めんどくせぇことばかり “徳”のつく天皇『天皇の日本史』 井沢元彦
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“徳”のつく天皇『天皇の日本史』 井沢元彦

そうですね。敗れ去った者が怨霊化しないようにすることが、日本の政治の中ではとても重要なことだったんですね。

それはいつしか、人々の心の持ち方にも影響を与えて、負けたものにこそ心を寄せようとする、いわゆる“判官びいき”という、よその国ではあり得ない心の動きを特徴とするようになるんですね。

現在、皇居前広場には、楠木正成の勇ましい騎乗姿の銅像が立ってますね。楠木正成は、後醍醐天皇方について不利と分かった戦いに出かけて命を落としました。それだけじゃなく、孫こまでが南朝の側に立って命を落としていきます。

だけど、今の皇室は北朝の系統ですよね。にもかかわらず、天皇家では南朝こそが正統であるとして、南朝に尽くした楠木正成像を庭先に飾っているわけです。

井沢さんはそれを、『トラファルガー広場にネルソン提督ではなくナポレオンの像があるようなもの』と、面白い表現をしています。そりゃ、トラファルガー広場にナポレオンの騎乗姿なんかがあったら、・・・やっぱり違和感一杯ですね。

さて、天皇のお名前ですが、贈り名ですから、あとからその天皇にふさわしいであろう名前が贈られるわけです。

その名前の中に、“徳”がつく天皇がいます。そして、“徳”がつく天皇には、ある共通した“いわれ”があるということなんです。そしてその“いわれ”とは、「怨みを抱いて死んでいった天皇が怨霊化しないように」という、またしても、敗れ去った者に対する配慮から出たものだというのです。


最初に現れる“徳”のつく天皇は第十六代の仁徳天皇です。この方は、“怨みを抱いて死んでいった”天皇には該当しないみたいですね。この天皇で有名なのは、「民のカマド」の話ですね。

天皇がある日高殿から庶民の町を見下ろし、家々から立ち上がる炊事の煙の少なさに心を痛めるんですね。なんとかしようということで、天皇は三年間税の徴収を停止させます。そして三年後、天皇の衣服はぼろぼろになっていたけど、炊事の煙はずっと増えていて、「民のカマドはにぎわいにけり」って、喜んだという話です。

いい天皇ですね。

どうも、仁徳天皇のころは、怨霊化を恐れて“徳”の字を贈るという考えそのものが、まだ生まれていないようですね。


『天皇の日本史』    井沢元彦

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「天皇」という存在はどのように生まれ、歴史にどんな影響をあたえてきたのか
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聖武天皇
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宇多天皇
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崇徳天皇と後白河天皇
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正親町天皇
光格天皇
孝明天皇と明治天皇
昭和天皇


怨霊化を恐れて“徳”の字を贈るという考えが生まれたのは、井澤さんによれば聖徳太子に始まるということです。聖徳太子は天皇の位につけずに亡くなっていますけど、いい名前過ぎますよね。聖徳ですからね。

その業績から考えれば、とても優秀な人物です。それほどの人物が、皇太子に指名されながら、天皇位につくことなく亡くなってしまった。しかも、のちに太子の子どもの山背大兄王は一族皆殺しにされてしまいました。

井沢さんは、“中国”では、子孫が絶えることは、その人物が怨霊化する最大の要因であるということを紹介していますが、どうも、上記の二つの理由は釈然としません。

“聖徳”ですから、怨霊化が心配された他の天皇以上に慰霊を必要とする何ごとかがあったと思うんです。推古が長生き過ぎて天皇になれなかったというのは、“聖徳”の名に値するほどの重大事でしょうか。

死後のできごとで怨霊化するというのは“中国”ならありがちですが、生前のことで怨みを抱くのではなく、死後のことにまで目を光らせる執念は日本人にそぐわないような気がします。

聖徳太子の場合、“聖徳”の名を送らなければならないような、他の理由があったんじゃないでしょうか。

第三十六代孝徳天皇
中大兄皇子に家臣や妻まで連れ去られ、旧都難波宮に置き去りにされて孤独死。

第四十八代称徳天皇
藤原一門のあまりのやり方に、弓削道鏡に天皇位を譲ろうとするが、和気清麻呂に妨害される。さらに、自身も急死して、望みを果たせず。自身の急死には暗殺説も。

第五十五代文徳天皇
紀氏の娘の産んだ最愛の第一皇子である惟喬親王を皇太子にしようとするが、藤原良房に妨害され、良房の娘が生んだ皇子が皇太子となる。自分の希望を、良房にひっこめさせられた文徳天皇は、発病後四日で死亡の早死に。

第七十五代崇徳天皇
白河法皇と鳥羽上皇の間でほんろうされ、院政を開く道も閉ざされ、政権奪回のために保元の乱を起こすが、敗北して讃岐国に配流。写経を書いて京都への帰還を懇願するが拒絶され、天皇家を呪いつつ憤死する。

第八十一代安徳天皇
平家の血を引く幼帝で、平家の一門とともに、源氏に追われて、壇ノ浦で敗北。二位尼に抱かれたまま、八歳にして海中に消える。

第八十四代順徳天皇
鎌倉幕府打倒のため、後鳥羽上皇とともに挙兵するが、敗れて佐渡島に配流となる。都への帰還を切望しながら、佐渡島で憤死。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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