めんどくせぇことばかり 『雨降る森の犬』 馳星周
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『雨降る森の犬』 馳星周

なんだか、やたらと馳星周さんの本を読んでいます。

『蒼き山稜』、『神の涙』、『神奈備』、『比ぶ者なき』と呼んで、今日ご紹介する、この『雨降る森の犬』で五冊目です。『比ぶ者なき』は藤原不比等を描いた歴史ものですが、それ以外四冊は、いずれも山が関わってきます。『蒼き山稜』は後立山、『神の涙』は道東、屈斜路湖周辺、『神奈備』は御嶽山でした。

そして今回、舞台になっているのは八ヶ岳の北にそびえる蓼科山を望む立科町です。主人公たちは、女神湖から少し上がった七合目登山口に車を置いて蓼科山に登っています。

埼玉からは遠いですからね。行ったのは大学の時かなぁ。お金がないから、山登りで一番困るのが交通費だったんです。だから、一回の山行で、せせこましく、登れるところはとにかく登っておこうって、そういう登山になっちゃうんです。

新宿から中央線で小淵沢まで行って、そこから一番南の編笠山に登って、北の蓼科山までテント背負って歩きました。しかも、主脈だけじゃなくて、歩けるところはできるだけ歩こうってやり方でしたから、ずいぶん日にちもかかりました。

だから、主人公たちが登った道を、私はおそらく下りました。よく覚えてないんですけど。なんせ、40年近く前のことなので。

麦草峠から南側は、その後も何度か寄せてもらいましたが、北側はそれきりです。来年は一度、連れ合いを連れて、テント泊で行ってみようかな。麦草峠に車を置いて、二子池あたりまでなら、歩いてくれるでしょう。



『雨降る森の犬』    馳星周

集英社  ¥ 1,782

家族の問題を抱えた中学生と高校生が、愛犬と自然との触れ合いのなかで成長していく
父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。


これまた、不思議な話でしたね。主人公の広末雨音は、大好きな父の死と、母に捨てられた(も同然の状況にある)ことに傷つき、心を閉ざしました。そんな状況で伯父である道夫の家がある立科町に移り住むことになります。伯父の家の隣には別荘があります。雨音は、時折そこにやって来る国枝正樹という、ちょっとひねくれた高校生徒と知り合います。正樹も、雨音と同じく、家族の問題で、心に傷を抱えていました。

山に関わる馳星周さんの作品は、一つの同じ傾向があるようにおもいます。それは一度つまずいた人間が、山と向き合って生きることで人が自分を取り戻して、もう一度前を向いて生きようと立ち上がるんです。山がその機会を与えてくれるんです。

・・・そうとばかりは言い切れないかな。・・・『蒼き山稜』は、国際的な謀略がらみの話でしたからね。だけど、“山岳ミステリー”って看板付きでしたけど、あの物語の中でも、その山での体験を通して、人が、もう一度やり直そうと変わっていく様子が描かれてました。

『神の涙』は典型的に、その傾向が前面に出ていました。『神奈備』もそうだけど、話としては悲しい物語でした。そう言えば、『神奈備』も、家族に恵まれない少年の話でした。

家族問題で、心に大きな傷を持っている主人公。山は再生の場。そのあたりが、山に関わる馳星周さんの作品の、鍵になる部分かもしれません。

この物語に関して、一つ、大きなテーマを忘れておりました。心に傷を負った者を、常に変わらぬ姿で迎える山のほかに、もう一つ、主人公たちが変わっていくのに、山と同じように、泰然と変わらぬ姿勢を貫く存在を・・・。

それが、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルです。ワルテルは、この物語の中で作者が描こうとした、もう一つの主人公でした。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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