めんどくせぇことばかり 『天空への回廊』 笹本稜平
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『天空への回廊』 笹本稜平

この『天空への稜線』は、笹本稜平さんの三作目の長編だったんだそうです。三作目でこのスケールとは、これはものすごい。

なにしろ、物語が始まる前の段階で、主人公の真木郷司は、厳冬期のヒマラヤ、世界最高峰のエベレストの頂上に立ってるんですから。そこで、「このまま眠りたい」とか考えてるっていうんですから・・・。そこから話が始まろうっていうんですから、そのスケールたるや、すごい。・・・はず。ものすごい展開が待ってるはず。

だって、厳冬期のエベレスト山頂で「このまま眠りたい」なんて考えてる人間が、埼京線の電車の中で痴漢の疑いをかけられて、そこから転落人生を歩んでいくなんてつながりにはならないでしょう。

案の定、慎重に下降を始めた途端、エベレスト山頂近くに轟音が鳴り響き、真木郷司にも強烈な地響きが伝わりました。真木郷司は、その直前に、光の玉がエベレスト山頂部に突っ込むのを見ています。エベレスト北西壁上部に巨大な雪煙が舞い、地鳴りのような音とともに、急斜面を白い波濤が駆け下ります。巨大な雪崩です。真木郷司は小さな岩塊の陰に飛び込んで、命からがら雪崩をやり過ごすことができました。

こんな始まりなんですよ。何だと思いますか。この巨大雪崩のもとは。

人工衛星。米ソ冷戦中に、秘密裏に打ち上げられたアメリカの軍事衛星ということなんです。そこには、宇宙から地上のあらゆる箇所に向けて打ち込むことが可能な核弾頭が搭載されています。しかも、同様の軍事衛星は、落下したものだけではなく、それと連動するものが、まだ地球の衛星軌道を回ってるっていう設定なんです。

まったく、よくそういう恐ろしげなことが、頭に浮かびますよね。


『天空への回廊』    笹本稜平

光文社文庫  ¥ 1,008円
エベレスト山頂近くにアメリカの人工衛星が墜落 八千mの高地で繰り広げられる死闘
エベレスト山頂近くにアメリカの人工衛星が墜落!雪崩に襲われた登山家の真木郷司は九死に一生を得るが、親友のフランス人が行方不明に。真木は、親友の捜索を兼ねて衛星回収作戦に参加する。ところが、そこには全世界を震撼させる、とんでもない秘密が隠されていた。八千メートルを超える高地で繰り広げられる壮絶な死闘―。大藪賞作家、渾身の超大作。


落下した軍事衛星には、まだ宇宙に浮かぶ姉妹衛星をコントロールするためのROMが搭載されており、それをめぐって八〇〇〇メートルの高地で死闘が繰り広げられるというお話です。

もちろんアメリカは、総力を上げてそれを回収しようとするのですが、そこに“中国”の人民解放軍、ネパール国軍、ネパールの反政府勢力である毛沢東主義組織なんかが絡んでくるんです。だけど、それらのすべてを出し抜くかのように、その軍事衛星の秘密を握る謎の組織が暗躍します。

なにしろ、その謎の組織。姉妹衛星を操ってモスクワに核攻撃を加えるっていうんです。アメリカの軍事衛星からの核攻撃ですから、瞬時にロシアからアメリカの各都市に向けて、核ミサイルが発射されます。さらにアメリカから、報復用のミサイルが、ロシアの各都市に飛んでいきます。

人類は滅亡寸前です。

その時、“魔法の石”であるROMを手に入れようとする謎の組織に対抗できるのは、唯一、八〇〇〇メートルの天空に取り残された日本人、真木郷司だけだったんです。

読み応えがありますよ!


『天空への回廊』という題名は、ROMを回収しようと総力を上げる米軍の作戦名です。米軍の作戦名は、無駄にかっこいいと有名です。東日本大震災の時、米軍も救助活動にあたってくれましたが、あの時の作戦名は《トモダチ作戦》でしたね。

ノルマンディー上陸作戦が《オーバーロード》、イランのアメリカ大使館人質救出作戦が《イーグルクロー》、湾岸戦争が《デザートストーム》こと砂漠の嵐。

たしかにかっこいいですね。




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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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