『世界史の大逆転』 佐藤優 宮家邦彦
「“ゆで卵”になってしまったら、いまさら“生卵”には戻せません」
おお、そりゃそうだ。“ゆで卵”は“生卵”に戻せない。“生卵”を“ゆで卵にすることは出来るけどね。外から見た分には、ゆだっちゃってるかどうか分からないから、これがまた面倒なんですよね。
上の言葉は、佐藤優さんのもの。トランプ米大統領の言行に対しての発言です。トランプ大統領の行動は戦略的に行っていることならば矯正も可能であるが、無意識に行っていることでは直しようがないです。アメリカの政治エリートが形作ってきた国際関係の常識が、トランプ大統領の無意識に圧力を加えられています。
それによって、生卵が、もしかしたらゆで卵になっちゃってるかもしれません。
例えば、朝鮮戦争の休戦協定によって作られた核を持たない北朝鮮を、韓国とアメリカが抑止する体制が、トランプと金正恩があったことによってゆで卵になっちゃったかもしれません。
イラン核合意の破棄や、エルサレムを首都に認定して大使館を移転したことで、中東問題はゆで卵になっちゃったかもしれません。
トランプ大統領はいろいろなゆで卵を、あちこちにたくさん作ってしまったかもしれません。でも佐藤さんは、それはトランプ大統領一人の個人的な無意識ではないと言うんです。トランプ大統領を支えているのは、アメリカ的なるものの集合的な無意識だと。彼の支持層はヒスパニックに仕事を奪われた白人たちで、そういう人々の期待を背負っていて、それがトランプ大統領の無意識を動かしていると言うんです。
それぞれの、“国民的な無意識”ってのは、これは“国際的な常識”と同様に重要ですね。“中国人の無常識”って、確実にありますよね。“韓国人の無意識”って、・・・嫌だな。あれですね。そういうものの前では、“国際的な常識”が蹴散らされてしまったりします。まったくね。
“イラン人の無意識”も、当然あるわけです。この間、一三日ですよね。ホルムズ海峡付近を航行中の艦船二隻、日本関係の積み荷のタンカーだったようですが、これが攻撃を受けました。アメリカ、サウジアラビア、UAEは公然とイラン関与説をぶち上げてます。このあたり、もしかしたら、中東問題がゆで卵になっちゃってるからかもしれませんね。
まずいね。ホルムズ海峡が通れなくなっちゃったら。


中東っていうのもいろいろなんですね。ただ、イラン寄りとサウジアラビア寄りなんて単純な図式じゃないんですね。例えばカタール。
一九七一年にイギリスが撤退してUAEこと、アラブ首長国連邦が誕生した時、カタールもそこに加わるはずだったんだそうです。ところが、カタールの首長は、プライドばっかり高い人だったらしいんです。「あんなレベルの低い連中とは一緒になりたくない」って断ったんだそうです。
嫌なヤツには悪いことでも起こればいいのに、世の中そうじゃないんですね。その直後に、国内から石油と天然ガスが相次いで出たんだそうです。世界一の金持ち国家になっちゃったんですね。ただ、半分はイラン側の石油を吸い上げてたので、イランと仲良くする必要があったんだそうです。・・・そういうことなんですね。
そんな事もあって、アラブでは嫌われてるんだそうです。イラン寄りで、金持ちで、プライドが高くて、働かないんですから、これは嫌われて当たり前です。
アラビア半島には格付けがあって、メッカやメディナといった聖地をもつサウジアラビア、続いてクウェート、バーレーンとあって、続いてカタールがくるんだそうです。下には、アブダビ、ドバイ、オマーンというような序列になっているんだそうです。
サウジアラビアには強い敵愾心を、UAEにはライバル意識を持っていて、事あるごとにぶつかるんだそうです。
どこでも、近隣の国との問題は難しいもんですんが、どうでしょうね。韓国があるのと、カタールがあるのと、どっちが難しいでしょう。
おお、そりゃそうだ。“ゆで卵”は“生卵”に戻せない。“生卵”を“ゆで卵にすることは出来るけどね。外から見た分には、ゆだっちゃってるかどうか分からないから、これがまた面倒なんですよね。
