『からだことば』 立川昭二
三月二日、三日に大阪に行ったんですが、電車の中で読もうと思って、それにふさわしそうな本を何冊か買いました。この本もその中の一つで、結局、その時は持っていかなかったんですが、リサイクルのお店で買った本です。
それがペラペラって読んでみたら、なかなか深くて面白いんです。すぐ調べてみたら、すでに時価になってる本でした。
本当に、まだ最初の方をペラペラって段階なんですけど、とても興味深い内容があったんで、覚書代わりに書いておきます。
第二話の《「腹が立つ」「頭にくる」「むかつく」》という項目に関してです。私、三月二三日で五九歳になるんですが、今の怒ることを「むかつく」という言葉で表現する風潮が始まった頃のことを、体験として覚えています。私自身、その表現を、大変、奇異に感じたからです。
私にとって、小さい頃から慣れ親しんだ「むかつく」という表現は、兄たちに食べ負けないように欲をかいて、吐きそうになったときに使い言葉でした。吐き気がするってことですね。この本にも、六、七歳の子どもが「むかつく」と言ったのを、たまたま聞いたおばあちゃんが心配して、お腹の薬を取り出したってことが書かれてました。そのおばあちゃんの感覚は、私の持ってるものと同じです。
高校の教員になって、まだあまり立たない頃ですよね。とても滑稽な髪型の高校生くんが、少々異常な目つきで私を見て、「ムカつく」というのです。「吐きそう」と訴えかけられたと思った私は、その少々異常な目つきを、もはや一刻の猶予もないものと思い、「そうか、早くトイレに行け」と支持を出しました。滑稽は髪型も、気持ちの悪さに、たまらずかきむしったものかと・・・。
それが私に対する彼の衝動的な怒りの表明であるとは思いもよらず、「助けて」っていう求めと受け止めていた私でした。


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それがペラペラって読んでみたら、なかなか深くて面白いんです。すぐ調べてみたら、すでに時価になってる本でした。
本当に、まだ最初の方をペラペラって段階なんですけど、とても興味深い内容があったんで、覚書代わりに書いておきます。
第二話の《「腹が立つ」「頭にくる」「むかつく」》という項目に関してです。私、三月二三日で五九歳になるんですが、今の怒ることを「むかつく」という言葉で表現する風潮が始まった頃のことを、体験として覚えています。私自身、その表現を、大変、奇異に感じたからです。
私にとって、小さい頃から慣れ親しんだ「むかつく」という表現は、兄たちに食べ負けないように欲をかいて、吐きそうになったときに使い言葉でした。吐き気がするってことですね。この本にも、六、七歳の子どもが「むかつく」と言ったのを、たまたま聞いたおばあちゃんが心配して、お腹の薬を取り出したってことが書かれてました。そのおばあちゃんの感覚は、私の持ってるものと同じです。
高校の教員になって、まだあまり立たない頃ですよね。とても滑稽な髪型の高校生くんが、少々異常な目つきで私を見て、「ムカつく」というのです。「吐きそう」と訴えかけられたと思った私は、その少々異常な目つきを、もはや一刻の猶予もないものと思い、「そうか、早くトイレに行け」と支持を出しました。滑稽は髪型も、気持ちの悪さに、たまらずかきむしったものかと・・・。
それが私に対する彼の衝動的な怒りの表明であるとは思いもよらず、「助けて」っていう求めと受け止めていた私でした。
『からだことば』 立川昭二 早川書房 ¥ 時価 身体観をはらんだ「からだ」に関わる言葉から日本人像を浮かびあがらせる快作 |

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