話せば分かる『問答無用』 櫻井よしこ
「問答無用!」・・・ズバッ!
「問答無用!」のあとには、もう、問答はないんですよ。「問答無用!」のあとには、“ズバッ!”か、“バンバンバン!”のどちらかしかない訳じゃないですか。本当に、大丈夫なんでしょうか、櫻井さん。
「問答無用!」・・・“バンバンバン!”は、犬養毅首相のパターンです。犬養毅が「話せばわかる」と言ったのに対して、「問答無用」ですからね。とても分かりやすいですね。
あの頃、すでに日本には、“憲政の常道”と呼ばれる、すぐれた政治システムがありました。大正時代、「衆議院で第一党となった政党の党首が内閣総理大臣となり組閣をする。その内閣が失政により倒れたときは、野党第一党の党首が内閣素入り大臣となって組閣をする。その前後に衆議院議員選挙が行われて、民意が問われる」というシステムが確立したんですね。大したもんです。
それが残念ながら、この五・一五事件で終わってしまいます。そして、総理大臣の指名にあたって、軍部の意向っていうのを勘案しなければならなくなっちゃうんですね。元海軍大将の斉藤実が推薦されて、民政党と政友会から協力を得て挙国一致内閣を立ち上げることになります。
総理大臣の推薦は元老に頼っていて、この頃は西園寺公望しかいなくなっちゃいましたから、そこに脆弱さがありました。
政党政治の腐敗に対する反感から、青年将校らへの助命嘆願が寄せられるなど、世界恐慌の影響による不景気が、多分にこの決起や国民の意識に影響を与えていただろうと思われる。しかし、高橋是清の積極財政で、日本は世界に先駆けて大不況を克服しつつあったわけです。それを考えると、この事件が起こったことは、本当にもったいなかったですね。マスコミの責任が大きいと思います。


さて、『問答無用』という題名をつけたことに対して、“はじめに”に櫻井さんの考えが書かれていました。
櫻井さんが、そこまで言う“大変化”とは、“中国”のことを言っています。
アメリカは、ここに来てようやく、“中国”が長年、アメリカを騙し続けてきたことに気がつきました。国際法や国際規約を守り、たとえ自分に不利であっても国際社会の約束事を優先し、自国のあり方に修正を加えていく、現代の世界における多くの責任ある国家のあり方が、“中国”によって踏みにじられ、光明に利用すらされていることに気がついたのです。
“中国”は、国際社会のルールを徹底的に無視し、力で以って、自分の都合のいい方に変えていこうとしていることに、ようやく気がついたんです。
“貿易戦争”と見られているアメリカと中国の対立がありますが、あれはそんな表面的な問題じゃありませんね。櫻井さんは、《価値観の対立》と言ってますが、それがふさわしいですね。この戦いに後ろを見せた者は、もはや二度と世界に対してでかい顔をすることはできません。
もしもアメリカが、人権問題で、これまで通りアメリカらしく“中国”に改善を求めても、“中国”は聞き入れられるはずがありません。軍事費を上回ると言われる国内治安対策費を使って、武装警察、サイバーポリスを駆使して国民各層の不満の爆発を抑止している“中国”なんですから。
そんな勝負を米中が始めているとすれば、日本はこれまでのような中途半端な行動はとるべきではないでしょうね。なにしろ米中の対立は、櫻井さんの言葉を借りれば、「どちらかが屈服するまで対立も戦いも解消されない」そういう質のものであるんですから。
そんな切迫した気持ちからつけられた、『問答無用』という題名であるということです。
気持ちは分かります。しかし、その気持ちはいろいろな人が、いろいろな立場で抱くものです。そのすべてが容認されることになれば、・・・そりゃやっぱり駄目だと思うな。
一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
「問答無用!」のあとには、もう、問答はないんですよ。「問答無用!」のあとには、“ズバッ!”か、“バンバンバン!”のどちらかしかない訳じゃないですか。本当に、大丈夫なんでしょうか、櫻井さん。
「問答無用!」・・・“バンバンバン!”は、犬養毅首相のパターンです。犬養毅が「話せばわかる」と言ったのに対して、「問答無用」ですからね。とても分かりやすいですね。
