めんどくせぇことばかり 『山怪 参』 田中康弘
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『山怪 参』 田中康弘

ついに第三巻ですね。

ずいぶん人気になりましたね、このシリーズ。シリーズ累計17万部ですって。たぬきだの、きつねだのに化かされたって話ですよ。きつねに騙されて、お風呂だと思って、肥溜めに浸かっちゃったとかって話ですよ。

いったい、そんな話、誰が面白がってるんでしょう。

私が子どものころの秩父なら、たしかにありました。そういう話。夜は、しっかり暗かったですからね。夜、車も通らなければ、人家の明かりもないような真っ暗なところじゃないと、話に出てくる、そういうことに出合うことはできません。

夏の、月のない夜に、夕ご飯を食べ終わった子どもたちが子安地蔵の前に集まって、度胸試しをするんです。木の板にろうそく一本立てて、その火だけで300mほど離れたところにあるお墓に行ってくるんです。最初の子が石を持って行って置いてくる。次の子が石を持ってくるって具合にやるんです。

道はほぼ直線。最初の100mは家があります。最後に機屋の前を過ぎたら、あとはろうそくの明かりだけが頼り。小学3年までは大きい人についていくんですが、それでも大抵、大泣きしながら帰って来ます。

4年から上は一人です。お墓から帰ってくるのが、ろうそくの火で分かるんですが、これが難しいところで、怖さに取り付かれて早足になると、ろうそくの火が消えるんです。機屋まで来ればいいんですが、それ前に火が消えると悲惨です。暗闇の中でやみくもに走りますからね。大泣きしたって、誰も笑いません。「良し、良し、良く帰ってきた」って、背中を叩いて出迎えるんです。

私の一つ上のボクテンって呼んでた子が、帰ってこなかったんです。

『山怪 参』    田中康弘

山と渓谷社  ¥ 1,296

著者が各地の猟師、山で暮らす人びとから実話として聞いた、読むものを虜にする恐ろしい話
Ⅰ  戸惑いの森
優しい狐と幻の椿/浮き上がる人 /魂との遭遇 /森へ消えた飛行兵/ほか 
Ⅱ 闇へ続く道
座敷わらしと山の神 /追いつけない鈴音 /片品村の出来事 /ほか
Ⅲ 霊域の生活
火の玉ラッシュアワー /ツチノコの里 /追いかけてくるモノ /ほか


しばらく待っても帰って来ません。やむを得ず、懐中電灯をもって、みんなで探しに行くことにしました。

なんのことはありません。ボクテンはすぐに見つかりました。やはり、機屋よりも向こう、というよりも、お墓を出てすぐのところに、気を失って倒れていました。ろうそくを立てた板は、すぐ近くに転がっていました。火が消えて、うしろはお墓で、あまりの恐怖に息が止まったようです。

あれ、もし、ボクテンがいなくなってたら、どんな話になったんでしょうね。

今は、・・・夜だって明るいじゃないですか。・・・いやいや、実際に外に出てみると、確かに昔の夜とは違うけど、やっぱり怖いです。

実際に午前3時に外に出てみると、やはり誰もいないんですよ。私は3時ころ、外に走りに出ることがよくあるんですけど、けっこう不気味です。

団地の中の一軒なんですが、2年ほど前ご主人が亡くなった家があって、そのあと、残されたご家族も引っ越されたんですが、その家の2階の過度の部屋にうすぼんやりと明かりがついていることがあるんです。連れ合いに話したところ、「誰か住んでるんでしょう」というんですが、住んでるのはなくなったご主人、・・・なんてことはないんでしょうか。

分かりました。このシリーズが売れている理由。

そういう世界に、みんなどこかで惹かれているんですね。なんだか、何でもかんでも明るみに引っ張り出されて、正体を暴かれて、面白くもなんともない世の中みたいになっちゃったけど、じつは、まだそういう世界は自分たちのすぐ近くにあるって考えたいんですね。

でも、本当にあったら、・・・やっぱり怖いな。あの2階の角の部屋の窓から、ご主人が私の方を見ていたら・・・。キャー!




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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