めんどくせぇことばかり 『砂塵の掟 オッドアイ』 渡辺裕之
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『砂塵の掟 オッドアイ』 渡辺裕之

《“オッドアイ”朝倉俊暉シリーズ》と呼ばれるシリーズ物なんだそうです。

“オッドアイ”というのは、虹彩異色症と呼ばれる疾患のことだそうです。頭部への打撃による後遺症で眼球中の虹彩と呼ばれる組織に含まれるメラニン色素が減少し、つまり、黒目が黒くなくなってシルバーの瞳になってしまうもののようです。それゆえに、異相を抱えることになった男が朝倉俊暉、このシリーズの主人公です。

朝倉は、陸上自衛隊のエリート特殊部隊員として将来を嘱望されながら、“オッドアイ”となってしまった負傷をきっかけに警察官に転身します。そして、折から防衛問題に直結する自衛隊絡みの事件に臨む、特別な捜査組織が結成されます。その経歴から、防衛省と警視庁の双方から選抜されたチームである特別強行捜査班のチームリーダーに抜擢されたのが“オッドアイ”朝倉俊暉という筋立てです。

たまに読みたくなるんですね、この手の痛快活劇ってやつが。読んでみて、やはり“痛快”でした。“痛快”ではあるものの、それだけでは済まされない問題点っていうのを、物語の中に織り込んでいますよね。それだけでは済まされない問題点がなければ、物語にならないのか。

この物語の中では、日米地位協定と言うやつです。

アメリカに流入する麻薬の大半を仕切るメキシコの麻薬カルテルと、アフガニスタンで軍事活動を継続する米軍内部に巣食う麻薬組織が、沖縄で交錯する。筋立てとしては、アフガニスタンで生産される麻薬にアメリカ市場を脅かされることを恐れたメキシコ麻薬カルテルが、沖縄で米軍内部の麻薬組織との戦いを始め、それに日本の特別強行捜査班が関わっていくっていう話になる。

その中で、日米地協定により、事実上、日本がアメリカの属国という地位に置かれているってことが、いろいろな形で明らかにされるんですね。


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元自衛官の警察官が活躍する「オッドアイ」第6弾は、シリーズ最大の問題作!
フェーズ 0 夏至夏風
フェーズ 1 召喚
フェーズ 2 NCIS
フェーズ 3 チーム始動
フェーズ 4 紛争地へ
フェーズ 5 タリバン
フェーズ 6 脱出
フェーズ 7 砂塵の掟
フェーズ 8 第三の男
フェーズ 9 弾薬庫地区
フェーズ10 原生林の死体
フェーズ11 正義の代償
フェーズ12 K島にて

日米地位協定は、かつて、明治の日本が改正を目指した条約と同様に、不平等な条約であることは間違いありません。かつて沖縄は、米軍に直接統治、支配されました。これは、戦争の結果として、アメリカに取られていたわけです。昭和四七年の沖縄返還で、沖縄は日本に返還されました。沖縄県民は、埼玉県民と同じように、日本国民です。米によって差別されている実態は、沖縄県民も埼玉県民も変わりありません。

そのように差別されるのは、戦争でアメリカに負けたということの代償です。でも、同じように第二次世界大戦で敗北したイタリアやドイツは、アメリカや周辺国から差別されているわけではありません。

その違いは、やはり人種を持ち出すしかないでしょう。日本は、二〇世紀初頭まで盤石であった白人支配の世界秩序を、完全に崩壊させてしまったんです。そんな日本を、自分たちと同じ地平で平等に扱うなどありえない。日本は世界で唯一、アメリカに差別されて当然の国家なんです。

沖縄は、米軍の戦略上、多くの基地が残されました。そのため、日米地位協定の不平等性が、あからさまに見えてしまっています。アメリカによる差別が、基地を見るたびに思い知らされるわけです。そのことに埼玉県民が鈍感であるならば、「何だそんなに鈍感なんだ」と沖縄県民は、当然のように思うでしょう。

アメリカによって差別されているという実態は、本来、沖縄県民と埼玉県民の間で共有できるはずのことです。


この間、北方領土を戦争で取り返したい国会議員の方がいましたね。軽薄で、周囲に迷惑をかけるだけの発言であるけれど、腹の中にそのくらいの気概がなくて、北方領土は絶対帰ってこないです。拉致被害者も帰ってこないです。経済でも政治でも軍事でも文化でも、力のないやつの話なんか、誰も聞いてくれないです。それはアメリカに対してもそう、変わりませんよね。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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