めんどくせぇことばかり 『リバタリアニズム』 渡辺靖
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『リバタリアニズム』 渡辺靖

リバタリアンっていうのは、自由至上主義者って訳されてるんですか。

その熱心なリバタリアンたちが二万人ほど結集して、小さな州に移住して、その政治を左右しようという計画があるんだそうです。署名者が五〇〇〇人に達した二〇〇三年に移住先の投票が行われて、ニューハンプシャー州が選ばれました。選ばれた理由は独立以前からの自由な政治風土と、一三〇万という人口の少なさだそうです。

署名者が目標の二万人に達したのは二〇一六年。署名者は五年以内に移住することになっていて、原則二〇二二年までになっているんだそうです。

彼らは小さな共同体を作るのではなく、一三〇万という人口に、それぞれが個として生活し、必要に応じて連帯し、その政治に最大限の影響力を及ぼそうとしているんだそうです。もちろん、ニューハンプシャー州の政府の役割を、州民の生命・自由・財産の保護に限定された最小限に留めるということにおいてです。

どうしてそういう発想になっちゃうんでしょうね。

別にこれは、自由至上主義が悪いとかいうことじゃなくて、自分の政治信条を実現するためには、それが比較的可能と思われる場所に移住することも辞さないというのは驚きです。自分たちが、現状、マイノリティーであるということは意識しているわけです。つまり、自分たちの政治信条が、多くの人から喜ばれているものではないと。それが分かっていながら、実現可能な場所があるなら、喜ばれていない政治信条を、集中移住という方法で押し付けることになっても、文句を言われる筋合いではないと考えてるんですね。

今いるところでは少数者の立場で、自分たちののぞみは実現できないから、それが実現可能な場所に行って、自分たちの理想郷を作るんですか。ピルグリム・ファーザーズであり、シオニズムですね。


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アメリカ社会、とりわけ若い世代に広がりつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)
第1章 リバタリアン・コミュニティ探訪
第2章 現代アメリカにおけるリバタリアニズムの影響力
第3章 リバタリアニズムの思想的系譜と論争
第4章 「アメリカ」をめぐるリバタリアンの攻防
第5章 リバタリアニズムの拡散と壁


その定義は簡単ではありません。この本の中から拾う形で、リバタリアンの、いくつかの特徴を確認しておきたいと思います。
  • リバタリアンは、暴力を強く否定する。湾岸戦争やイラク戦争にも反対した。
  • 人工妊娠中絶や同性婚についても、国が口を挟むべきことではない
  • レイシズム(人種差別主義)やナショナリズムは個人を矮小化するドグマとして否定する
  • 銃規制に反対
  • 公的医療保険制度に反対
  • 軍備拡張に反対
  • 社会主義に反対
  • 社会的寛容の姿勢が強く、死刑制度に反対。移民に寛容
  • 所得の再分配に反対
難しいですね。確かに、特徴の多くは共和党の主張と異なるようです。社会的寛容という点では民主党の主張に沿っているようですが、銃規制に反対とか、公的医療保険制度に反対って言う点では民主党の主張とも異なります。まるで、既存の政治家は嫌だと、わがままを言っているようでもあります。

だけど、リバタリアンの主張は、しっかり、一貫しているんです。

それは、“政府は、すべからく、小さくあるべきだ”ということです。そして、“個々の自由を最大限尊重しなければならない”ということです。

世界の警察として、アメリカ合衆国に直接関係してこない世界の出来事に干渉すれば、どうしても軍事費が増大します。ひいては増税となります。人工妊娠中絶だろうが、同性婚だろうが、銃保有だろうが、個人の自由です。レイシズムやナショナリズムは、個々の自由を阻害します。公的医療保険制度、社会主義は、政府を肥大化させます。

一本筋が通ってるんです。

ティーパーティと呼ばれる、保守系の草の根運動に近い部分が大きいように思います。本書の中で、“相容れない部分がある”と書かれていましたが、《ボストン茶会事件=ティーパーティ事件》が、本国政府の重商主義政策への反発から起こったことを考えれば、もともとの方向性は重なります。
その上でいいますが、彼らは本国政府への抗議行動として、茶貿易の独占を本国政府に認められた東インド会社の貿易船を襲い、積み荷の茶を港に投げ捨てました。その時彼らは、インディアンに変装して、責任を他者になすりつけようとしていたのです。bosuton.jpg
今、そこに住む人に、自分の正義を押し付けることになることをいとわないリバタリアンに、私は同じものを感じます。・・・えっ?彼らはレイシズムを否定している?

「金持ちけんかせず」・・・相手にする必要がないってことじゃないでしょうか。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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