めんどくせぇことばかり 『謎解き 聖書物語』 長谷川修一
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『謎解き 聖書物語』 長谷川修一

連れ合いと一緒になって三十五年もたっちゃった。子どもは二人。女の子と男の子。娘は結婚して、今は二人のこのお母さん。一時間ほどのところに住んでいる。息子は滋賀県の会社に就職して、家を出た。家は埼玉なんだから、なにも滋賀県まで行かなくてもいい会社はいくらでもあったろうに。・・・まあ、そこに行きたいっていうんだから仕方がない。向こうで大阪のいい娘を見つけて、今度一緒になるらしい。

誰でもがそうだったように、私たちは歳をとった。父母も、祖父母も、・・・なにも、アダムとイブまで逆上ることもないんだけど、せっかくこんな本を読んだんだからね。

私は父と母によって作られたんだけど、アダムは土から作られた。土のことをヘブライ語でアダーマーというらしい。アダーマーから作られたアダムには、英語のtheに当たる定冠詞がつくという。I am Adam.ではなく、I am the Adam.であれば、アダムは《アダムちゃん》とか《アダムくん》といった名前、固有名詞ではない。アダムは一般名詞、「ひと」と訳すべき言葉だって。

《うめよ、ふえよ、地に満ちよ》そして、“大地を従わせる”のが、神が人に与えた指名。これを自然を支配して好きに使っていいと取ることも可能である。ただこの本では、同時に、《ヤハウェは彼をエデンの園から追い出し、彼がそこから取られた土に従わせた》とあるそうです。人は大地を従え、同時に、大地に使える存在なんだな。

聖書にはいろいろなことが、いろいろな方角から書かれているから、部分を取り出して、自分の好きなように解釈することもできるわけだ。

では、イブは。イブはどうか。

イブは、アダムのあばら骨から作られた。男と女はやっぱり違うんだな。西アジアの古代において、男と女ってそう捉えられていたんだ。つまり、男のために女が作られた。イブはヘブライ語でハヴァー。意味は命だそうです。女にふさわしいと思う。

イブは賢い蛇にそそのかされて、善と悪とのを知る樹からその実をとって食べた。アダムもイブから実をもらって食べた。神に知られると、アダムは「あなたが私と一緒にいるようにと与えた女が私にその樹からくれたので食べた」と言い訳をする。

この言い訳、見苦しいね。女が悪い。もとはと言えば、その女を私に与えたあなたが悪いって言ってるんだから。なんだか最近、そんな見苦しい言い逃れを、いくらでも聞いているような気がする。

これが、彼らがエデンを追放される理由になるわけだけど、この物語を書いた人は、人間っていうのはそういうもんだっている認識を、ここに書き記す必要があると考えたんだね。


『謎解き 聖書物語』   長谷川修一

ちくまプリマー新書  ¥ 929

旧約聖書につづられた物語は史実なのか、それともフィクションなのか?
第1章 アダムとイブ―人類誕生の謎
第2章 ノアの方舟―試行錯誤する神
第3章 バベルの塔―文明へのまなざし
第4章 出エジプト―それは本当に起こったのか?
第5章 ダビデとゴリアテ―永遠のヒーロー誕生


アダムとイブの出会いのあと、聖書には、《男はその父と母とを捨てて、彼の女と結びつき、ひとつの肉となる》とあるそうです。そう、あえて「捨てる」という強い表現は、まさしく“あえて”使われたものだろう。私もかつて、今の連れ合いと一緒になって、新しい世帯を持って、親から離れたんだ。

ただ、完全に捨てられるわけじゃない。適度な距離を保ちつつ捨てたんだな。そして捨てつつも、関係を保ち、彼らが死ぬまでその関係を続けていく。最後の面倒を見るのがけっこうきついこともあるけど、家の場合は、なんとか面倒を見切った。もう、彼らはいなくなった。

娘も、そして今度は息子も、私たちを捨てていけばいい。どんな捨て方になるかは、その時代によるだろう。何でも受け入れるよ。

アダムとイブ、人と命は人類の代表。この本の著者も言ってるけど、彼らの行動、彼らの思考は、人類が誰でもそうである可能性があるということ。

仲間とあって喜ぶ
他人から誘惑されるとそれに屈してしまう
それが露見すると人のせいにしようとする

そんな存在だけど、人は神に祝福され、パートナーとともに日々自然の世話をしながら自然の産物を食べ、子どもを生み、そして人生を全うして死んでいく。

いいじゃないか。私は大半の役割は果たし、あとは人生をまっとうするのみだな。
 



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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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