めんどくせぇことばかり 『国家の盛衰』 渡部昇一 本村凌二
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『国家の盛衰』 渡部昇一 本村凌二

《テルマエ・ロマエ》っていう映画がありましたが、あれは面白かったですね。ローマ、五賢帝時代の公共浴場設計士が、現代の日本にタイムスリップしてきちゃうんですね。んで、日本のお風呂やトイレに入って感動しちゃうんですね。泡がブクブク出ていたり、便座がとってもポカポカだったりしてね。

設計士はローマに帰って、古代ローマに現代日本の知恵を持ち込むんだけど、さすがに電気がないですからね。だから、なんか見えないところで、奴隷が棒を回していたり、「ふうふう」と、懸命に息を吹いていたりするんです。

そういうことなんですね。現代の伝記に代わる、古代のエネルギーは、奴隷だったわけです。

ここからは、渡部昇一さんがこの本に書いていることをもとにしたお話です

古代にも機織り機や簡単なクレーンなどがありましたが、それを動かすのは奴隷でした。つまり、奴隷は、現代の石油や石炭に匹敵するエネルギーだったのです。《テルマエ・ロマエ》そのものですね。

しかし、中世になると奴隷制は消えていきます。農民たちは農奴、コロヌスなんて呼ばれますけど、基本的に奴隷ではありません。そして、長い歴史の中で、領主との関係を、じょじょに有利に改善していきますよね。

ところが、古代よりたちの悪い奴隷制を大規模に復活させたのは、1600年代にイギリスからバージニア植民地に入植した、のちにアメリカ人と呼ばれる人々でっした。そして、奴隷制は1865年に廃止されるまで、200年以上続き、1860年のアメリカの国税調査によれば、奴隷人口はおよそ400万人に達していたそうです。

では、なぜアメリカで奴隷制が復活したのでしょうか。それは、アメリカがイギリス国教会の改革を唱えたピューリタンによって建国されたからとされています。ピューリタンはマルティン・ルターによる1517年の宗教改革後、ローマ教皇庁を中心とするカトリックから分かれたプロテスタントに属します。したがって、カトリックの支配した中世の歴史を理解できないのです。


『国家の盛衰』    渡部昇一 本村凌二

祥伝社  ¥ 907

難問が山積する現在の日本。日本はこのまま衰退するのか。我々は何をすべきか
序章 国家繁栄と覇権の条件
第1章 ローマ―世界帝国の典型
第2章 スペイン、オランダ―海上覇権と貿易
第3章 イギリス―工業技術による産業立国
第4章 アメリカ―実験国家、人工国家の活力
第5章 中国―覇権国家になりうるか
第6章 日本―これから歩むべき道


彼らが理想としたのは、中世を飛び越えてギリシャ、ローマなどの古代国家でした。その証拠に、ということで渡部昇一さんがあげていたのが、とても面白かったんです。

中世は彼らにとって「暗黒時代」と思われていたので、建築物もローマ帝国を模し、中世のゴシック建築のように尖ったものを作ることはなかったんだそうです。また政治システムは古代のアテネやローマを模範としています。

あれ、たしかにそうですよね。合衆国議会議事堂はローマ風ですか。キャピタルって呼ばれるそうですが、キャピタルはもともと神殿の置かれていたローマの丘、カンピドリオがもとですよね。リンカーン記念堂なんか、ドーリア式の柱が並んでますよ。中世を否定するあまり、古代ギリシャ・ローマに傾倒しているんですね。

そして、ローマの奴隷制に倣い、アフリカから黒人を大量に輸入し、奴隷としたのです。その結果、黒人奴隷は広大な綿花畑を有する、アメリカ南部を中心に増加していきました。また、鉄道建築などの重労働のために、中国から苦力という奴隷を輸入したのです。リンカーンが奴隷解放宣言を出したのは、それに代わる苦力という新しいエネルギー源を確保していたからということです。

つまり、アメリカを近代の帝国と定義するのであれば、その興隆を支えるエネルギーとして、黒人や苦力などの奴隷が重要な役割を担っていた、と言えるでしょう。

二〇世紀初頭のイギリスのジャーナリスト セシル・チェスタトンは、『アメリカには中世がない』と言ってます。また、二〇世紀初頭のフランスの首相 ジョルジュ・クレマンソーは、『アメリカは歴史上、文明という段階を経ずに、野蛮から堕落へと走っていった唯一の国だ』と言ってます。この先、アメリカには何があるんでしょう。

ちなみに、奴隷をラテン語では「セルブス」といいますが、これは英語の「サービス(奉仕)」の語源になったものです。そして、奴隷を意味する英語「スレイブ」の語源は、スラブ民族に由来しており、これは神聖ローマ帝国の初代皇帝オットー大帝が東方を攻め、スラブ民族を大量に奴隷としたことが由縁になっているそうです。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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