『古典歳時記』 吉海直人
そうか。梅は“中国”からの伝来物だから、これに関する大和言葉はないんだ。・・・じゃ、「うめ」は?
それじゃ、「うめ」が大和言葉で、「ばい」が“中国”からの伝来の呼び名ということにはならないんですね。「ばい」は、いかにも“中国”伝来っぽいですが、それじゃ、「うめ」はいったい何者なんでしょうか。
じつは、これも“中国”伝来なんだそうです。先には行ってきた呉音としての梅が「め」、あとから入ってきた漢音としての梅が「ばい」だそうです。そして「め」が「うめ」に変化したんですね。
1月30日に、埼玉県にある国営武蔵丘陵森林公園に行ってきました。ときどき行くんです。広いところでね。サイクリングのロードがあったり、四季折々の花が楽しめるところだったり、ポンポコやまはじめ、子供を遊ばせることができたりするところです。私が行くのは、ポンポコやまで孫を遊ばせるくらいなんですけど、その時は、まあ、ちょっとした仕事で行ったんです。
2月中旬からは、梅林が見物で、いろいろな種類の梅が楽しめます。30日、大半はまだつぼみだったんですが、一木だけ、紅梅が咲いていて、梅の花のいい香りを放ってました。
春は、近いですね。


古代、梅は貴重な舶来品で、高価、かつ薬用としても有用な植物だったんだそうです。ですから必然的に、人々の生活圏に植えられて管理されていたんだそうです。そのため、在来種の山桜が野生であるのに対して、梅は人の手によって栽培されていたんだそうです。
そういう意味では、梅は桜よりも、断然身近な花だったんですね。万葉集においては、梅は桜の3倍、119首も歌に詠まれているそうです。
春たてば花とや見らん白雪のかかれる枝にうぐいすの鳴く
梅にある“付加価値の一つ”と著者は言います。春になると、他の植物よりも早く花を咲かせることですね。上の歌では、まだ咲いてませんもんね。咲いてないのに、枝にかかる白雪を花に見立てて、一刻も早い春の訪れを願うんですね。
色よりも香こそあはれと思ほゆれたが袖触れし宿の梅ぞも
梅にある“付加価値の一つ”。二番目は馥郁とした香りですね。身体の中からすがすがしくなるような、あの香。
君ならで誰にか見せん梅の花色をも香をも知る人ぞ知る
平安時代になって紅梅が入ってきて、香ばかりではなく、色も鑑賞の対象となったんですね。
ああ、もう間近ですね。あちらこちらで梅の香りを楽しめるすがすがしい季節。そういえば、「匂い」という語。古語では臭覚だけではなくて、聴覚にも用いられていたんだそうです。この本の中で例を上げられて、自分の以前から、そういう歌に数多く触れていたことに気がつきました。
いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重に匂ひぬるかな
敷島の大和心を人問はば朝日に匂う山桜花
節分ですね。暦の上では、今日からは春。

一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
それじゃ、「うめ」が大和言葉で、「ばい」が“中国”からの伝来の呼び名ということにはならないんですね。「ばい」は、いかにも“中国”伝来っぽいですが、それじゃ、「うめ」はいったい何者なんでしょうか。
じつは、これも“中国”伝来なんだそうです。先には行ってきた呉音としての梅が「め」、あとから入ってきた漢音としての梅が「ばい」だそうです。そして「め」が「うめ」に変化したんですね。
1月30日に、埼玉県にある国営武蔵丘陵森林公園に行ってきました。ときどき行くんです。広いところでね。サイクリングのロードがあったり、四季折々の花が楽しめるところだったり、ポンポコやまはじめ、子供を遊ばせることができたりするところです。私が行くのは、ポンポコやまで孫を遊ばせるくらいなんですけど、その時は、まあ、ちょっとした仕事で行ったんです。
2月中旬からは、梅林が見物で、いろいろな種類の梅が楽しめます。30日、大半はまだつぼみだったんですが、一木だけ、紅梅が咲いていて、梅の花のいい香りを放ってました。
春は、近いですね。
『古典歳時記』 吉海直人 角川選書 ¥ 1,620 百人一首、源氏物語、枕草子、徒然草……日本文化の奥深さに感嘆 |
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古代、梅は貴重な舶来品で、高価、かつ薬用としても有用な植物だったんだそうです。ですから必然的に、人々の生活圏に植えられて管理されていたんだそうです。そのため、在来種の山桜が野生であるのに対して、梅は人の手によって栽培されていたんだそうです。
そういう意味では、梅は桜よりも、断然身近な花だったんですね。万葉集においては、梅は桜の3倍、119首も歌に詠まれているそうです。
春たてば花とや見らん白雪のかかれる枝にうぐいすの鳴く
梅にある“付加価値の一つ”と著者は言います。春になると、他の植物よりも早く花を咲かせることですね。上の歌では、まだ咲いてませんもんね。咲いてないのに、枝にかかる白雪を花に見立てて、一刻も早い春の訪れを願うんですね。
色よりも香こそあはれと思ほゆれたが袖触れし宿の梅ぞも
梅にある“付加価値の一つ”。二番目は馥郁とした香りですね。身体の中からすがすがしくなるような、あの香。
君ならで誰にか見せん梅の花色をも香をも知る人ぞ知る
平安時代になって紅梅が入ってきて、香ばかりではなく、色も鑑賞の対象となったんですね。
ああ、もう間近ですね。あちらこちらで梅の香りを楽しめるすがすがしい季節。そういえば、「匂い」という語。古語では臭覚だけではなくて、聴覚にも用いられていたんだそうです。この本の中で例を上げられて、自分の以前から、そういう歌に数多く触れていたことに気がつきました。
いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重に匂ひぬるかな
敷島の大和心を人問はば朝日に匂う山桜花
節分ですね。暦の上では、今日からは春。


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