めんどくせぇことばかり 『神は詳細に宿る』 養老孟司
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『神は詳細に宿る』 養老孟司

社会脳と非社会脳の話が面白い。

アメリカのスペースシャトル、チャレンジャー号が打ち上げ途中で爆発してしまう事故が起こった時、技術者たちは打ち上げに反対していたんだそうです。打ち上げ日の気温ではある部品が固くなって事故が起こるリスクが高まると技術者たちが反対しているのに、なぜ打ち上げは強行されたんでしょうか。打ち上げ強行を主張したのは、広報の人たちだったそうです。

「すでに何度も延期しているし、今日のため広告を打って、人も集めているから止められない」というのがその理由です。そして、後方の主張が認められて、発射が強行され、事故が起こったというわけです。

事故調査報告書に、その調査に加わったとある物理学者の個人的意見が付されています。次のようなものです。「テクノロジーを成功させるためには、広報よりもまず現実を優先させるべきである。なぜなら自然を欺くことはできないからである」

“欺けない自然”に従うべきだというのが、技術者の非社会脳が出した結論だったわけですね。しかし、「広告打って人も集めちゃったんだからいまさらやめられちゃ困るよ」という、広報の人の社会脳が、上に認められちゃったわけです。

あらゆる事故に関しては、同じようなことが起こってるんでしょうね。・・・原発もね。

養老さんの話の中にあるのですが、ある調査で、日本人の五〇%は言ってることとやってることが一八〇度違うという結論が出たそうです。言ってることとやってることが一八〇度違う人には世論調査をしても意味がありません。

原発に反対か、賛成かで聞いて、本音では全員が賛成であったとしても、五〇%は反対というわけです。結局、いつでも五分五分になるわけです。八割賛成、二割反対でも、八割の半分は逆のことを言ってるし、二割の半分も逆のことを言っているので、結局、五分五分です。

原発に賛成にしろ、反対にしろ、“欺けない自然”なんてお構いなしですから、結局、予備電源まで喪失なんてことになるわけですね。

『神は詳細に宿る』    養老孟司

青土社  ¥ 1,512

私たちはこれからどこへ向かうのか? ニヒリズムに陥らないための現代社会の手引き
1 煮詰まった時代をひらく
2 世間の変化と意識の変化
3 神は詳細に宿る
4 脳から考えるヒトの起源と進化
5 「科学は正しい」という幻想
6 面白さは多様性に宿る
7 虫のディテールから見える世界
8 ファーブル賛歌


日頃から、過ぎるくらいに忙しい毎日を送る小学校の先生が今、夏休みに休むこともできなくなっていることを、養老さんが取り上げています。子どもがいない学校に、先生だけが通わなきゃいけないってことです。そうすることで教育制度の維持が優先されて、子どもの教育が後回しにされているってことです。それを当たり前にしている社会、教育委員会、PTA、受け入れている教員まで、みんな共犯だって。

私は小学校じゃなくて高校ですけど、そこに締め付けが来たのは平成二〇年ころからでしょうか。小学校と高校では違うかもしれませんけど、そのあたりまでは、教員にとって夏休みの自由度は、かなり高かったです。

まあ、休みのない部活の顧問もいくらでもいましたが、山岳部をやってる当時は、夏休み中、二度か三度の縦走以外、日局以外の勤務に縛られることは、まずありませんでした。部活から自由になった時間は、どう使おうが、その人の勝手でした。

難しい時代でしたから、夏休みは学校のことは忘れて、完全に息抜きに使ってる人もいました。だったら夏休み中は、給料を下げるってのなら少しは分かりますが、やることがあろうがなかろうが学校に来いっていうのは、本末転倒ですね。そんなら、息抜きで英気を養ってもらったほうが、よっぽど子どものためです。

私は、本の読みだめに使ってましたね。そのうち、「それなら学校で読め」って言われるようになって、「バカバカしい」って返したら、「せめて成果物をだせ」って、・・・レポートのことです。そんな物いくらでもストックがありますから、学校の紙を使って、学校のコピー機で、膨大な成果を提出しました。

今、学校の症状は、ますます悪化しています。学校を信用しない親が増えすぎているし、管理職が僅かなミスにビクビクしてるから、教員全体が萎縮して、本気で子どもに向かい合うなんて、怖くてできるもんじゃありません。

かつてやってきたような、子どもとの向かい合い方がもうできませんから、そんな状態でこの仕事を続けてもすり減るだけですから、やめました。・・・昨日で。




一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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