めんどくせぇことばかり 『世界史の大逆転』 佐藤優 宮家邦彦
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『世界史の大逆転』 佐藤優 宮家邦彦

そうですね。“中国”には神がいないんです。

この本は、佐藤優さんと宮家邦彦さんの対談物です。第二章の《国際情勢は「感情」で動く》に、欧米にはありえない“中国人”の政治性について、二人が語り合うところがあるんです。“中国”ではあらゆる事象が政治的に決められていく。その背景にあるのが、“中国”には神がいないということなんだというのです。

そのやり取りがとても面白かったので、そのことについて触れておきたいと思います。

“中国”には神がいないというのは、社会主義的な意味でいないんじゃなくて、本来の概念としての神というのが想定されていないんですね。キリスト教なら絶対的な唯一神というのがいて、人々は、その神さまと契約を結びます。その神さまは絶対的な存在ですから、ちょっとくらい偉かろうと、お金を持っていようと、所詮は人間。そのくらいじゃ、ちっとも神さまに近づいたわけじゃないんですよ。だからこそ、人間は神のもとに平等っていう考え方や、神によって与えられた人間として生きる権利なんて考えが出てくるわけです。

“中国”にはそれがありません。神といの契約がないから、すべての出来事が、人間対人間で決められていくわけです。それが自分が絡んだ問題ならば、自分と人との関係の中で決まるわけです。自分のその人では、どちらがケンカが強いか。自分とその人では、どっちがお金を持っているか。自分とその人では、どちらが怖い友達をたくさん持っているか。それらによって、勝者と敗者が明確に決められていくわけです。

基本的人権も平等もありませんから、近代的な意味合いでの法も、本来成立しません。法治主義という考え方は、“中国”には建前という意味でしかありえないんですね。すべてが人治によって決められていくということです。

今年も六月四日を過ぎました。天安門事件の日ですね。毎年毎年、“中国”は警戒を強めているようですね。宮家さんは、“中国人”自身が、すべては政治的に決まることを当たり前だと思っているから、彼らが政治的自由だとか、平等だとかを求めて民主革命を起こそうなんて思わないと言っています。だとすれば、あの天安門事件につながる学生たちの民主運動はどう理解すべきなんでしょう。

改革開放政策によって、社会主義によって閉じ込められてきた社会に、経済的自由の風穴が空きました。それによって政治的自由も与えられると勘違いしたのかもしれません。でも、それは中国共産党という存在への挑戦ですから、潰されて当然です。学生たちの運動が潰されて、それだけで終わったというところが“中国”らしいと考えればいいのか。


『世界史の大逆転』    佐藤優 宮家邦彦

角川新書  ¥ 929

なぜ世界の常識は時代後れになったか? 二人の碩学が描く新時代の航海図
第1章 米朝首脳会談後の東アジア
第2章 国際情勢は「感情」で動く
第3章 核抑止から核拡散の時代へ
第4章 混迷する中東と「脱石油」の衝撃
第5章 AIが世界の「常識」を覆す
第6章 民主主義はもう限界なのか


経済的自由は、中国共産党の存在に触れない限り、認められました。“中国人”にしてみれば、最低限必要なものは手に入ったわけです。社会全体が十分にというわけではありませんが、ある程度豊かにもなりました。天安門広場に集まった学生たちにしたって同じです。危険を犯して民主活動に走る必要はありません。

食っていければね。

だから、これで、”中国”の体制を覆すようなことが起こるとすれば、“中国人”が、今のままじゃ食っていけないと判断したときですね。かつては、無秩序な開発にともなう自然破壊を原因に起こる災害や天候不順で大飢饉に見舞われ、疫病が人々を襲い、腐敗した政権が打つべき手を打つことができなくて、太平天国のような民間宗教が勃興するんですね。

一九九〇年代、法輪功が徹底的に弾圧されてますが、それは以上のようなことを中国共産党が心配したからです。

じゃあ、食っていけないような事態が起こるのか、起こらないのか、ということです。

すでに、“中国”経済も、かつてのような右肩上がりではありません。一〇%成長は終わり、今やごまかしても六%あたり。実質はもっと低く、さらに落ちていくとすれば、・・・。危なそうです。

構造改革が必要ですが、共産党っていうのは、大きな政府の最たるものですから、構造改革っていうのがとても苦手なんですね。共産党のピラミッド型構造を中心に、あらゆることが袖の下で動いてきたわけです。みんなやってるんです。習近平を頂点にして。だから、叩こうと思えば、誰だって叩ける状況です。そこで強権発動です。だから、習近平一極集中になったわけです。

一極集中は、今の“中国”の強みでもあるけど、すべてが習近平の責任になります。現実にアメリカとの間に起こっている覇権争い。強気に出てもアメリカには勝てないし、妥協に走れば国内から突き上げられかねない。

正念場を迎えているようですね。・・・他人事ではありませんが。




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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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