めんどくせぇことばかり 『「雪風」に乗った少年』 西崎信夫
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『「雪風」に乗った少年』 西崎信夫

雪風は大東亜戦争を生き残った唯一の艦隊型駆逐艦だそうです。インドネシアのスラバヤ沖海戦を初陣に、激戦のソロモン海戦を戦い抜いた駆逐艦雪風。海軍は、その間も、多くの艦船と経験豊かな乗組員をすり減らしていきます。

最期まで沈まなかったという意味合いでは幸運艦という名を与えられています。しかし、戦いに出かけるたびに僚艦の沈むのを見送り、そのかたわら雪風は生還を果たすわけです。

絶対国防圏であるマリアナ諸島を巡って戦われたマリアナ沖海戦においても、多数の航空機だけでなく、空母三隻も失われました。それでも雪風は、無事帰還を果たします。

起死回生を狙ったレイテ沖海戦では、戦艦武蔵はじめ多くの艦艇を失い、巨大航空母艦に艤装を整えた大和、武蔵の姉妹艦である信濃も、危険な夜間航行を強行して潜水艦に沈められています。そこにはいつも、かたわらに雪風の姿があったわけです。

昭和一八年頃から、雪風のことを死神と呼ぶ者まで現れたそうです。仕方がないかもしれません。雪風と共に出港した僚艦の多くが、もはや海の藻屑と消えたのですから。

そして、沖縄水上特攻に、雪風も大和と共に出港するわけです。大和は沈みます。大和の乗員三三三二名のうち、生存者はわずかに二七六名だそうです。

以下、巡洋艦矢矧沈没。駆逐艦冬月帰還。駆逐艦涼月帰還。駆逐艦磯風沈没。駆逐艦浜風沈没。駆逐艦雪風帰還。駆逐艦朝霜沈没。駆逐艦霞沈没。駆逐艦初霜帰還。



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「武蔵」「信濃」そして「大和」の沈没を間近に目撃した少年の“生き抜く力”の物語
第一章 西崎信夫氏の生い立ち
第三章 大竹海兵団でのスパルタ教育
第四章 駆逐艦「雪風」とともに
第五章 沖縄水上特攻
第六章 丹後の「雪風」
第七章 別れと始まり
終章 私の願い


志願兵は、陸軍も海軍も、一七歳からだと思ってました。一九四五年に一七歳だった父は、祖父に志願を反対されているんです。友人の奥田さんは海軍に志願しています。私が子供の頃、奥田さんが家に酒を飲みに来るんです。何故か私は奥田さんに可愛がられたみたいで、その膝に座らされて、話を聞かされた記憶があるんです。特攻をめざしていた頃のこと。

一四歳以上一六歳未満で応募できる海軍特別少年兵制度というのははじめて知りました。この本の著者である西崎信夫さんは、一五歳で、なんと雪風の乗員になったんだそうです。昭和一八年一一月ですから、雪風が死神と呼ばれ始めた頃かもしれませんね。

読んでいて、雪風の活躍に心が躍る思いがします。幸運艦と呼ばれようが、死神と呼ばれようが、雪風は沈みませんでした。そして、沈まなかったことが、雪風の強みでもあったはずです。ベテランの優れた乗組員が、雪風にはたくさん生き残っていたということなんじゃないでしょうか。

雪風が人間魚雷回天の標的艦の役割をする訓練があったそうです。回天が雪風の船底を通過すれば命中です。実践においては、命中こそ乗組員の死を意味します。その訓練の時、雪風から三〇〇〇メートルの地点に潜行するイ号潜水艦から発進した回天一号艇は、雪風船底を通過することなく、そのまま行方不明になったそうです。・・・二号艇も。三号艇の実験こそ成功したものの、こんなにも兵隊の命を軽く扱った軍上層部の姿勢こそ、日本が戦争に破れた最大の要因でしょう。

この本を読んで、そう確信させられました。

阪神にいた江本孟紀というとてもいいピッチャーが、「ベンチがアホやから野球がでけへん」って言ったとか言わないとか。でも、スポーツ記者がそう書いた記事が問題になって、柄本は球団から処分を受けることになります。結局、江本選手は、この処分を不服として引退することになります。

上がアホだと戦争なんかでけへんのです。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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