家庭・山『「身体」を忘れた日本人』 養老孟司 C・W・ニコル
今、日本はどこに行こうとしてるんでしょう。
みんなで一生懸命考えてやってるんでしょうから、悪い方に行ってるわけじゃないんでしょうけど、なんだか、気に入らないんです。気に入らないけど、いつも不機嫌そうな顔をしている訳にはいかないじゃないですか。だから、ニコニコしてるんです。そうするっていうと、そのうち、自分で自分が分からなくなっちゃうんですよね。
私は別に、智に働こうとは思わないし、流されるほどの情も仕事には感じていません。通すだけの意地はとっくに挫け、どちらにしても、この世は住みにくく、住みにくさが高じてしまったので、この仕事はもう潮時かなと思ってるんです。
養老さんの言う通り、保育園の充実を求めていけば、結局は、母親はいらなくなります。父親なんて、もっといらない。親がいらないんだから、家庭なんて必要ないですよね。
家制度の廃止を推し進めてきたリベラリストの望みは、ついにここに達成されるんですね。めでたし、めでたし。
もう私には関係ないですから、どうでもいいんです。私の子や、孫には関係ありますが、それはそれ、なんとかやっていくでしょう。私だって、なんとかやってきたんですから。
だけど、それを良いことのように考える風潮が作り出されていて、そう考えざるを得ない状況があって、そう考えているんじゃないかって、私はそう感じているわけなんです。だったら、可哀そうじゃないですか。


そうそう、ずいぶん前に、東京都が《花粉の少ない森づくり運動》ってのをやってましたね。石原慎太郎都知事の時ですね。養老さんもニコルさんも、石原都知事から頼まれて、その委員をやってたんだそうです。
私の妻も花粉症に苦しんでいるんですが、面白い話が書いてありました。
杉の人工林は、まっすぐに伸びた杉を育てるために、最初に一杯植えて、あとから間伐して、太い木に育てるんだそうです。ところが、人工林の中には間伐を手抜きしたところがあるらしいんです。そうなると、周りが同じような杉だらけで窮屈なんですね。
のびのび育てなくなった杉は成長が止まってしまって、苦しまぎれに、子孫を残すために、必死に花を咲かせて、花粉を飛ばしているんじゃないかっていう事なんです。なんか、納得がいきませんか。
戦争中、燃料にするために、山の木をたくさん切ったんですね。戦後、木材が必要になっても足りません。そこで、国策として杉を植えました。最初は関税で保護されて国際価格の三倍で売れたんだけど、一九六四年に関税を外されて、安い外材が入ってきて、林業をやる人が減って、山が荒れちゃったんですね。
日本は、山だらけなのに、その山が荒れちゃってるんですね。登ってみれば、すぐわかります。
でも、今、高層ビルを木材で建てることができるんですってね。実際、そういうビルを建てようという動きが始まってるんだそうです。新しい技術で、それだけ強度が高く、不燃性の合板が可能になっているらしいんです。000そういう事になると、また林業が魅力のある仕事になるんじゃないでしょうか。
ニコルさんが言うには、水路を整理して、下草を刈って、込み過ぎた木を切って、山に風を通すんだそうです。そうすると木が元気になって、木が元気になると、花も咲くし、虫も来る。虫が来れば、虫を捕る鳥や動物も住むようになるんだそうです。
・・・ちょっと、手をかけてやればいいんですね。手をかけることに意味があるんだと思うんだけど、家庭も山も。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
みんなで一生懸命考えてやってるんでしょうから、悪い方に行ってるわけじゃないんでしょうけど、なんだか、気に入らないんです。気に入らないけど、いつも不機嫌そうな顔をしている訳にはいかないじゃないですか。だから、ニコニコしてるんです。そうするっていうと、そのうち、自分で自分が分からなくなっちゃうんですよね。
私は別に、智に働こうとは思わないし、流されるほどの情も仕事には感じていません。通すだけの意地はとっくに挫け、どちらにしても、この世は住みにくく、住みにくさが高じてしまったので、この仕事はもう潮時かなと思ってるんです。
養老さんの言う通り、保育園の充実を求めていけば、結局は、母親はいらなくなります。父親なんて、もっといらない。親がいらないんだから、家庭なんて必要ないですよね。
家制度の廃止を推し進めてきたリベラリストの望みは、ついにここに達成されるんですね。めでたし、めでたし。
もう私には関係ないですから、どうでもいいんです。私の子や、孫には関係ありますが、それはそれ、なんとかやっていくでしょう。私だって、なんとかやってきたんですから。
だけど、それを良いことのように考える風潮が作り出されていて、そう考えざるを得ない状況があって、そう考えているんじゃないかって、私はそう感じているわけなんです。だったら、可哀そうじゃないですか。
『「身体」を忘れた日本人』 養老孟司 C・W・ニコル 山と渓谷社 ¥ 1,404 自然と触れる機会もなくなった現代人は、嗅覚、免疫といった身体機能も衰えている |
|
そうそう、ずいぶん前に、東京都が《花粉の少ない森づくり運動》ってのをやってましたね。石原慎太郎都知事の時ですね。養老さんもニコルさんも、石原都知事から頼まれて、その委員をやってたんだそうです。
私の妻も花粉症に苦しんでいるんですが、面白い話が書いてありました。
杉の人工林は、まっすぐに伸びた杉を育てるために、最初に一杯植えて、あとから間伐して、太い木に育てるんだそうです。ところが、人工林の中には間伐を手抜きしたところがあるらしいんです。そうなると、周りが同じような杉だらけで窮屈なんですね。
のびのび育てなくなった杉は成長が止まってしまって、苦しまぎれに、子孫を残すために、必死に花を咲かせて、花粉を飛ばしているんじゃないかっていう事なんです。なんか、納得がいきませんか。
戦争中、燃料にするために、山の木をたくさん切ったんですね。戦後、木材が必要になっても足りません。そこで、国策として杉を植えました。最初は関税で保護されて国際価格の三倍で売れたんだけど、一九六四年に関税を外されて、安い外材が入ってきて、林業をやる人が減って、山が荒れちゃったんですね。
日本は、山だらけなのに、その山が荒れちゃってるんですね。登ってみれば、すぐわかります。
でも、今、高層ビルを木材で建てることができるんですってね。実際、そういうビルを建てようという動きが始まってるんだそうです。新しい技術で、それだけ強度が高く、不燃性の合板が可能になっているらしいんです。000そういう事になると、また林業が魅力のある仕事になるんじゃないでしょうか。
ニコルさんが言うには、水路を整理して、下草を刈って、込み過ぎた木を切って、山に風を通すんだそうです。そうすると木が元気になって、木が元気になると、花も咲くし、虫も来る。虫が来れば、虫を捕る鳥や動物も住むようになるんだそうです。
・・・ちょっと、手をかけてやればいいんですね。手をかけることに意味があるんだと思うんだけど、家庭も山も。


- 関連記事
-
- 美空ひばり『芸能の不思議な力』 なかにし礼 (2018/11/29)
- 『「身体」を忘れた日本人』 養老孟司 C・W・ニコル (2018/11/27)
- 家庭・山『「身体」を忘れた日本人』 養老孟司 C・W・ニコル (2018/11/20)
- 『日本人なら知っておきたい日本』 武光誠 (2018/11/16)
- 『地獄と極楽』 シリーズ仏教が好き (2018/11/10)