めんどくせぇことばかり 日本史の障害『磐井の乱の謎』 関裕二
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日本史の障害『磐井の乱の謎』 関裕二

[ヤマト政権の発展]
倭王武が南朝に送った上表文によると、5世紀にヤマト政権の勢力圏が東西に大きくひろがったことがわかる。また、前方後円墳の分布や、古墳から出土した刀剣の銘文によれば、強大となったヤマト政権の王は、みずから大王と称し、5世紀の後半には関東地方中・南部や九州中部の首長をも従えたと推定される。九州南部の熊襲や東北地方南部の蝦夷も、5~6世紀のころ、しだいに王権の統制下に入った。

なお、北海道と沖縄諸島には、前方後円墳はきずかれなかった。これらの地域では、弥生時代以降も水稲農業はおこなわれず、採集経済社会であった。この時代を、北海道では続縄文時代、沖縄では沖縄貝塚時代と呼ぶ。

ヤマト政権が発展する過程で、畿内や各地の首長が反抗し、大王家自体もいくどか衰退したと考えられる。しかし、6世紀初め、新羅とむすんで反抗した筑紫国造(君)磐井をうちやぶった(磐井の乱)ことにより、ヤマト政権の政治組織はいっそう強固となった。
実教出版《新訂版 日本史B》p27
教科書の中の、《磐井の乱》が取り上げられている部分です。第2章【水稲農業の開始と社会生活の進展】の『3 ヤマト政権の成立・発展と東アジア』のなかに書かれています。

遅くとも5世紀後半までにヤマト政権の統制下に入ったはずの磐井氏が、6世紀のはじめには、早くも新羅とむすんで反乱を起こしたらしいということが分かるだけですね。

どうも、この磐井の反乱、東アジア圏におけるヤマト政権の存立を左右する、かなり大きな、かつ重要な事件だったらしいんですけど、そういった切迫感は、まったく伝わって来ませんね。

それは、ただ教科書の問題と言うだけではないんですね。日本書紀にも大きな問題があるっていうことなんです。日本書紀は、この事件について、ある重要なことを書いていないらしいんです。

そのあたりに、日本の歴史を解き明かしていくうえでの、大きな障害があるみたいですね。


『磐井の乱の謎』    関裕二

河出書房新社  ¥ 1,890

北部九州の豪族・筑紫君磐井は、なぜヤマト政権に反旗を翻したのか?
第1章 磐井の乱勃発
第2章 九州と天皇とヤマト
第3章 東アジアと日本
第4章 継体天皇の立場
第5章 磐井の乱の真実


この本の著者の関裕二さんは、藤原氏の祖となる中臣鎌足こそ、ヤマト政権に人質として来朝していた百済王子豊璋その人であるというのが持論の方です。

そして、権力指向の強い中大兄皇子を引きずり込み、中央集権化を進める蘇我入鹿を滅ぼしてその業績を奪い、ヤマト政権を白村江の戦いに引きずり込んでいきました。中大兄皇子が、滅亡した百済を再興するために出兵し、大敗北を喫してヤマト政権を滅亡のふちに立たせるというわけの分からないことを行ったのも、たしかにそう考えれば腑に落ちます。

百済完全滅亡後は、大量の百済難民をまとめてヤマト政権の律令導入に食い込み、藤原氏が王家に寄生するシステムを巧妙に構築し、藤原氏だけが栄える平安時代を作り上げていったわけです。

日本書紀は藤原不比等の時代に完成していますので、藤原氏の立場から見た日本の歴史なわけです。その中で磐井氏は、百済を滅ぼす新羅とむすんでいるわけですから、打たれて当然な連中なわけです。どうも、著者の立場からすると、日本書紀にはまともなことは書かれていそうもないってことになりますね。

もう一つの大きな問題が、戦後の歴史教育です。

物質的な生産力や生産関係、つまりのは社会における下部構造が、その上にのる政治等、上部構造を変化させるという唯物史観ですね。資本主義社会においては、生産手段を独占して労働者を搾取する資本家は、労働者の団結と階級闘争のはてにおこる社会主義革命によって必然的に打倒され、共産主義社会に移行していくっていう、あれです。

たしかに戦前戦中に皇国史観なるものはありました。きわめてグロテスクなものに変化してしまったのは、戦中後期の一時期ではありますが・・・。日本史学会の上部が公職追放されて浮かび上がった敗戦利得者層は、皇国史観から逆に振れて、唯物史観に立って、あるいはニューディーラーの燃えカスみたいのにおもねって、“天皇”の存在を攻撃することこそ皇国史観からの脱却であるかのように振る舞ってきたわけです。

こういう姿勢って、今でもずいぶん支持する人はいるようです。以前とは違って、だいぶ穏やかにはなってきたようですけどね。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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