めんどくせぇことばかり 『山女日記』 湊かなえ
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『山女日記』 湊かなえ

ここで紹介している本は、文庫です。でも私、この本を、つい先日、単行本で読みました。

この単行本、2014年に出版されてます。当時は、まだ股関節の痛みをかかえている頃で、しかも、徐々にひどくなりつつある頃で、もう、靴下も自分でははけなくなっている頃です。とてもじゃないけど、山登りの本なんか、手を出す状況にありませんでした。

2016年になって、相性のいい先生に巡り合えて、その年の10月下旬に股関節の手術を受けることになりました。2014年に、NHKの企画番組で田中陽希さんの『日本百名山一筆書き』っていうのをやっていて、少しずつ、もう一回山に登りたいって気持ちが強くなっていってね。

30代で山をやめてから、山の本は、まったく読まなかったんですが、手術に合わせて、買いこみました。山の本だけってわけじゃないんですけど、入院中に読もうと思って、いろいろね。

そんな本の一つが、『山女日記』の単行本だったんです。

手術を受けた後も痛みの残る人、良くなったけど杖の手放せない人、そういう人もけっこういるようなんです。手術前には、期待を抱きすぎると、だめだったときの失望が大きいことを懸念していたんですが、もう、心が浮き立ってしまって、とどめようがないんです。

お陰さまで、手術直後はつらかったものの、変形性股関節症からくる痛みは、0になりました。看護師や医師、理学療法の若いお姉ちゃん先生から止められるまでリハビリして、11月14日に退院しました。だいぶ早く退院できたので、入院中のために準備した本の中には、手つかずのものもありました。

『山女日記』も、その中の一冊でした。

退院してから、仕事に復帰するまでの何日間か、家で何となくテレビをつけていたら、NHKで『山女日記』をやってました。


『山女日記』    湊かなえ

幻冬舎文庫  ¥ 702

誰にも言えない思いを抱え、山を登る彼女たちは、やがて小さな光を見いだして
妙高山
火打山
槍ヶ岳
利尻山
白馬岳
金時山
トンガリロ


そっちで見ちゃったんですよ。見ちゃったもんですから、読みそびれちゃったんですね。

そんなわけで、ほとぼりが冷めるまで待ってて、特に理由があるわけじゃないんだけど、このタイミングで読むことになっちゃったわけです。

まだまだテレビドラマの印象は残っておりましたが、ほんのお話は、しっかり、とても楽しく読むことができました。上の目次にあるように、山の名前のついた7つの話からなるわけですが、基本的には、それぞれが独立した話として、つまり山の短編集という形になってます。

ただ、とても上手に構成されていました。それぞれの物語に登場する女たちは、決して、それぞれの物語の本質に干渉してくることはないんですが、違う女を表面に出した話の中に、さりげなく登場してくるんです。そして、本質にかかわるわけじゃない程度に絡めてくるわけです。上手ですねぇ。

この本に登場してくる女たちは、いろいろな思いをかかえながら、山にやってきます。

《こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。拭いきれない姉への劣等感。夫から切り出された別離。いつの間にか心が離れた恋人》

世の中が変わって、女が楽になったなんて、1㎜も思いません。家とか地域とか、いろいろなものから切り離されて、代わりに何かにつなぎとめることができりゃいいですが、切り離されっぱなしですからね。今の女の人たちは。

昨年の秋のはじめに、連れ合いと尾瀬に行きました。テントを張ってると、隣でテントをたたんでいる山女がいました。前の晩に山の鼻にテントを張って、その日、至仏に登ってきたという人でした。時間は午後1時過ぎだったでしょうか。これから見晴らしに移動してテントを張り、明日は燧に登ると言ってました。

「欲張りだね」って言ったら、「欲張りな“女”なんです」って返されて、ちょっと心配になりました。「ゆっくり、気を付けていってね」って送り出して、しばらく木道を歩く赤いザックを眺めていたら、連れ合いに咳ばらいをされてしまいました。

いろいろなものを背負ってるのは、山に行こうが行くまいが同じだけど、きっと山に行くと、帰りは少し荷物が軽くなってるんじゃないかなって、そんなことを感じさせられる本でした。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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