上の言葉は、佐藤優さんのもの。トランプ米大統領の言行に対しての発言です。トランプ大統領の行動は戦略的に行っていることならば矯正も可能であるが、無意識に行っていることでは直しようがないです。アメリカの政治エリートが形作ってきた国際関係の常識が、トランプ大統領の無意識に圧力を加えられています。
それによって、生卵が、もしかしたらゆで卵になっちゃってるかもしれません。
例えば、朝鮮戦争の休戦協定によって作られた核を持たない北朝鮮を、韓国とアメリカが抑止する体制が、トランプと金正恩があったことによってゆで卵になっちゃったかもしれません。
イラン核合意の破棄や、エルサレムを首都に認定して大使館を移転したことで、中東問題はゆで卵になっちゃったかもしれません。
トランプ大統領はいろいろなゆで卵を、あちこちにたくさん作ってしまったかもしれません。でも佐藤さんは、それはトランプ大統領一人の個人的な無意識ではないと言うんです。トランプ大統領を支えているのは、アメリカ的なるものの集合的な無意識だと。彼の支持層はヒスパニックに仕事を奪われた白人たちで、そういう人々の期待を背負っていて、それがトランプ大統領の無意識を動かしていると言うんです。
それぞれの、“国民的な無意識”ってのは、これは“国際的な常識”と同様に重要ですね。“中国人の無常識”って、確実にありますよね。“韓国人の無意識”って、・・・嫌だな。あれですね。そういうものの前では、“国際的な常識”が蹴散らされてしまったりします。まったくね。
“イラン人の無意識”も、当然あるわけです。この間、一三日ですよね。ホルムズ海峡付近を航行中の艦船二隻、日本関係の積み荷のタンカーだったようですが、これが攻撃を受けました。アメリカ、サウジアラビア、UAEは公然とイラン関与説をぶち上げてます。このあたり、もしかしたら、中東問題がゆで卵になっちゃってるからかもしれませんね。
まずいね。ホルムズ海峡が通れなくなっちゃったら。
『世界史の大逆転』 佐藤優 宮家邦彦 角川新書 ¥ 929 なぜ世界の常識は時代後れになったか? 二人の碩学が描く新時代の航海図 |
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中東っていうのもいろいろなんですね。ただ、イラン寄りとサウジアラビア寄りなんて単純な図式じゃないんですね。例えばカタール。
一九七一年にイギリスが撤退してUAEこと、アラブ首長国連邦が誕生した時、カタールもそこに加わるはずだったんだそうです。ところが、カタールの首長は、プライドばっかり高い人だったらしいんです。「あんなレベルの低い連中とは一緒になりたくない」って断ったんだそうです。
嫌なヤツには悪いことでも起こればいいのに、世の中そうじゃないんですね。その直後に、国内から石油と天然ガスが相次いで出たんだそうです。世界一の金持ち国家になっちゃったんですね。ただ、半分はイラン側の石油を吸い上げてたので、イランと仲良くする必要があったんだそうです。・・・そういうことなんですね。
そんな事もあって、アラブでは嫌われてるんだそうです。イラン寄りで、金持ちで、プライドが高くて、働かないんですから、これは嫌われて当たり前です。
アラビア半島には格付けがあって、メッカやメディナといった聖地をもつサウジアラビア、続いてクウェート、バーレーンとあって、続いてカタールがくるんだそうです。下には、アブダビ、ドバイ、オマーンというような序列になっているんだそうです。
サウジアラビアには強い敵愾心を、UAEにはライバル意識を持っていて、事あるごとにぶつかるんだそうです。
どこでも、近隣の国との問題は難しいもんですんが、どうでしょうね。韓国があるのと、カタールがあるのと、どっちが難しいでしょう。

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