あの頃、すでに日本には、“憲政の常道”と呼ばれる、すぐれた政治システムがありました。大正時代、「衆議院で第一党となった政党の党首が内閣総理大臣となり組閣をする。その内閣が失政により倒れたときは、野党第一党の党首が内閣素入り大臣となって組閣をする。その前後に衆議院議員選挙が行われて、民意が問われる」というシステムが確立したんですね。大したもんです。
それが残念ながら、この五・一五事件で終わってしまいます。そして、総理大臣の指名にあたって、軍部の意向っていうのを勘案しなければならなくなっちゃうんですね。元海軍大将の斉藤実が推薦されて、民政党と政友会から協力を得て挙国一致内閣を立ち上げることになります。
総理大臣の推薦は元老に頼っていて、この頃は西園寺公望しかいなくなっちゃいましたから、そこに脆弱さがありました。
政党政治の腐敗に対する反感から、青年将校らへの助命嘆願が寄せられるなど、世界恐慌の影響による不景気が、多分にこの決起や国民の意識に影響を与えていただろうと思われる。しかし、高橋是清の積極財政で、日本は世界に先駆けて大不況を克服しつつあったわけです。それを考えると、この事件が起こったことは、本当にもったいなかったですね。マスコミの責任が大きいと思います。
『問答無用』 櫻井よしこ 新潮社 ¥ 1,728 世界の大激変を前に、国家として「自らの力で自らを守る」ための決断は待ったなし |
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さて、『問答無用』という題名をつけたことに対して、“はじめに”に櫻井さんの考えが書かれていました。
・・・一人一人が意見を表明することで他者を啓発し、自身も啓発されることでエネルギーが生まれ、物事も社会も国も、より良い方向に向かうと信じている。にも拘わらずいま、私は「問答無用」という、自らの信念に逆行する激しい表現を題名に選んだ。 理由は、およそすべての人の予想を上回る速さと規模で大変化する国際情勢にある。この大波を力強く乗り越えることなしには日本の未来はないという、冷厳な現実に気付かなければならないからである。 |
櫻井さんが、そこまで言う“大変化”とは、“中国”のことを言っています。
アメリカは、ここに来てようやく、“中国”が長年、アメリカを騙し続けてきたことに気がつきました。国際法や国際規約を守り、たとえ自分に不利であっても国際社会の約束事を優先し、自国のあり方に修正を加えていく、現代の世界における多くの責任ある国家のあり方が、“中国”によって踏みにじられ、光明に利用すらされていることに気がついたのです。
“中国”は、国際社会のルールを徹底的に無視し、力で以って、自分の都合のいい方に変えていこうとしていることに、ようやく気がついたんです。
“貿易戦争”と見られているアメリカと中国の対立がありますが、あれはそんな表面的な問題じゃありませんね。櫻井さんは、《価値観の対立》と言ってますが、それがふさわしいですね。この戦いに後ろを見せた者は、もはや二度と世界に対してでかい顔をすることはできません。
もしもアメリカが、人権問題で、これまで通りアメリカらしく“中国”に改善を求めても、“中国”は聞き入れられるはずがありません。軍事費を上回ると言われる国内治安対策費を使って、武装警察、サイバーポリスを駆使して国民各層の不満の爆発を抑止している“中国”なんですから。
そんな勝負を米中が始めているとすれば、日本はこれまでのような中途半端な行動はとるべきではないでしょうね。なにしろ米中の対立は、櫻井さんの言葉を借りれば、「どちらかが屈服するまで対立も戦いも解消されない」そういう質のものであるんですから。
そんな切迫した気持ちからつけられた、『問答無用』という題名であるということです。
気持ちは分かります。しかし、その気持ちはいろいろな人が、いろいろな立場で抱くものです。そのすべてが容認されることになれば、・・・そりゃやっぱり駄目だと思うな。

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