めんどくせぇことばかり 『からだのことば』 立川昭二
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『からだのことば』 立川昭二

時価の本で、何度も記事を書くのは、なんだか恥ずかしいですね。

ただ、先日は、あとになにを続けようか悩んでいるうちに、わけがわからなくなって、中途半端なままでブログにさらしてしまいました。だけど、なんと言ってもいい本ですので、古本屋や図書館で目にしたら、ぜひ手にとっていただきたくて、恥を忍んでもう一度取り上げます。

著者の立川昭二さんは、今の若い人たちが“身体感覚”を失いつつあることを、心配してらっしゃいます。今日、「からだことば」が消えていきつつあるのは、その言葉にある“身体感覚”に共感することができていないということのようなんです。理解できないと、そういうことのようです。

雑誌『広告批評』が、《からだことば体力検定》と銘打って、若い人たちのからだことばの理解度を調べたことがあるんだそうです。以下に、それぞれのことばの正解率を紹介します。

《尻が長い》二九.六%
《尻をまくる》八.五%
《舌を巻く》四二.三%
《足が出る》五二.一%
《目から鼻に抜ける》一六.九%

んんん、分からないんですか。この程度の言葉が。

そういえば、私はどうやって、これらの言葉を身に着けたんでしょう。なんだか、当たり前の言葉過ぎて、なかなか思い当たりません。読書だったら、今の若い人たちだってしてるでしょう。

《身体性を失いつつある時代そのものの空気》というものを、立川さんは問題視されています。その、“時代の空気”って、一体何でしょうか。

飛躍のように思われるかもしれませんが、私は世代間の断層だと思います。今の日本には、世代間の断層があると思います。なぜ、世代に断層が生じたのか。やはり、家が崩壊したことが、大きく影響していると思います。

二〇代までは、ただただ、煩わしいだけだった“家”だったり、“地域”だったりでしたが、その“家”だったり“地域”だったりが果たしていた社会的な役割は、実はとてつもなく大きかったんだと思うんです。それを戦後の民法学者さんたちが、寄ってたかってぶち壊して、個人を“家”や“地域”から解放しちゃったんです。


早川書房  ¥ 時価

身体観をはらんだ「からだ」に関わる言葉から日本人像を浮かびあがらせる快作
第1話 からだことばが消えていく
第2話 「腹がたつ」「頭にくる」「むかつく」
第3話 「腹」と「胸」、神経とストレス
第4話 「気」と「息」、からだといのち
第5話 「肌感覚」と「皮感覚」
第6話 「肩」の心性史
第7話 「足」の文化、「腰」の文化
第8話 見る、視る、観る、診る、看る
第9話 聞く、聴く、訊く、効く、利く
第10話 ふれる、なでる、抱く、包む
第11話 ピアノをひく、風邪をひく、汗がひく
第12話 「からだ」「肉体」、そして「身体」
第13話 身のこなし、身にしみる、身をまかす
第14話 「気持ちいい」生き方
第15話 「疲れ」社会、「痛み」人生
第16話 ことばの治癒力
補講 作家とからだことば

高校生あたりまでの学校に通っている子どもが、いじめを始め、なにか命に関わる事件を起こしたりする嫌な出来事が少なくありません。そのたびに先生方は、「命の大切さ」がどうのこうのと始まります。お定まりの言葉ではありますが、そう言われては、反論はできませんです。だけど、先生方の努力も虚しく、同様の出来事はいっくらでも繰り返すんです。

本気で関わろうとしないから、・・・って言ってしまっては先生方に申し訳ないけど、先生方が子どもたちに本気で関わろうとしたら、そのうち首になっちゃいますから仕方ありません。

“地域”も関われません。連れ合いと一緒に歩いているときに、バンバン空ぶかしするうるさいバイクが来たので、「うるせぇな!」って言ったら、連れ合いに怒られちゃいました。“家”はどうでしょう。だめですね。私たちが子供の頃のような“家”は、もうありませんからね。

今の子供は、本気で関わってくれる大人が、あまりに少ないんじゃないでしょうか。本気で関わってくれる人を通して、私たちは“身体感覚”を身に着けていくんじゃないでしょうか。人に関わるって、たしかに本当にめんどくさいものです。だけど、それを通して、私たちは“身体感覚”で社会を成り立たせていたんじゃないでしょうか。

“肌”という言葉に関わる考察が面白かったんです。現代の人たちは「皮感覚」の人たちが増えていて、「肌感覚」が失われているのではないかというのです。

だけど、夫婦とか親子っていうのは、たしかに「肌感覚」の関係ですよね。「肌感覚」の人が、もしも失われれば、“身”を切られるように辛いわけです。だけど、「皮感覚」の関係なら、誰が死んでも何でもありません。「肌感覚」だから、“腹”も立つし、“頭”にもきます。本気だから、先生だったらひっぱたくかもしれない。だけどそれをやったら、先生は首です。

「一肌脱ぐ」、「肌が合う」、「肌に馴染む」、「肌を許す」。

“肌”のつく言葉は、自分の深いところから湧き上がる相手への想い、相手に対する本気の気持ちを現しているんですね。




一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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