めんどくせぇことばかり 日本在住中国人『日本の「中国人」社会』 中島恵
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日本在住中国人『日本の「中国人」社会』 中島恵

教員っていうのは、声のでかい人が多いんです。

そりゃ、そうなります。小さな声じゃ、仕事になりませんからね。私も、つい三ヵ月前までは担任しておりました。六月で退学やむなしとなった生徒を除いて三八人のクラスです。三八人に、一度の思うところを伝えるためには、実はそれなりの技術もあるのですが、それなりの声は必要です。まあ、あまり大きくなくてもいいのですが、小さい声じゃ困ります。うるさい生徒も、よく怒る教員もいて、学校にいれば大きな声が聞こえてくるのは、珍しいことじゃありません。

でも、家に帰ると、大きな声を聞くことは、まず、ないですね。私のところは団地自体が高齢化して、子供の泣いたり、騒いだりする声さえ聞こえません。

それが、先日二日間ほど、何度か、怒鳴る声が聞こえてきたんです。通常ではないことなので、驚きました。お向かいの家で庭の水回りの工事を頼んだようなのですが、その親方が職人を怒鳴り飛ばす声のようでした。とりあえずは、ケンカや事件ではないようでしたので、その後も怒鳴り声は聞こえましたが、気にしないようにしておりました。あとで、ちょっと買い物に出かけようと玄関を出ると、職人が掃除をしていました。職人は、黒人くんでした。「ごくろうさん」と声をかけたら、はにかんだ笑顔を返してくれました。

帰ってから、それを連れ合いにはなしたら、「ひどいんだよ。もういいから帰れ。一人で歩いて帰れって怒鳴ってたよ。あれじゃあ、駄目だよね。外国人に働いてもらわないと日本だって困るのにね」って言ってました。

そうですね。私の町では、黒人くんをよく見かけますね。

八年前まで、定時制高校に勤務していました。外国人の子も、昼間は働いて、夜は学校って子がいました。中国人、フィリピン人、ペルー人、ブラジル人あたりでしたかね。やっていいことと悪い事の区別が、日本とは違う場合が色々あって、腹の立つことも多かったですが、面白かったですよ。その頃は、黒人くんはいませんでしたね。

その時にいた、ある“中国”の子は、母親と一緒に“中国”から日本に来てました。その母親が日本人男性と結婚して、日本に来て働いているということだったんです。

その“中国”の子、出身は瀋陽なのですが、一年に一度は帰ってました。一度帰ると、なかなか日本に戻らなくて、進級や卒業が危なかったんです。それはいいとして、話を聞くと、どうも変なんです。その子は、瀋陽にいる家族の話は良くするんです。

自分にはお姉さんがいる。でも、一人っ子政策だから、お姉さんは生まれてないことになってる。家族は、なにか美味しいものがあると、まず僕にくれて、お姉さんには食べさせない。中国共産党はひどい。ひどいけど、みんなそれは言わない。

面白いでしょう。お母さんの話もします

お母さんは美人。一生懸命働いている。僕も高校を出たら日本で仕事を見つけたい。

だけど、一緒に暮らしているはずの日本人の父親、母親の夫ですね。その存在感がないのです。気まずい関係なのかと気を使ったりもしましたが、どうもそうじゃない理由で、話してはいけないことのようでした。

その頃、日本にやってくる“中国”の人は、そんな感じでしたね。


日本経済新聞出版社  ¥ 918
日本の中に、「小さな中国社会」ができていた。彼らが何を考えているのかを探る
プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数
第1章 なぜ、この街にばかり集まるのか
第2章 日本に持ち込まれた“コミュニティ”の構造
第3章 勉強に駆り立てられる人々
第4章 日本の教育はゆるすぎる!
第5章 日本に住むこと、その利点と難点
第6章 私たちは“違う世界”に生きている
第7章 彼らが、この国に住み続ける理由
エピローグ 黄さんが日本で送った日々


私は、日本にいる中国人を、そういう人たちという風に受け取っていました。

そういう人たちというのは、不法就労を目的とする人たちで、失踪、不法滞在を経て、犯罪に手を染めることもありうる人たちということです。事実、上記の“中国”の子は、一時、《窃盗幇助》で鑑別に入っておりました。

それが一九八〇年代から二〇〇〇年代はじめの頃の実情なんだそうです。私がその子に関わったのも、二〇〇〇年台の一桁の頃のことでしたから、そんな状況の一番終わりのあたりですね。

むろん、今でもそうした人がいなくなったわけではないが、日中の経済格差が縮まり、GDPで拮抗し、中国が日本を追い越していく過程で、中国国内の影響を強く受け、日本に住む中国人の実情は大きく変わってきた。
(本書)
ということなのです。

親のすすめで来日する富裕層の留学生。日本に留学後、そのまま銀行や商社、メーカーなどに就職して働くホワイトカラー。大学教授。シンクタンクの研究員。高度な技術を持つエンジニア。医師。看護師。行政書士。

そういう人たちが増えているらしいんです。ずいぶん変わったもんですね。

しかも、私の住む埼玉県も、多いらしいですよ。川口市です。JR京浜東北線西川口駅周辺は、もはや新興のチャイナタウンだとか。沿線二つ隣の赤羽は、都内なので家賃が高いけど、埼玉県に入るとグッと安くなるんだそうです。しかも、池袋まで電車で二〇分。

警視庁が都内の風俗店取締を強化した時、それらが西川口に引っ越してきたんですね。そのため、埼玉県警が摘発を強化したのが一〇年ほど前だそうです。それら風俗店が店を閉めて、賃料が下がったあとに入ってきたのが中華系の飲食店や雑貨店だそうです。

そこは、観光化された横浜の中華街なんかと違って、そこに住む中国人を対象にした店ですから、看板にもアヒルの首だとか、カエルだとか、ザリガニ、さなぎ、鶏の足などが並ぶそうです。実際に、店に入れば、蛇や犬肉も食べられるかもって。

日本はもはや、そういう国なんですね。そういや、定時制の時の“中国”の子、今どうしているだろう。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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