『対話 日本および日本人の課題』 渡部昇一 西尾幹二
この本が出たことは、ネットじゃなくて、本屋さんで知りました。
あんまり本屋さんにはいかないようにしているんです。本屋さんに行くと、ついつい買っちゃうじゃないですか。だいたい、いつも、これから読まれる本たちが、私の周りで順番待ちをしているような状態ですからね。「買おうかな、買うまいかな」って、結局買わなかったにしても、買いもしないのに数時間も本屋さんで過ごしたことを、あとから必ず後悔するからです。「ああ、こんな事なら、うちで本読んでりゃよかった」ってね。
だから、ネットで調べた方が、本は買いやすいような気がします。ただ、ずっと以前に出た本とか、思いもしなかった本との出合いっていうのは、ネットでは難しいですね。だから、本屋さんにも行くし、図書館も行くし、古本屋さんも行きます。
この本は、本屋さんで出会った本です。
渡部昇一さんが亡くなったのは、平成29年の4月でした。ですから、まもなく2年が経とうとしているところですね。もう、渡部昇一という名前で新しい本が出るなんて、思ってもいなかったもんですから、ちょっと驚きました。「ずっと以前の本を、新刊のところに並べちゃったのかな」とかね。「ずっと以前の本の焼き直し版かな」とかですね。
でも、間違いなく新刊です。《2018年11月1日第1刷発行》です。
この本は、渡部昇一さんと西尾幹二さんの、1990年以来の8つの対談を収録したものです。対談の主題は下記、目次の部分をご覧ください。初出一覧を参考に、いつ行われた対談かも、添えておきました。


私は高校3年あたりからの10年間くらいかな。社会主義に強い関心を持つようになって、ものの考え方がそちらに偏っていっていました。ですが、大学に行ってみると学生運動はもう完全に下火でしたし、自治会に所属しようと考えたこともありません。ただ、文化系サークルに足を突っ込んで、活動の拠点を学生会館に置いていた関係で、自治会からの依頼をむげに断ることもできず、横須賀港とか、三里塚にかり出されることはありました。強い関心を持ち、ものの考え方がそちらに偏っていただけの話です。
仕事をし始めてからも、偏っている状況は続いていました。仕事をし始めてからの方が、まだ、職場闘争ってのが生々しい頃でしたので、自分の立場を鮮明にすることを迫られて、組合活動に精を出すような頃もありました。
逆に、思想としては“純”に見えた社会主義も、組織として動いてみるとすごく雑なものの考え方であることが分かってきました。すると“純”に見えた思想も、悪意と憎悪に満ちたものに見えてきて、げんなりでした。でも、仕事をしていく中で、そちら側の立場の人間関係もできちゃいましたからね。踏ん切りがつかなかったんですが、まあ、なんとなく、・・・ね。
自分の気持ちに正直になって以来、かつて自分が眉をひそめたいたさまざまなものが、逆に愛おしく思えるようになりましたね。活動や組織からは完全にはなれました。それで切れる関係ならそれでいいし、切れない関係もいくらでもありました。考えてみれば、家族であるとか、周囲の方々のおかげで気づけたのかなぁって思います。
それからもう一つ、渡部昇一さんのおかげでもあるんです。渡部さんの本で、『日本史の法則』ってのがあるんですが、ちょうど自分の偏った考えに疑問を持ち始めたころかな、ふらふらしている頃に読んだんです。
昨年、4月、渡部さんが亡くなって1年が経った頃に、『日本史の法則』を材料に書いているので、ちょっと、一部をご紹介します。
この本に載ってるのは、渡部さんと西尾さんの対談した時のもので、雑誌に掲載されたり、テレビで放映されたりしたもので、一冊の本にまとめられたのは初めてのものの様です。だから、そんな渡部さんの考えに触れるのは、初めてです。初めてだけど、ちっともそんな気がしないな。
渡部さんの考えを、今また、新しく読めて、とてもうれしかったです。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
あんまり本屋さんにはいかないようにしているんです。本屋さんに行くと、ついつい買っちゃうじゃないですか。だいたい、いつも、これから読まれる本たちが、私の周りで順番待ちをしているような状態ですからね。「買おうかな、買うまいかな」って、結局買わなかったにしても、買いもしないのに数時間も本屋さんで過ごしたことを、あとから必ず後悔するからです。「ああ、こんな事なら、うちで本読んでりゃよかった」ってね。
だから、ネットで調べた方が、本は買いやすいような気がします。ただ、ずっと以前に出た本とか、思いもしなかった本との出合いっていうのは、ネットでは難しいですね。だから、本屋さんにも行くし、図書館も行くし、古本屋さんも行きます。
この本は、本屋さんで出会った本です。
渡部昇一さんが亡くなったのは、平成29年の4月でした。ですから、まもなく2年が経とうとしているところですね。もう、渡部昇一という名前で新しい本が出るなんて、思ってもいなかったもんですから、ちょっと驚きました。「ずっと以前の本を、新刊のところに並べちゃったのかな」とかね。「ずっと以前の本の焼き直し版かな」とかですね。
