力の真空『AI時代の新・地政学』 宮家邦彦
この本なんですが、筆者の宮家邦彦さんが二年間に渡って週刊新潮に書いていた国際問題を扱ったコラムからの選りすぐりだそうです。二〇一六年からの二年間 の国際問題ということになると、なんだかかんだか、いろいろありました。
もともとは、日々の動きを追うよりも、中長期的な問題を扱って、国際関係を見る目をやしないようなコラムにしようとしていたらしいんです。だけど、こう色々なこと、イギリスがEU離脱を選択したり、トランプ旋風が吹き荒れたり、金正恩がロケットマンに変身したりってことがあると、それを書かないわけにはいかないじゃないですか。
結局、編集者の、ひいては読者の要望に答える形で、旬のネタに関する短期的現状分析を書く形になってしまったということです。
この本に紹介されているのは、その時々の国際問題ってことになりますね。旬の話題っていうのは、それだけに難しい側面があると思います。その時はよくても、その後、違う側面が明らかになることもありますから、結果を知ったあとからそれを読み返すと、まったく的外れということもあるでしょう。
この本に掲載されているのは、選りすぐりですから、そういう事はありませんが、仮にそうであったとしても、その時の限られた情報の中で、必死に分析した結果ですから、それはそれで面白いんじゃないかと思います。
プロは、限られた情報であっても、その時々の自分の考えを、世間に晒さなきゃいけないんだから、大変ですね。
さて、選りすぐられたコラムの中には、旬の話題で、今は決して旬とは言えない季節になっているにもかかわらず、今後の世界を考えていく上で、とっても示唆に富んでいるものが、チラチラ見受けられます。
その中に、《力の真空》について、筆者の宮家さんが知見を披露しているものがあります。その力の真空は、今、北朝鮮に生まれつつあるという内容から始まる話なので、関心を持たずに入られませんよね。


力の真空が生じた場所でなにが起こるのか。筆者は三つにまとめています。
ところが、ロケットマンが核武装を進めたことで、両者の中がこじれ、一時は互いに罵り合いを演じていました。北朝鮮がお荷物になって、“中国は”むしろ、トランプの要求する制裁に与してましたね。金一族だけを除去する手ってのも、おそらく本気で考えてたんじゃないでしょうか。
さて、この《力の真空》。これが原因となった混乱っていうのは、とても激しい。北朝鮮が真空状態になって時、日本はその混乱に巻き込まれてはいけません。
歴史上の《力の真空》の代表例として、筆者はアレキサンダー大王逝去にともなう大帝国の分裂を上げています。外に、関われる部外者なんかいませんでしたから、内側で闘いが始まります。ディアドコイ戦争ですね。その中からセレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプト、アンティゴノス朝マケドニアが生まれますが、大混乱です。
近年の《力の空白》の例を、筆者が上げてます。
他にも、面白いコラムが、結構ありましたよ。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
もともとは、日々の動きを追うよりも、中長期的な問題を扱って、国際関係を見る目をやしないようなコラムにしようとしていたらしいんです。だけど、こう色々なこと、イギリスがEU離脱を選択したり、トランプ旋風が吹き荒れたり、金正恩がロケットマンに変身したりってことがあると、それを書かないわけにはいかないじゃないですか。
結局、編集者の、ひいては読者の要望に答える形で、旬のネタに関する短期的現状分析を書く形になってしまったということです。
この本に紹介されているのは、その時々の国際問題ってことになりますね。旬の話題っていうのは、それだけに難しい側面があると思います。その時はよくても、その後、違う側面が明らかになることもありますから、結果を知ったあとからそれを読み返すと、まったく的外れということもあるでしょう。
この本に掲載されているのは、選りすぐりですから、そういう事はありませんが、仮にそうであったとしても、その時の限られた情報の中で、必死に分析した結果ですから、それはそれで面白いんじゃないかと思います。
プロは、限られた情報であっても、その時々の自分の考えを、世間に晒さなきゃいけないんだから、大変ですね。
さて、選りすぐられたコラムの中には、旬の話題で、今は決して旬とは言えない季節になっているにもかかわらず、今後の世界を考えていく上で、とっても示唆に富んでいるものが、チラチラ見受けられます。
その中に、《力の真空》について、筆者の宮家さんが知見を披露しているものがあります。その力の真空は、今、北朝鮮に生まれつつあるという内容から始まる話なので、関心を持たずに入られませんよね。
『AI時代の新・地政学』 宮家邦彦 新潮新書 ¥ 842 国際関係は複雑でも、「筋道」が分かれば読みやすくなります |
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力の真空が生じた場所でなにが起こるのか。筆者は三つにまとめています。
- 「力の真空」状態では、基本的に、最強の部外者が最大の分前を得る。
- 最大強者が動かない場合は、弱い部外者でも分前に与れることがある。
- 部外者が介入しない場合には、破綻国家となるか、新たな独裁者が生まれる。
ところが、ロケットマンが核武装を進めたことで、両者の中がこじれ、一時は互いに罵り合いを演じていました。北朝鮮がお荷物になって、“中国は”むしろ、トランプの要求する制裁に与してましたね。金一族だけを除去する手ってのも、おそらく本気で考えてたんじゃないでしょうか。
さて、この《力の真空》。これが原因となった混乱っていうのは、とても激しい。北朝鮮が真空状態になって時、日本はその混乱に巻き込まれてはいけません。
歴史上の《力の真空》の代表例として、筆者はアレキサンダー大王逝去にともなう大帝国の分裂を上げています。外に、関われる部外者なんかいませんでしたから、内側で闘いが始まります。ディアドコイ戦争ですね。その中からセレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプト、アンティゴノス朝マケドニアが生まれますが、大混乱です。
近年の《力の空白》の例を、筆者が上げてます。
- ソ連におけるレーニン逝去後のスターリン独裁
- 第二次世界大戦で日独敗戦による米中露の大国化
- 一九六八年以降の英軍スエズ以東撤退とイラン台東
- イラン革命後のソ連アフガン侵攻とイラン・イラク戦争
- ソ連アフガン撤退後のアルカイダ台頭
- 一九九一年以降の米軍フィリピン撤退後の南シナ海情勢
- 二〇一一年の米軍イラク撤退後のイスラム国台頭
他にも、面白いコラムが、結構ありましたよ。


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