めんどくせぇことばかり 『ホットサンド倶楽部』 大林千茱萸
FC2ブログ

『ホットサンド倶楽部』 大林千茱萸

もう、三七年も前の話。

当時、交際していた女の子が、小田急線で新宿から1時間位のところから市ヶ谷にある大学に通っていた。私は中央線の武蔵境に兄と一緒に住んでいて、兄が大学を卒業するのを機に、新しくアパートを探すことになった。当然のように小田急線沿線にね。結局、下北沢の格安アパート・・・当時、四畳半、共同トイレで1万3千円・・・に一年間住んだんだけど、デートはいつも新宿だった。

私は、大学一年から二年の真ん中ころまで、とある劣等感から、ひたすら山に逃げ込んでいた。そのため、四年とは言っても授業はビッシリ。おまけに教職も取ってたから、夜まで授業を受けていた。採用試験の準備もしてたから、自分で言うのもなんだけど、とにかくよく勉強した。

大学からの帰り、交際していた女の子と待ち合わせをして、新宿に行って、アルタの前を左手の方へ回り込んだあたりの地下にあった喫茶店によく入った。女の子はいつも紅茶だった。私が頼んだのは、いつもコーヒーとホットサンド。ホットサンドというものを、その店で初めて食べて、その旨さに驚いた。

三六年働いた教員を早期退職したばかりなんだけど、退職してこそ気づいたことが数多い。仕事に出かければ晩まで帰ってこないわけだから、専業主婦の連れ合いは、家事も忙しかろうけれども、私のことを気にせず、私の面倒に煩わされずに半日過ごせる。仕事から帰った私が居間で場所をとってだらけているのも、また次の日になれば昼間はいないと考えれば我慢もできる。それが退職して一日中となるとどうか、・・・。

家には、連れ合いを煩わすことなく、かつ私が気ままに過ごせる場所は、実は、なかった。

それを作るために、いろいろなものを捨てた。“これは大事”と思っていたものも、教員であった私がそう思っていただけだったものが大半で、それらは全部捨てた。もはや教員ではない私にとっても大事なものだけ残した。そしたらなんとか自分の場所ができた、・・・ような気がする。

そんなドタバタの中で、かつて、山で使っていた道具をしまった箱が出てきた。三〇代で山を諦めたときに、多くの道具は捨てたんだけど、もとがいい加減なのか、捨てきれないものもけっこうあって、その箱も捨てきれなかった山道具の一つだった。その中に、ホットサンドメーカーが入っていた。


シンコーミュージック  ¥ 1,620

著者の大林千茱萸さんは「マツコの知らない世界」にホットサンドの第一人者として登場
CHAPTER 1 ホットサンドのきほん
ホットサンド解体新書 つくり方のきほん 冷蔵庫にあるものでつくってみよう
ホットサンドメーカーの使い勝手と焼き比べ
CHAPTER 2 いろんなシーンでつくってみよう
山バーベキュー 海バーベキュー 畑バーベキュー
お祭り お誕生日会 鍋パーティー
CHAPTER 3 テイクアウトの惣菜でつくってみよう
和食 洋食 中華エスニック
CHAPTER 4 カレー! カレー!! カレー!!!
カレー好きの小宮山雄飛さんとカレーとホットサンドについて語る
カレーホットサンドで1ヵ月
CHAPTER 5 食パン以外のパンでつくってみよう
イングリッシュマフィン バゲット ベーグル コッペパン
クロワッサン ぶどうパン チョコマーブルパン
CHAPTER 6 パン屋さんのスペシャルパンでつくってみよう
熱いパントーク付き! 沖縄・「宗像堂」がホットサンドに合うパンをつくってくれました
巨大パンで巨大ホットサンドをつくってみた ドリンクペアリング
COLUMN
1, 部長の器具コレ 2,部長の道具箱 
3,ホットサンドに塗るものの話 4,精進ホットサンドのススメ





喫茶店で食べたホットサンドがとってもうまかったので、それを自分で作って食べるという感覚を持てなかった。でも、自分も大学を卒業して赴任地へ引っ越すことになり、ホットサンドともおさらばになっちゃった。

下北沢からの引っ越しは、女の子が手伝ってくれた。部屋に鍵をおろした時、なぜか涙が・・・(財津和夫風に)・・・女の子は今も近くにいるので、歌のようにはならなかったんだけど、女の子はいつまでも女の子ではなかった。

ホットサンドメーカーは、その後、その女の子がプレゼントしてくれたもの。それ以来、山に行くときは、必ず持っていった。これが威力を発揮するのは、やはり朝。コンビーフ挟んで焼き上げたホットサンドの美味いこと。しかも、飯を炊くよりも圧倒的に早い。ホットサンドメーカーは、そのまま私の山道具の一員になっちゃったので、連れ合いにホットサンドを作ってやったことはなかった。

こういうのが定年を機にして出てくるというのも、なんかめぐり合わせというしかないですね。さっそく、自慢のコンビーフサンドをごちそうしました。反応は? ・・・バッチリです。なんとか、この家の居場所を確保できそう。
1_20190419091215582.jpg23
このブログ用になんか作ってみますね。パンはバケットしかなかった。具になりそなものは、昨夜のジンギスカンの残り。こんな感じで、とにかく挟んで焼くだけ。
 4  56 
山ではバーナーで焼いたり、焚き火があれば、焚き火に突っ込んで下りたりしました。今、思い出しました。このメーカーは、確か二代目だ。焚き火の熾火に突っ込んまま寝てしまって、柄の持つところが溶け落ちちゃったんだ。このジンギスカンサンドは上出来でした。ジンギスカンの味がパンに染み込んで、それでいて表面はカリカリ。その美味いこと美味いこと。

幸せな時が、一つ増えた。




関連記事

テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


現代とはなぜこんなにも棲みにくいのか。
前近代から近現代へと変貌し続ける世相の本質をつかみ生き方の支柱を示す。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事