事
応援して下さい