『漢字んな話』 前田安正 桑田真
ちょっと前に出た漢字の本です。
見開き一項目で百項目ですから、一つ一つは決して深いもんじゃありません。たしかに薀蓄の域を出るものではないんですが、それでも、もともと漢字そのものに魅力があるわけですから、そこになにを感じるかは読む人次第ということですね。
《正》という漢字に連想したのは、アメリカや“中国”って国のあり方ですね。《正》という漢字は、“一”と“止”という字から成り立っているんだそうです。さらに、“一”は“囗”が変化したもので、“囗”は口じゃなくて、国構えの方です。さらに、“止”は、止めるではなくて、進むという意味があるんだそうです。つまり、《正》は「国や城郭に向かって進む」という意味、進撃するとか、征服するっていう意味の漢字なんだそうです。
征服したものの理屈が《正義》って考えると、・・・ほら、アメリカや“中国”が連想されませんか。
そういや“征”は“正”に“彳”をつけたものですね。“彳”は、十字路の形から生まれた漢字で、進むことをあらわすそうなので、“征”はまさに、“正”が強調されたものですね。
“止”をどう解釈するかによって、だいぶ変わってしまいますね。例えば、“戈”を“止”で《武》という漢字になります。楚の荘王の話に、「それ武は功を定め兵を収む。故に戈を止むるを武となす」というのがあります。
だけど、もともと“止”は人の足跡、上りの足跡が漢字になったものだそうです。《歩》は足跡がいくつも続いている様子を表す漢字です。つまり、移動しているのです。となると、《武》は「戈を止める」ではなく、「戈を持って進む」となります。
“中国”で生まれた文字ですからね。こっちのほうが正しそうです。


《咲》は、「花が咲く」の《咲》です。花に関する漢字なのに、どうして草冠じゃないんでしょう。どうして口偏なんでしょう。
これ、この本の一番最初に出てくる項目なんです。これ、簡単なことなんだそうです。漢和辞典を引けば、誰でもすぐに分かることだそうです。漢和辞典で《咲》を調べると、そこには「わらう」、「えむ」と出てるんだそうです。・・・たしかに、出てました。この《咲》という字、「わらう」という意味があります。
なんとこの字、本来はそういう意味だったんだそうです。笑うときは大きな口を開けます。だったら、口偏であることが理解できます。
「八百万神、共に咲ひき」と、古事記にも書かれているそうです。
春の季語に「山笑う」というのがあります。木々に葉が生い茂り、花が咲く春の様子を上手に表した言葉ですね。大好きです。同じような感覚で、花が咲く様子を、「花わらう」と表現したんでしょうね。そのために、日本では、《咲》の字を、「花が咲く」という意味として使うようになったみたいです。
そう考えると、なんかホッとするような漢字ですね。
ちょっとした薀蓄本ではありますが、これらの漢字の強みがありますからね。漢字本の強さってところでしょうか。ご満足いかなかったら、委員会の《委》なんていかがでしょうか。《色》なんていかがでしょうか。《色》はこの本にはなかったかな。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
見開き一項目で百項目ですから、一つ一つは決して深いもんじゃありません。たしかに薀蓄の域を出るものではないんですが、それでも、もともと漢字そのものに魅力があるわけですから、そこになにを感じるかは読む人次第ということですね。
《正》という漢字に連想したのは、アメリカや“中国”って国のあり方ですね。《正》という漢字は、“一”と“止”という字から成り立っているんだそうです。さらに、“一”は“囗”が変化したもので、“囗”は口じゃなくて、国構えの方です。さらに、“止”は、止めるではなくて、進むという意味があるんだそうです。つまり、《正》は「国や城郭に向かって進む」という意味、進撃するとか、征服するっていう意味の漢字なんだそうです。
征服したものの理屈が《正義》って考えると、・・・ほら、アメリカや“中国”が連想されませんか。
そういや“征”は“正”に“彳”をつけたものですね。“彳”は、十字路の形から生まれた漢字で、進むことをあらわすそうなので、“征”はまさに、“正”が強調されたものですね。
“止”をどう解釈するかによって、だいぶ変わってしまいますね。例えば、“戈”を“止”で《武》という漢字になります。楚の荘王の話に、「それ武は功を定め兵を収む。故に戈を止むるを武となす」というのがあります。
だけど、もともと“止”は人の足跡、上りの足跡が漢字になったものだそうです。《歩》は足跡がいくつも続いている様子を表す漢字です。つまり、移動しているのです。となると、《武》は「戈を止める」ではなく、「戈を持って進む」となります。
“中国”で生まれた文字ですからね。こっちのほうが正しそうです。
『漢字んな話』 前田安正 桑田真 三省堂 ¥ 1,620 漢字のウンチク落語で100話。読んで笑って漢字がわかる |
|
《咲》は、「花が咲く」の《咲》です。花に関する漢字なのに、どうして草冠じゃないんでしょう。どうして口偏なんでしょう。
これ、この本の一番最初に出てくる項目なんです。これ、簡単なことなんだそうです。漢和辞典を引けば、誰でもすぐに分かることだそうです。漢和辞典で《咲》を調べると、そこには「わらう」、「えむ」と出てるんだそうです。・・・たしかに、出てました。この《咲》という字、「わらう」という意味があります。
なんとこの字、本来はそういう意味だったんだそうです。笑うときは大きな口を開けます。だったら、口偏であることが理解できます。
「八百万神、共に咲ひき」と、古事記にも書かれているそうです。
春の季語に「山笑う」というのがあります。木々に葉が生い茂り、花が咲く春の様子を上手に表した言葉ですね。大好きです。同じような感覚で、花が咲く様子を、「花わらう」と表現したんでしょうね。そのために、日本では、《咲》の字を、「花が咲く」という意味として使うようになったみたいです。
そう考えると、なんかホッとするような漢字ですね。
ちょっとした薀蓄本ではありますが、これらの漢字の強みがありますからね。漢字本の強さってところでしょうか。ご満足いかなかったら、委員会の《委》なんていかがでしょうか。《色》なんていかがでしょうか。《色》はこの本にはなかったかな。


- 関連記事
-
- 『からだのことば』 立川昭二 (2019/03/22)
- 『からだことば』 立川昭二 (2019/03/17)
- 『漢字んな話』 前田安正 桑田真 (2018/12/31)
- 『武士の日本語』 野火迅 (2018/10/13)
- 『山頭火俳句集』 夏目番矢編 (2018/09/05)