めんどくせぇことばかり 『日本国紀』 百田尚樹
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『日本国紀』 百田尚樹

百田さんも、ついに日本の歴史を書いたんですね。

もちろん百田さんの書いた“日本通史”ですから、教科書なんぞよりよっぽど面白いです。百田さんの“日本通史”が面白いには、それなりのわけがあります。

“序にかえて”の最後に書かれているのですが、《ヒストリーという言葉はストーリーと同じ語源とされています。つまり歴史とは「物語」なのです。本書は日本人の物語、いや私たち自身の壮大な物語なのです》という立ち位置でこの本は作られているんですね。

かつて、旧宮家の一つ竹田家の竹田恒泰さんの本を読んだ時、竹田さんは日本史の教科書を読みながら、自分の“家”の歴史が書かれていると感じたそうです。南北朝時代なんか、「あれっ?二つに分かれちゃった。いったいどうなるんだ」なんて、はらはらしながら読んだそうです。

この日本列島の歴史である以上、そして、西欧や“中国”なんかと違って、神話、文化、言語、なにより血のつながりに分断のない、ひとつながりの時間の中で歴史を見ることができるわけです。つまり、“私たち自身の壮大な物語”ですね。

その、“できること”を、戦後の歴史教育は、やって来ませんでした。やって来なかったばかりではなくて、第二次世界大戦の戦勝国と、戦勝国ではないがなぜが日本を倒した側に立って、日本にやられたと主張したい人たちにおもねった歴史を創造し、垂れ流してきました。

そんな中に登場した、新しい、私たち日本人の物語です。面白いです。面白いんですけど、不満もあります。おそらく百田さんは、歴史好きだけではなくて、より多くの人たちに、この日本人の物語に触れてもらうため、“一冊の本”にまとめる必要性を感じていたんじゃないかと思うんです。

室町時代初期、観応の擾乱に関わる記述の中に、こんなことが書かれているんです。

《この一連の戦いは「観応の擾乱」と呼ばれる。南北朝と幕府の権力争いをめぐるこれらの出来事は実に複雑で、詳しく書くには本一冊くらいの分量が必要になるが、本書は日本の通史なのでこのあたりにとどめておく》

“一冊の本”にまとめるために、私は読んでいて、「ここはもう少し突っ込んでほしかった」って思った場所がありました。どこか、最大公約数ってところにまとめようとしてたんじゃないかって思うこともありました。


『日本国紀』    百田尚樹

幻冬舎  ¥ 1,944

当代一のストーリーテラーが、平成最後の年に送り出す、日本通史の決定版!
第一章  古代~大和政権誕生
第二章  飛鳥時代~平城京
第三章  平安時代
第四章  鎌倉幕府~応仁の乱
第五章  戦国時代
第六章  江戸時代
第七章  幕末~明治維新
第八章  明治の夜明け
第九章  世界に打って出る日本
第十章  大正から昭和へ
第十一章 大東亜戦争 
第十二章 敗戦と占領
第十三章 日本の復興
終章   平成


『日本国紀』という題名で、しかも、“記”ではなく“紀”ということですから、やはり『日本書紀』を意識されたんじゃないかと思うんです。

『日本書紀』は、“中国”の『漢書』や『後漢書』と同じく、本来は、『日本書』でしょうね。『漢書』でも、その中に《紀》、《表》、《志》、《列伝》っていう項目があります。ですから、『日本書紀』は本来、『日本書』の中の《紀》にあたる項目と理解するべきでしょう。

《紀》とは、「すじみちを立てて明らかにしたもの」、「天子の事績を示したもの」ですから、『日本書』の中の《紀》と考えれば、歴代の天皇の事績を示したものと考えればいいでしょう。

『漢書』や『後漢書』の例に習うなら、『日本書』も《紀》に続いて、《表》、《志》、《列伝》までを書き上げるつもりがあったのかもしれません。

そして、百田さんはこの本の名前を『日本国紀』にしました。つまり、「すじみちを立てた、日本国の正統な歴史」がここに示されたことになるわけです。

でも、前半に書きましたが、それを一冊にまとめるために、いくつもの周辺の物語を、そぎ落としてしまっているわけです。

もうお分かりでしょう。百田さんは、『日本国紀』を成し遂げるためにそぎ落とした幾多の話を、『日本国表』に、『日本国志』に、そして『日本国列伝』に成し遂げなければならないということなんです。それがなった時、初めて私たちは、『日本国書』を持つことができることになるわけです。

ああ、なんてすばらしい。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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