『「始まりの国」淡路と「影の王国」大阪』 関裕二
日本の歴史の始まりって言えば、やっぱり京都や奈良を思い浮かべますね。そこで、大阪って言われてもね。大阪と言われて思い浮かべるのは、グリコのお兄さんだったり、でっかいフグの提灯だったり、やっぱりでっかい蟹だったり、ビリケンさんだったりです。
大阪で観光って言ったって、ユニバーサルスタジオや海遊館、新世界を回って、腹が減ったら食い倒れ。
もちろん、大仙古墳とか、誉田御廟山古墳とかを知らないわけじゃないけど、それは大和朝廷の流れの中に入れちゃってるから、奈良なんですよ。
あれれ、考えてみると大阪って不思議ですね。瀬戸内海の尽きるところ。そこはまさに、遠く世界中から運ばれた物品が瀬戸内海に入って、それがいよいよ荷揚げされる場所じゃないですか。
大阪は世界につながる最前線、世界への入り口だったんです。《大阪から瀬戸内海を西へ向かい、北部九州、朝鮮半島、中国へと通じていたからだ。中国の先にはシルクロードも控えている》と、著者の関裕二さんも言ってます。大阪を支配することは、ものすごいことだったんですね。
日本海側からも、琵琶湖を経由して一気に川を下って大阪に出られます。のちの時代には、東山道や東海道の陸路で東国ともつながる物流の要です
なのになぜ、金剛山地を越えて、飛鳥に政権の拠点を築いたんでしょうか。


5世紀、前方後円墳が作られる場所が大和から河内に移り、巨大な前方後円墳が河内に集中しています。おおよそ一世紀の間、そう言った状況が続いたようです。このころ、政権は大阪平野にあったんでしょうか。だけど、いずれにせよ、政権は金剛山の向こう、飛鳥の地で続きます。
その後も、大和朝廷は、大阪への遷都を試みてはいます。でも、失敗してます。大阪は商業都市としては、こんなにもうってつけのところはありません。にもかかわらず、どうも政治の拠点を置くには、ふさわしくなかったみたいなんですね。豊臣政権が短命に終わったのは、《地政学上の罠》という言葉を、著者は使っています。
だからこそ、金剛山を越えて大和に抑え、大和から大坂を支配したということのようです。たしかに、大和を抑えれば、大阪を人手に渡す心配はなくなりますね。でも、政権を置くにはふさわしくないというんです。
んんん、どうも、大阪というところには、不思議ななにかがありそうですね。京都が攻めやすく、守りに弱いというのは聞いたことがありますが、それでも平安政権は長く日本を支配しました。それはあくまでも、大阪ではなくて、京都だったんですよね。
その京都と、大阪の違いって何だと思いますか。
関裕二団の本は、かなりたくさん読んでます。歴史家さんの本よりも、変な言い方ですが、部外者の方の書いたものの方が、圧倒的に面白いですね。変なしがらみとか、無駄な常識ってもの邪魔されることがないからでしょうね。
そうそう、イザナギとイザナミは、国生みの最初に淡路島を生み出してるんですよね。大八島国の国を生み出す、その最初が淡路島で、最後が本州。淡路島が最初であるには、やっぱり訳がない訳がないと思いませんか。
なにかを確定づけているような内容の本じゃないんですが、とにかく好奇心を刺激されて、他の著者の本と合わせて、日本の古代史の奥深さを教えられるような本です。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
大阪で観光って言ったって、ユニバーサルスタジオや海遊館、新世界を回って、腹が減ったら食い倒れ。
もちろん、大仙古墳とか、誉田御廟山古墳とかを知らないわけじゃないけど、それは大和朝廷の流れの中に入れちゃってるから、奈良なんですよ。
あれれ、考えてみると大阪って不思議ですね。瀬戸内海の尽きるところ。そこはまさに、遠く世界中から運ばれた物品が瀬戸内海に入って、それがいよいよ荷揚げされる場所じゃないですか。
大阪は世界につながる最前線、世界への入り口だったんです。《大阪から瀬戸内海を西へ向かい、北部九州、朝鮮半島、中国へと通じていたからだ。中国の先にはシルクロードも控えている》と、著者の関裕二さんも言ってます。大阪を支配することは、ものすごいことだったんですね。
日本海側からも、琵琶湖を経由して一気に川を下って大阪に出られます。のちの時代には、東山道や東海道の陸路で東国ともつながる物流の要です
なのになぜ、金剛山地を越えて、飛鳥に政権の拠点を築いたんでしょうか。
新潮文庫 ¥ 562 国産みの地淡路と巨大古墳群が造られた大阪を巡り、古代史の常識に挑む |
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5世紀、前方後円墳が作られる場所が大和から河内に移り、巨大な前方後円墳が河内に集中しています。おおよそ一世紀の間、そう言った状況が続いたようです。このころ、政権は大阪平野にあったんでしょうか。だけど、いずれにせよ、政権は金剛山の向こう、飛鳥の地で続きます。
その後も、大和朝廷は、大阪への遷都を試みてはいます。でも、失敗してます。大阪は商業都市としては、こんなにもうってつけのところはありません。にもかかわらず、どうも政治の拠点を置くには、ふさわしくなかったみたいなんですね。豊臣政権が短命に終わったのは、《地政学上の罠》という言葉を、著者は使っています。
だからこそ、金剛山を越えて大和に抑え、大和から大坂を支配したということのようです。たしかに、大和を抑えれば、大阪を人手に渡す心配はなくなりますね。でも、政権を置くにはふさわしくないというんです。
んんん、どうも、大阪というところには、不思議ななにかがありそうですね。京都が攻めやすく、守りに弱いというのは聞いたことがありますが、それでも平安政権は長く日本を支配しました。それはあくまでも、大阪ではなくて、京都だったんですよね。
その京都と、大阪の違いって何だと思いますか。
関裕二団の本は、かなりたくさん読んでます。歴史家さんの本よりも、変な言い方ですが、部外者の方の書いたものの方が、圧倒的に面白いですね。変なしがらみとか、無駄な常識ってもの邪魔されることがないからでしょうね。
そうそう、イザナギとイザナミは、国生みの最初に淡路島を生み出してるんですよね。大八島国の国を生み出す、その最初が淡路島で、最後が本州。淡路島が最初であるには、やっぱり訳がない訳がないと思いませんか。
なにかを確定づけているような内容の本じゃないんですが、とにかく好奇心を刺激されて、他の著者の本と合わせて、日本の古代史の奥深さを教えられるような本です。


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