めんどくせぇことばかり あなたへ『生きる力』 種田山頭火
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あなたへ『生きる力』 種田山頭火

先日、高倉健さんの最後の主演映画となった《あなたへ》という映画を、テレビで放映していたのを見ました。
北陸の刑務所で指導技官として勤務する倉島英二(高倉健)のところに、亡くなった妻・洋子(田中裕子)が生前にしたためた1通の手紙が届く。そこには故郷の海に散骨してほしいと書かれており、英二は洋子が生前には語らなかった真意を知るため、車で彼女の故郷・九州へと向かう。その道中で出会ったさまざまな人々と交流するうちに、妻との思い出が頭をよぎり……。

あらずじは、シネマトゥデイのものを借りてしまいました。この二年後に、高倉健さんは亡くなるわけですね。そうそう、同時にこの映画、個性的な漁師役で登場する大滝秀治さんの遺作でもあるそうです。

生前の妻の思いを追いかけて、その故郷である平戸に旅する高倉健さん演ずる倉島英二が、旅の途中で何人もの人と出会うんですね。行きずりの、それらの人の人生に、亡き妻と過ごした日々が重なっていきます。

キャンピングカーで旅するビートたけし演ずる杉野輝夫が、どうやら倉島になにかを感じたようなんです。“関わろう”としてくるんですね。同じオートキャンプ場に車を入れた二人が、夕日を背景にテーブルを挟んで座ります。退職した国語の先生だという杉野が倉島に山頭火の話をします。

「松尾芭蕉は旅。山頭火は放浪」「旅には目的がある。放浪にはそれがない」「旅には帰る場所がある」

そして、持っていた山頭火の草木塔を倉島に渡すんです。

その後、二人は再会します。しかし、倉島の目の前で、杉野は警察官に逮捕されるんです。なんと杉野は車上荒らしの常習犯で、どうやら手配が回っていたらしいんです。杉野が倉島に“関わろう”としたのは、そういうことだったんでしょうか。


『生きる力』    種田山頭火

春陽堂書店  ¥ 1,512

生きていくことが虚しいと思った時。 山頭火の句は、心にぽっと灯りをともしてくれる
一人自分を見つめる
水の如く生きる
「死」をうたい「生」へ歩む
自然とともに暮らす
ふるさとを想う


杉野は倉島に、自分と同じ、放浪の質を見たんではないでしょうか。

杉野は放浪を続けるために、車上荒らしを繰り返していました。国語教師の話はともかく、定年後は一緒に日本中を回ろうと語り合った妻に先立たれたというのは、本当のことではないでしょうか。そして彼は、妻の死によって帰る場所を失ないました。

「旅には帰る場所がある。」

妻を失った彼は、キャンピングカーで、妻と回るはずだった日本中のいろいろな場所を回り始めます。そして、いろいろな場所を回るうちに、彼は気づくのです。自分には帰る場所がないことに。

放浪のための放浪が続くうち、彼はその放浪のために車上荒らしを始めます。繰り返し繰り返し、人の車を漁る杉野。彼にとっての放浪は、妻への思いを断ち切れていないところにあるように思えます。

そんな時、杉野は倉島にあいます。最初は、いつもの通りの目的で、“関わろう”としたんでしょう。しかし、生前の妻の思いを追いかける倉島に、杉野はかつての自分の姿を見るわけです。そして今は、ひたすら車上荒らしを繰り返しては放浪を続ける自分の惨めさに打ちひしがれ、杉野はあらためて思ったんじゃないでしょうか。

妻のところに帰ろうと。

警察に捕まったのは、彼なりの方法によって放浪を終わりにするためだったでしょう。倉島はと言えば、山頭火の『草木塔』を託されたからには、彼は放浪するのでしょう。でも、その放浪は、杉野の放浪とは、少し違うものになるように思えます。

この映画、見るものの想像力とその方向性によって完成されるタイプの映画のようです。

とりあえず、私なりの完成には至りましたので、原作を読んでみようかな。

・・・『生きる力。』という本からは、離れた話になっちゃいました。すみません




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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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