でも、間違いなく新刊です。《2018年11月1日第1刷発行》です。
この本は、渡部昇一さんと西尾幹二さんの、1990年以来の8つの対談を収録したものです。対談の主題は下記、目次の部分をご覧ください。初出一覧を参考に、いつ行われた対談かも、添えておきました。
『対話 日本および日本人の課題』 渡部昇一 西尾幹二 ビジネス社 ¥ 1,728 その言論で何度も日本を救った二人は何に共鳴し、何で対立したのか |
私は高校3年あたりからの10年間くらいかな。社会主義に強い関心を持つようになって、ものの考え方がそちらに偏っていっていました。ですが、大学に行ってみると学生運動はもう完全に下火でしたし、自治会に所属しようと考えたこともありません。ただ、文化系サークルに足を突っ込んで、活動の拠点を学生会館に置いていた関係で、自治会からの依頼をむげに断ることもできず、横須賀港とか、三里塚にかり出されることはありました。強い関心を持ち、ものの考え方がそちらに偏っていただけの話です。
仕事をし始めてからも、偏っている状況は続いていました。仕事をし始めてからの方が、まだ、職場闘争ってのが生々しい頃でしたので、自分の立場を鮮明にすることを迫られて、組合活動に精を出すような頃もありました。
逆に、思想としては“純”に見えた社会主義も、組織として動いてみるとすごく雑なものの考え方であることが分かってきました。すると“純”に見えた思想も、悪意と憎悪に満ちたものに見えてきて、げんなりでした。でも、仕事をしていく中で、そちら側の立場の人間関係もできちゃいましたからね。踏ん切りがつかなかったんですが、まあ、なんとなく、・・・ね。
自分の気持ちに正直になって以来、かつて自分が眉をひそめたいたさまざまなものが、逆に愛おしく思えるようになりましたね。活動や組織からは完全にはなれました。それで切れる関係ならそれでいいし、切れない関係もいくらでもありました。考えてみれば、家族であるとか、周囲の方々のおかげで気づけたのかなぁって思います。
それからもう一つ、渡部昇一さんのおかげでもあるんです。渡部さんの本で、『日本史の法則』ってのがあるんですが、ちょうど自分の偏った考えに疑問を持ち始めたころかな、ふらふらしている頃に読んだんです。
昨年、4月、渡部さんが亡くなって1年が経った頃に、『日本史の法則』を材料に書いているので、ちょっと、一部をご紹介します。
そのまま青年期を迎え、左翼系の思想にかぶれて、日本史には後ろ足で砂を引っ掛けるような状態で、あえてその価値を貶める方向でしか触れることはなかったですね。・・・そんな状況が、7、8年も続いたでしょうか。 わりと律儀な性質で、「日本史は貶めるべきもの」という根拠を探り続けました。でも、結局、そこにたどり着けず、疑問をふくらませるばかりの時間でしたね。そりゃそうです。ないんですから。年齢的にも、反発を続けた親世代に対する気持ちが溶解していく時期だったかもしれない。そうなってくると、すでにその頃、行き着くべき先は見えていたと思うんですが、きっかけとなるべき衝撃が必要でした。それがこの一冊でした。 そうなると、もう止めどがなくなりました。高校3年の頃に心を揺さぶられた羽仁五郎の著作を読み返しても、もはやまったく同意できませんでした。「そんなに親や祖父母たちは、愚かなのか?」 私を救ってくれた本の一冊が、この本です。いや、この本ではないですね。装丁が違う。・・・よく覚えていない。・・・、分かりました。この本は平成17年に再販された本で、“まえがき”、“あとがき”に「元本は若かった頃の私の著作で、・・・30年近くたった今も」とある通り、元の本は昭和54(1979)年に刊行された『歴史の読み方』という本だそうです。・・・題名も違ったんですね。 昭和54(1979)年と言えば、まだまだ、私は向こう側にいました。羽仁五郎の『ミケランヂェロ』にドップリという状態の頃ですね。その頃に読んでいれば、私の人生は、また違ったものになっていたかもしれません。・・・今の私は、今の思いに揺るぎはありませんが、おそらく私の場合は、そういった若い頃が必要だったんでしょうね。そういった時間の迷いがあったから、今の地盤を固めてくれているんでしょうね。 |
この本に載ってるのは、渡部さんと西尾さんの対談した時のもので、雑誌に掲載されたり、テレビで放映されたりしたもので、一冊の本にまとめられたのは初めてのものの様です。だから、そんな渡部さんの考えに触れるのは、初めてです。初めてだけど、ちっともそんな気がしないな。
渡部さんの考えを、今また、新しく読めて、とてもうれしかったです。


- 関連記事
-
- 『古典歳時記』 吉海直人 (2019/02/10)
- 『古典歳時記』 吉海直人 (2019/02/04)
- 『対話 日本および日本人の課題』 渡部昇一 西尾幹二 (2019/01/28)
- サクラサク『古典歳時記』 吉海直人 (2019/01/25)
- 『友情』 山中伸弥 平尾誠二 惠子 (2019/01/19)