めんどくせぇことばかり 東学党『逆説の日本史』 井沢元彦
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東学党『逆説の日本史』 井沢元彦

日清戦争は、朝鮮をめぐる日清の関係から発生する。その日清戦争が起こる直前、朝鮮で東学党の乱というのが発生している。私の頭の中では東学党の乱なんだけど、今はそういう呼び方をしていないみたいですね。

甲午農民戦争

いかにも、あの人たちらしい呼び方だな。歴史教育の世界は、一九八〇年代までよりも、それ以降の方がイデオロギー色が強くなってるんだな。八〇年代とそれ以降に分けたのは私の都合で、私が歴史教育を受けたのはその頃までだったってだけの話。私の頃も組合運動に熱心な歴史の先生もいたけど、その上の人たちがまだいたからね。その後、その人たちがだんだんいなくなっていくんだな。

左翼系の人に言わせれば、国の重税に苦しめられ、官僚の賄賂や不正が横行する封建社会においては、農民は常に苦しめられる存在であり、何かをきっかけに圧政が強まれば、農民は自動的に社会変革に立ち上がる。それがセオリーだと思ってるってのは、井沢さんの言われるとおりだと思う。実際、教科書にはそんな感じで書いてあるしね。

確かに自暴自棄の暴動は起こるかもしれないけど、国や社会を変えていこうという“戦い”は、農民側にそれを正当化する思想が波及していないと起こらないんだよね。

井沢さんは、フランス革命と明治維新を例に上げている。フランス革命が成功したのは神の下ではすべての人が平等という思想が波及していたからであり、明治維新が成功したのは天皇の前ではすべての民が平等という一君万民の思想が波及していたからということ。

ドイツ農民戦争もフランス革命同様の思想のもとに始まるけど、神の下の平等を世の中が確信するには、ちょっと早すぎた。でも、ジョン・ウィクリフやヤン・フスの頃とは違い、マルティン・ルターによる宗教改革は誰かの助けを借りなくても自力で動き、世の中を巻き込んでいた。

ルターはこの時、政治的に動いて、農民戦争の攻撃対象である領主の保護下にあった。ルターは農民の戦いを鎮圧するよう進言するが、たとえルターがそちらに回って、農民戦争は鎮圧されても、ルターの生み出した動きは、どんどん拡大してフランス革命につながっていく。



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日本はなぜ“眠れる獅子”に勝てたのか?
第一章 大日本帝国の構築Ⅲ 
帝国憲法と教育勅語ー知られざる「陰のプランナー」
第二章 大日本帝国の試練Ⅰ
条約改正と日清戦争への道ー「文明と野蛮の対決」のリアル
第三章 大日本帝国の試練Ⅱ
台湾および朝鮮統治ー「同化政策」の成功と誤算


あちら側の人たちが“甲午農民戦争”と呼ぶ動きは単なる暴動ではなく、明らかに世の中を変えていこうとしていた。あまりにも激しい身分差別に、ついに否の声を上げたのだ。しかし、士農工商という身分とそこに発生する様々な格差は当然のことであって、人間が平等などということはありえないと考える朱子学にすべての人が支配されていたならば、この変革を求める動きは起こりえない。それが起こったということは、それを否とする思想があったということだ。

それが、東学であり、その信者の集団が東学党。ということになれば、やはりこの社会変革運動は、“東学党の乱”と呼ばれてしかるべきということになる。

創始者は崔済愚。かれは厳しい身分差別と戦う思想を西学(キリスト教)には求めず、東洋思想である儒教、仏教、道教を折衷した思想で朱子学に戦いを挑んだ。だから、東学であった。

《一八九四年三月初めに、東学教団の幹部全琫準によって全羅道で結成された農民軍はまたたく間に強大な勢いとなり、全羅道の警備軍に続いて中央から派遣された討伐軍も打ち破り、四月末には道都の全州を占領した。暴動なら食糧など欲しいものを奪ったところで終わりになる。処罰が恐ろしいから逃散し軍としてまとまることもない。農民軍が戦闘を続けることができたのは、「天と人が一体になれる」つまり官も民も人として違いはないという東学の思想があったからなのである。》

崔済愚は、朱子学社会の揺るがすものとして、国家の手で処刑された。

左翼系の人たちは、特にこういうような宗教的な背景っていうのを嫌うね。本当は共産主義っていうのも、根っこのところで十分宗教的だと思うんだけど、自分はそうでも、他人のそれは許さないってところが、いかにも共産主義だな。




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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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